再会ー男と親友の写真の話ー

おまけの話

友達2号

  マークとイッサが同室なので、度々遊びにいくと、どうしてもイッサと顔を会わせることになる。
「よお。」
「…また来た。」
「お前には用がないよ。」
「帰れよ。」
「…俺はマークに会いに来たんだ。お前にじゃない。黙ってろ。」
「ふん。」
ベッドの上に寝転がったままのイッサがそっぽ向いた。
「あれ、マークは？」
姿が見えない。なんだ。いないのか。
「残念だったな。」
こちらを向きもしないでイッサが言う。
「用がないなら帰れよ。」
そうだな。帰るか。イッサって、なんで俺に突っかかってくるのかな。
「…あのさ…イッサ…」
「なんだよ。」
「何が気に入らないんだよ。」
俺が何か気にさわることいったか？
「別に。これが普通だ。」
「ん、なことねぇだろ。マークとおれじゃ、明らかに差ぁつけてるだろ。」
「あたりまえさ。ルームメイトだし…………だし……」
小さい声で何か言ったが、聞き取れなかった。
「まあ、いいか。帰ろ。」
「帰れ帰れ。」
「また、来るから。マークに伝えといてよ。」
「…なんで……こんな奴を…」
ぼそりと呟くイッサの声を拾った。
「…ったく、言いたいことがあるなら、はっきり言えば？」
イッサがガバッと起き上がった。俺を見る。
「お前はマークの友達だ。偶然隣に座っただけの。」
「そうだが？」
あれ？入学式の席……イッサどこに座ってたっけ、覚えていない。
「……俺だって…俺は…だから、腹がたつんだよ。」
わからない。マークの友達なら敵視するのか？
「もうちょっとわかるように話せないか？」
「……もういい。もう、止めるから。気にするな。」
そう言われたら、気になるじゃないか。
  友達だから、敵視する？
  俺はマークの友達だからマークと仲良くする。するとイッサが俺に突っかかる。ってこと？
  マークと俺が仲良くしてないと、イッサは口出ししない？のか？ってことは？どういうことだ？
「ふふん。なんだ。お前も仲良くしたかったのか。俺と。」
そうかそうか。俺と友達になりたかったんだな。イッサは。だけど、照れていただけか～俺とマークが仲良いから妬いてたのか～
「な！ばかか。お前。そんなわけないだろ！どうしてそういう結論にたどりつく！お前なんか眼中にないし、興味もない、喧嘩相手にもならないし、話すこともない！早くどっかいけよ！」
ふふふ。皆まで言うな。顔が真っ赤じゃないか。わかったよ。慌てているのが証拠だよ。いつになく、饒舌じゃないか。
「そうか、そうか。うん、うん。友達だよ。お前も。」
「だから、違うって！」
「照れるなよ。」
「違うぅ」
頭を抱えるイッサ。
「あれ、レイがいる。」
マークが帰ってきた。
「何？二人で楽しそう。」
イッサが立ち上がる。マークは上着を脱いだ。それをイッサが受け取りハンガーに掛けてクローゼットにしまう。
「うん。友達になった。」
振り返ってイッサが声を荒げる。
「なってない！」
「へぇ、良かったね、イッサ。」
イッサは黙って唸るばかり。
「ううう」
何も言えねぇようだな。イッサ。

こうして友達二号認定だ、イッサくん。もちろん一号はマークだよ。