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おまけの話
キュールとおじいちゃま
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今日は私が子どもを連れて公園に行く日。マックから、公園によく来るおじいちゃんとマーシャが仲良くなったと聞いている。来ているかしら?どんな方かしら?マックは素敵なおじいちゃんだよって、仲良くなってね、って言ってた。
「マーシャちゃん。こんにちわ。」
「こんにちわ。おじいちゃん。」
ニコニコと笑顔のマーシャが走って行く。あ、あの方ね。マックの言う通り素敵なおじいちゃま。なんだか、かわいいわ。
「こんにちわ。」
「今日はいい天気ですね。」
抱っこしていたアルがおじいちゃまに向かって手を出す。知ってる人だって、わかるのね。
「あら、アルが挨拶したいって。抱っこしていただけます?」
ちょっと変な顔したわね。変だったかしら?アルはまだ小さいから、意志表示できないと思ってる?ふふ、この子は賢いのよ~わかるの。
「ええ、よろしいのですか?」
「どうぞ。」
ベンチに座っていたおじいちゃまの膝の上にアルを乗せた。両手でアルを支えてくれる。さりげなく、触れる。変じゃなかったわよね?大丈夫よね?
「……」
おじいちゃまの目を見つめる。
見えたモノを悟られないように、側を離れる。気づかれてないわよね?
彼の膝の上にのせたアルが笑う。そちらに注意が向いている。良かった。ばれてない。
荷物を置いてあるベンチに戻る。今見たモノを考える。
マーシャがおじいちゃまと話しているけど、何を言っているのかは聞こえない。
今見た風景と同じ瞳。私は思い出していた。
私がベルドンナにいた頃。花屋の店主といつものカフェでおしゃべりをしていた。チョコのシフォンケーキを食べ終わった頃、誰かに呼ばれたような気がして振り向いたら、そこにマックが立っていたの。
初対面の印象は最悪。
タクーンでは当たり前なのかも知れないけれど、騎士の誓いなんて、ドラマで見たことしかなかったから、しかもプロポーズでしょ?引いたわ~
でも、彼のお兄さんが王立騎士で、ドラマの役者のファイブさんと知り合いだったので、サイン貰えてラッキーだったわね。
最初は気持ち悪い~って思ったけど、彼の瞳に何か見えたから、覗きこんじゃった。何か気になるもの。
真剣な表情につい、伸ばした手か触れて………私ってば先読の力があるから……触ったら見えちゃうのよ。色んなものが。
光が輝き、キラキラ。鈴の音が聞こえて…いい匂いまでするの。その時この子達を抱くマックを見たの。幸せそうに笑う彼を見たら、その風景の中に入りたいと思った。今度は私が子ども達を抱き、優しく包む彼の姿が見えた。
先読の風景に私が見えることは今までなかった。
もう、運命としか思えない。
ああ、もう、ずいぶん前の事なのに、昨日の事のように思い出せる。今おじいちゃまの瞳の奥にも金の輪が見えた。マックの瞳の奥に見えたモノと同じ金の輪。
でも、おじいちゃまの金の輪の話は誰にも言っちゃダメな気がする。マックにも……もしかしたら他にもいるのかな。私だけに見える金の輪は、勝手に私との絆だと思い込んでいたけど、他にも持ってる人がいたから、違ったみたい。ちょっと残念かも。
そんな事を考えていたら、おじいちゃまの腕の中でアルがスヤスヤ寝息をたてていた。マーシャはいつの間にか友達作って遊んでいるし…
とっても幸せ。
「マーシャちゃん。こんにちわ。」
「こんにちわ。おじいちゃん。」
ニコニコと笑顔のマーシャが走って行く。あ、あの方ね。マックの言う通り素敵なおじいちゃま。なんだか、かわいいわ。
「こんにちわ。」
「今日はいい天気ですね。」
抱っこしていたアルがおじいちゃまに向かって手を出す。知ってる人だって、わかるのね。
「あら、アルが挨拶したいって。抱っこしていただけます?」
ちょっと変な顔したわね。変だったかしら?アルはまだ小さいから、意志表示できないと思ってる?ふふ、この子は賢いのよ~わかるの。
「ええ、よろしいのですか?」
「どうぞ。」
ベンチに座っていたおじいちゃまの膝の上にアルを乗せた。両手でアルを支えてくれる。さりげなく、触れる。変じゃなかったわよね?大丈夫よね?
「……」
おじいちゃまの目を見つめる。
見えたモノを悟られないように、側を離れる。気づかれてないわよね?
彼の膝の上にのせたアルが笑う。そちらに注意が向いている。良かった。ばれてない。
荷物を置いてあるベンチに戻る。今見たモノを考える。
マーシャがおじいちゃまと話しているけど、何を言っているのかは聞こえない。
今見た風景と同じ瞳。私は思い出していた。
私がベルドンナにいた頃。花屋の店主といつものカフェでおしゃべりをしていた。チョコのシフォンケーキを食べ終わった頃、誰かに呼ばれたような気がして振り向いたら、そこにマックが立っていたの。
初対面の印象は最悪。
タクーンでは当たり前なのかも知れないけれど、騎士の誓いなんて、ドラマで見たことしかなかったから、しかもプロポーズでしょ?引いたわ~
でも、彼のお兄さんが王立騎士で、ドラマの役者のファイブさんと知り合いだったので、サイン貰えてラッキーだったわね。
最初は気持ち悪い~って思ったけど、彼の瞳に何か見えたから、覗きこんじゃった。何か気になるもの。
真剣な表情につい、伸ばした手か触れて………私ってば先読の力があるから……触ったら見えちゃうのよ。色んなものが。
光が輝き、キラキラ。鈴の音が聞こえて…いい匂いまでするの。その時この子達を抱くマックを見たの。幸せそうに笑う彼を見たら、その風景の中に入りたいと思った。今度は私が子ども達を抱き、優しく包む彼の姿が見えた。
先読の風景に私が見えることは今までなかった。
もう、運命としか思えない。
ああ、もう、ずいぶん前の事なのに、昨日の事のように思い出せる。今おじいちゃまの瞳の奥にも金の輪が見えた。マックの瞳の奥に見えたモノと同じ金の輪。
でも、おじいちゃまの金の輪の話は誰にも言っちゃダメな気がする。マックにも……もしかしたら他にもいるのかな。私だけに見える金の輪は、勝手に私との絆だと思い込んでいたけど、他にも持ってる人がいたから、違ったみたい。ちょっと残念かも。
そんな事を考えていたら、おじいちゃまの腕の中でアルがスヤスヤ寝息をたてていた。マーシャはいつの間にか友達作って遊んでいるし…
とっても幸せ。
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