白の衣の神の子孫

キュー

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第四章 君と一緒に生きていきたい

おねだり

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「エリス、ごめんよ、許してくれよぉ……」

  露出が多めのワンピースを着た赤毛の女性を追いかけて行く若者を、黒髪の男性はやれやれ……といった表情で見送る。その彼の隣に立つのは同じ顔。

「彼女と仲直りできるかな。」
「いつもの、じゃれあいでしょ。」

  黒髪の二人組は笑いながらすぐ近くの店に入って行った。

ーーーー

「エリス。愛してるよ。」
「やだ、キライ。」
「お土産買ってくるから、何がいい?」
「知らない。」
「好きなもの買ったげるから。何でも言って。」
「ん~っとね~」
「うんうん。ブランドの靴?バッグ?ドレス?」
「ふふふ」
「お花かな?宝石かな?」
「何にもいらない。早く帰って来て。」
「お………ぅぅ…………」
「ふふ」
「むふふ、はむはむ。」
「あははっ、きゃっ…」

ーーーー

「いきたくねぇぇ……………」
「そうぼやくなよ、オレなんか嫁さんにこのところ毎日嫌味言われてよぉ。」
「何言ってんだ、嫌味でも言われるだけましってもんだ。うちのは、どうぞ行って下さいってさ。俺抜きで、娘と予定通り旅行いくんだと…羽のばして楽しんでくるって……嬉しそうにさあ………俺だって久しぶりの家族旅行だって楽しみにしていたのに……」
急な人員の入れ替え。
「うわぁ、それはそれで、気の毒と言うしかないな……まあ、戻ったら休みもらえるし、特別手当てもあるみたいだよ。」
「俺だけ休みでも誰もかまってくれない……」
「シバの見舞いにでもいけば?」
「そもそも、奴が怪我したせいだろうが。有給とって彼女と旅行いってたんだろ?その旅行先で怪我って……あれどこだった?」
「観光都市の……コノセギア…いや、コルセル…違うな……コノセなんとかってとこ。」
「そこで、街のなんにもない所で転んでさぁ。」
「転んだくらいで?」
「そう。転んで足捻って、ホテルに帰る途中、工事で迂回用の足場歩いていて踏み外して穴に落ちて、反対の足と手を骨折。食事が合わなくて腹下して、なんやかんやで、入院だって。」
「何それ。だめじゃん。」
「更に入院中の病院でテロ現場に遭遇して巻き込まれて、もみくちゃにされたって。まあ、未遂だったらしいけど、よく怪我だけで済んだよ……」
「怖いなぁ、もう、革命家は逮捕されたんじゃなかったの?観光都市になってるくらいだから。」
「テロとか、最近聞かなかったよなぁ。怖いなあ。」
「……そいつの替わり?」
「そう。」
「今夜は飲むぞ。いつもの所?」
「ああ、いつものメンバーで。」
「よっしゃ。飲むぞ。」
「じゃ。夜に。」

ーーーー

「うふふ、あたしねぇ、星かけらがほしいな……」
「星のかけらねえ……俺今度行くところ、すっげぇ田舎でさあ……すっげぇ遠く。」
「そうなんだぁ」
「買い物もろくにできない…でもまあ、…考えておくから……何か記念になるものが………」
「うふっ……」

 

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