再会ー男と親友の写真の話ー

第四章

走る

  深夜に目が覚めた。
  常備灯が消えている。光源がなく、真っ暗だ。
  マックは手に持っていた懐中時計を握りしめた。窓の外から言い争う声が聞こえる。

ガシャン！

  何かが壊れた音、怒声、マックは不安でガタガタ震えた。そろそろとベッドを降り、サンダルを履いた。室内灯を点けようとしたが、点かなかった。レイとエンジュの所に行こうとドアを開けた。丁度同じタイミングでドアを開こうと手を伸ばす人!?
  暗くて顔が見えない。
…… 誰!?……
  恐怖を感じる。
『………迎えにきたよ……』
  キーンと耳鳴りがして、男の声が頭に響いた。
……いやだ……
  黒い手がこちらに伸びた時マックは大声で叫んだ。
  人影を突き飛ばし、そのまま走り出しす。建物を飛び出し、夜の街をどこまでも走った。力尽きて倒れるまで、恐怖から少しでも遠くへ。

「いたっ……マック、待つんだ！」
急な停電中、マックの様子を見に来たレイが、見事に鉢合わせした。突き飛ばされ、すぐに後を追うが、見失った。
「エンジュ！マックが外に！」
二人は夜中探し歩き、翌日は知り合いにも声を掛けて探した。
  しかし、マックの姿はどこにも見つからなかった。
  レイが事務所に戻ると、一通の手紙が届いていた。それは、マックの両親からの手紙…彼を思い、心配する、待ち焦がれた家族からの文は彼には届かなかった。