側妃達のお茶会

マヤ

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恐怖は子供とともに

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暖かな日射しを遮るカーテン。
外には丸い玉がふよふよ浮かび。
騎士達は警戒体制。
室内で恐怖の時間を過ごしましょう?


「このような日が来るとは思いもしませんでしたわ。」

ノホラン妃はお茶を揺らし暗い表情を浮かべた。


「ふわふわだねぇ。」

コントラセント妃は膝に乗せた両手で抱えきれない大きさの丸い毛玉を撫でた。


「これがモルスエ。初めてみましたわ。」

モーゼル妃は毛玉をつついた。


「モルスエと言う名前はそいつには似合いませんわね。」

リリーエバン妃は他の毛玉をバウンドさせて遊んでる。


そして、いきなり室内の電気が消えた。
「こんな話があるの。あるおとこが、穏やかな草原に行ったとき、モルスエ~モルスエ~と不思議な声が聞こえたそうな。」

ナターシャ妃は蝋燭を灯し自分の顔の近くに持ってきた。
「男は気になり、声が聞こえる方にゆっくり近づいた。すると巨大な白い毛玉がいくつもあった。男は…あれ」

首を傾げたナターシャ妃は侍女を見た。

侍女は席を外した。

「まさか続きがわからないんですの!?ここまでしといて?」

ノホラン妃は身を乗り出した。



「落ち着きなよ。続きは侍女が本でも持ってくるでしょ。」


コントラセント妃はモルスエを撫で回している。


「ふふ、気持ちはわかりますわ。でも気長に待ちましょう?」


モーゼル妃は冷めて温くなつたお茶を飲む。

「…ちょっと外が騒がしくなってきましたわね。」

リリーエバン妃はカーテンを少し開け外を見た。

「あ、男は最後跳び跳ねたモルスエに潰されました。そしてそこはモルス草原と呼ばれるようになりました。」

思い出したナターシャ妃は結末を言った、。

「あいだが、抜けてますわよ!」

ノホラン妃がモルスエを掴みナターシャ妃に投げた。


ちょうどその瞬間、外からモルスエ~‼と大きな声が聞こえた。


「来ましたわね。親のモルスエが、子を助けるために。」

モーゼル妃は部屋にいるモルスエ達を外に出した。

「気をつけて、揺れる。」

ジャンプをしたモルスエの振動で、城が揺れた。
ナターシャ妃は立ち上がり、避難誘導を行う。


「お茶菓子持ってく?非常食って必要だよね。」

コントラセント妃がお菓子を食べながら食器が割れてないか侍女と確認している。

「あの、ナターシャ様はどちらに。」
本を持ってきた侍女が部屋の中目を凝らす。


側妃たち全員が部屋を見て、外を見た。
モルスエを抱えて歩くナターシャ妃がいた。


遠くからでも怒り狂う姿が見える親のモルスエ。

ふわふわ漂う子供のモルスエ。

抱えたモルスエを綺麗なフォームで投げたナターシャ妃。

「な、何をやっているんですの!」

ノホラン妃が思わず叫ぶ。

その間にも親のモルスエに向かって子のモルスエを投げつけ続けるナターシャ妃。

「楽しそうだねぇ。まぁ、いざとなったらなんとでもなるか。」

コントラセント妃は諦めの苦笑をして見ている。

「巨大生物に良く効く薬がありますわ。ご安心なさって?」

モーゼル妃は様々な薬品を取り出した。


ナターシャ妃が子のモルスエを投げつけ続けて数分後、親のモルスエが後退した。

「はぁ?なんでそうなるんですの!?
子を投げつけられて何故戻るのよ?」

ノホラン妃がモルスエに叫ぶ。

「跳べるようになった子を見て親は嬉しい。草原で成長した姿が見たい。こんなところじゃ、まだちゃんと跳べないから早く帰ろう。と、言ったところ。」

戻ってきたナターシャ妃は汗を拭いた。

「ちなみに故郷では、モルスエの子はたま投げされてた。」


「解決方法がそんなだとは思いませんでしたわ。戦って命を落とす者が多いのでぜひ、参考にさせていただきますわ。」

ナターシャ妃が壁にもたれて呟く。

「本にも載ってるよ。男は周りに在るものを大きな物に投げた。すると一時的に大きな物は動きを止めた。男は隙ができたと思いその場を離れた。ね?」

ナターシャ妃は本を皆に見せた。


「…薬品試したかったですわ。新薬も有りましたのに。」
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