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第十六章

十四話 【染まっていくセシル】

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夕方に目が覚めると、硬いベッドで腰が痛い惣一郎。

隣のベッドには、ベンゾウが腹を出して寝ていた。

起きようとベッドを降りると、足の裏にむにゅっと柔らかい感触が……

何処で寝てるんだ弁慶は……

床で寝る弁慶に毛布をかけて、一階に降りると、セシルがトヌマと話していた。

「おはよ~」

「惣一郎様、ゆっくり眠れましたか?」

「ああ、腰が痛い……」

「すいません、安物のベッドで」

「いや、すまん! 贅沢言った様で。ところで何話してたんだ?」

「はい、私も何かお役に立てればと話していたところ、魔導書を一つ頂けると、トヌマ殿が仰ってくれて」

「へぇ~ 気前がいいな」

「ええ、私が出来る事なんて他にないですからね~」

「惣一郎様、何が良いでしょうか?」

「セシルの好きな魔法で、いいんじゃないか?」

「戦いでは何も出来ないのが…… 何か私にも戦いでお役に立てれる魔法を、惣一郎様がお選びくだされば!」

「そんな無理しなくても、十分助かってるぞ」

「セシル様は、ちゃんと戦闘でも皆さんのお役に立ちたいんですよ!」

「ん~ で、何があるんだ?」

「そうですね~ 今あるのは」

ファイヤ 
(火を作り出す、生活魔法)
ウォーター
(水を作り出す、生活魔法)
ライト  
(光源を作り出す、生活魔法)
キュア  
(毒などの状態異常を治す、生活魔法)

ファイヤーランス 
(炎槍を対象に飛ばす、攻撃魔法)
アイスジャベリン 
(氷柱を対象に落とす、攻撃魔法)
ストーンバレット 
(小石を対象に飛ばす、攻撃魔法)
ウインドカッター   
(風刃を対象に飛ばす、攻撃魔法)

おすすめ品
ライト改 (消費魔力小、光量調整)
ウインドカッター改 (消費魔力極小)

「って、感じですかね」

「そうだな~ 後方支援で考えると、ライトかウインドカッターかな~」

「では、両方おすすめを試してみましょう!」

太っ腹だな~

まぁ、セシルも現実を見るだろう。

トヌマが奥から、数冊の本を持って来ると、早速セシルの頭に乗せる。

『ライト』

「あっ、覚えました」

「「 へ? 」」

「えっ、一発で覚えたの?」

「はい、ライト改! 確かに」

「凄い幸運ですね~ 久しぶりに見ましたよ!」

「そうなんですか?」

「あはは、では次を……」

『ウインドカッター』

「あっ、また覚えました!」

「「 ええ~! 」」

「マジか、凄いな! 流石は聖女!」

「連続は初めてですよ…… あはは……まさか」

「俺も今、そのまさかが過ぎったぞ!」

「……はっ、いえ、行けません! そんなに多くの魔法を覚えては、厳選するべきです!」

「そうなのか? 金は出すぞ?」

「いえいえ、お金の問題ではなく、中には系統が合わない魔法もありますし、何より混乱します! 通常多くても、2つか3つです! まずは覚えた魔法を慣れる事が重要です」

そうなのか?

気にした事もなかったが、まぁ確かに確認の為に魔法覚えるのもな~ その内いい魔法でもあれば試そうか。

思いがけずセシルも、ジビカガイライに染まりつつあるのであった……

惣一郎はトヌマに礼を言い、明日ピオリア島へ飛ぶ事になると、準備を頼む。

来客があったのは、陽が落ちてからだった。




「ここに、ジビカガイライが来てると思うのだが」

「ああ、来たか早かったな」

「惣一郎! 約束通り来たぞ」

いや、約束は明日だ……

クルセウスの3人であった。

中に案内すると惣一郎は明日、ピオリア島へ行く事を告げる。

3人の『コイツ何言ってるんだ?』って顔が、イラッと来たが、説明は明日の楽しみに取っておこう。

「こちらの方々も施設を?」

「ああ、特例だ」

「わかりました…… ですが」

「わかってる、秘密は守らせるよ!」

「いえ、まぁ、それもそうなんですが、もう今晩泊まる部屋はないですよ?」

あっそ……





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