60 / 81
第四章 君と一緒に生きていきたい
おねだり
しおりを挟む
「エリス、ごめんよ、許してくれよぉ……」
露出が多めのワンピースを着た赤毛の女性を追いかけて行く若者を、黒髪の男性はやれやれ……といった表情で見送る。その彼の隣に立つのは同じ顔。
「彼女と仲直りできるかな。」
「いつもの、じゃれあいでしょ。」
黒髪の二人組は笑いながらすぐ近くの店に入って行った。
ーーーー
「エリス。愛してるよ。」
「やだ、キライ。」
「お土産買ってくるから、何がいい?」
「知らない。」
「好きなもの買ったげるから。何でも言って。」
「ん~っとね~」
「うんうん。ブランドの靴?バッグ?ドレス?」
「ふふふ」
「お花かな?宝石かな?」
「何にもいらない。早く帰って来て。」
「お………ぅぅ…………」
「ふふ」
「むふふ、はむはむ。」
「あははっ、きゃっ…」
ーーーー
「いきたくねぇぇ……………」
「そうぼやくなよ、オレなんか嫁さんにこのところ毎日嫌味言われてよぉ。」
「何言ってんだ、嫌味でも言われるだけましってもんだ。うちのは、どうぞ行って下さいってさ。俺抜きで、娘と予定通り旅行いくんだと…羽のばして楽しんでくるって……嬉しそうにさあ………俺だって久しぶりの家族旅行だって楽しみにしていたのに……」
急な人員の入れ替え。
「うわぁ、それはそれで、気の毒と言うしかないな……まあ、戻ったら休みもらえるし、特別手当てもあるみたいだよ。」
「俺だけ休みでも誰もかまってくれない……」
「シバの見舞いにでもいけば?」
「そもそも、奴が怪我したせいだろうが。有給とって彼女と旅行いってたんだろ?その旅行先で怪我って……あれどこだった?」
「観光都市の……コノセギア…いや、コルセル…違うな……コノセなんとかってとこ。」
「そこで、街のなんにもない所で転んでさぁ。」
「転んだくらいで?」
「そう。転んで足捻って、ホテルに帰る途中、工事で迂回用の足場歩いていて踏み外して穴に落ちて、反対の足と手を骨折。食事が合わなくて腹下して、なんやかんやで、入院だって。」
「何それ。だめじゃん。」
「更に入院中の病院でテロ現場に遭遇して巻き込まれて、もみくちゃにされたって。まあ、未遂だったらしいけど、よく怪我だけで済んだよ……」
「怖いなぁ、もう、革命家は逮捕されたんじゃなかったの?観光都市になってるくらいだから。」
「テロとか、最近聞かなかったよなぁ。怖いなあ。」
「……そいつの替わり?」
「そう。」
「今夜は飲むぞ。いつもの所?」
「ああ、いつものメンバーで。」
「よっしゃ。飲むぞ。」
「じゃ。夜に。」
ーーーー
「うふふ、あたしねぇ、星かけらがほしいな……」
「星のかけらねえ……俺今度行くところ、すっげぇ田舎でさあ……すっげぇ遠く。」
「そうなんだぁ」
「買い物もろくにできない…でもまあ、…考えておくから……何か記念になるものが………」
「うふっ……」
露出が多めのワンピースを着た赤毛の女性を追いかけて行く若者を、黒髪の男性はやれやれ……といった表情で見送る。その彼の隣に立つのは同じ顔。
「彼女と仲直りできるかな。」
「いつもの、じゃれあいでしょ。」
黒髪の二人組は笑いながらすぐ近くの店に入って行った。
ーーーー
「エリス。愛してるよ。」
「やだ、キライ。」
「お土産買ってくるから、何がいい?」
「知らない。」
「好きなもの買ったげるから。何でも言って。」
「ん~っとね~」
「うんうん。ブランドの靴?バッグ?ドレス?」
「ふふふ」
「お花かな?宝石かな?」
「何にもいらない。早く帰って来て。」
「お………ぅぅ…………」
「ふふ」
「むふふ、はむはむ。」
「あははっ、きゃっ…」
ーーーー
「いきたくねぇぇ……………」
「そうぼやくなよ、オレなんか嫁さんにこのところ毎日嫌味言われてよぉ。」
「何言ってんだ、嫌味でも言われるだけましってもんだ。うちのは、どうぞ行って下さいってさ。俺抜きで、娘と予定通り旅行いくんだと…羽のばして楽しんでくるって……嬉しそうにさあ………俺だって久しぶりの家族旅行だって楽しみにしていたのに……」
急な人員の入れ替え。
「うわぁ、それはそれで、気の毒と言うしかないな……まあ、戻ったら休みもらえるし、特別手当てもあるみたいだよ。」
「俺だけ休みでも誰もかまってくれない……」
「シバの見舞いにでもいけば?」
「そもそも、奴が怪我したせいだろうが。有給とって彼女と旅行いってたんだろ?その旅行先で怪我って……あれどこだった?」
「観光都市の……コノセギア…いや、コルセル…違うな……コノセなんとかってとこ。」
「そこで、街のなんにもない所で転んでさぁ。」
「転んだくらいで?」
「そう。転んで足捻って、ホテルに帰る途中、工事で迂回用の足場歩いていて踏み外して穴に落ちて、反対の足と手を骨折。食事が合わなくて腹下して、なんやかんやで、入院だって。」
「何それ。だめじゃん。」
「更に入院中の病院でテロ現場に遭遇して巻き込まれて、もみくちゃにされたって。まあ、未遂だったらしいけど、よく怪我だけで済んだよ……」
「怖いなぁ、もう、革命家は逮捕されたんじゃなかったの?観光都市になってるくらいだから。」
「テロとか、最近聞かなかったよなぁ。怖いなあ。」
「……そいつの替わり?」
「そう。」
「今夜は飲むぞ。いつもの所?」
「ああ、いつものメンバーで。」
「よっしゃ。飲むぞ。」
「じゃ。夜に。」
ーーーー
「うふふ、あたしねぇ、星かけらがほしいな……」
「星のかけらねえ……俺今度行くところ、すっげぇ田舎でさあ……すっげぇ遠く。」
「そうなんだぁ」
「買い物もろくにできない…でもまあ、…考えておくから……何か記念になるものが………」
「うふっ……」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる