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第十一章

二十三話 【次期賢王】

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ほぼ魔王候補はベリルだろうな……

惣一郎はこのまま放っておいて、勇者に任せようかとも思っていたが、これから大勢の犠牲者を出すかも知れないのに、それを黙って見てたら魔王ルートの惣一郎が魔王になりそうな、そんなジレンマを抱えていた。

下着姿のメス猫と大女の、尻を叩き起こす魔王は、夕食の準備を始める。



夕食後、風呂の準備をしながらヒロヨシーに現状を報告する。

『なるほど、神器ですか。ベリルの狙いでまず間違い無いかと!』

『俺もそう思うよ』

『それと、先日ベリルに乗り移られた貴族の男を調べた所、各国の厄災に関する書物が大量に見つかりまして、奴の狙いは厄災かも知れません!』

『厄災の死体を操るって事? 操ってどうするのよ? それ以前にベリルに倒せるのか厄災を?』

『そこまでは、ですが関心を持ってるのは間違いありません!』

『一応、気にしておくよ! 以上』

『ええ、お気を付けて! 以上』

段々話がでかくなってくな……

癒されよう……っと惣一郎は、入浴剤を奮発する。






翌日、ベリルが失敗した玉の回収にまた襲うかも知れないと、惣一郎は獣王の所へ行く事にした。

賢王に挨拶をすると、

「わかった。私からも連絡を入れておこう。やはり、ほっとけないのだな惣一郎よ!」

「成り行きです」

っと惣一郎は賢王に、小瓶に詰めたムカデの駆除薬を渡す。

「また、ムカデの魔獣が出たらこれを弓矢にでも仕込んでください。では!」

すると賢王が、街を救ったお礼だとワークが箱を運んで来る。

中身は麻袋で1,000ギーと、ダンジョン産の丸薬だった。

「世話になった礼だ、その丸薬は強回復薬だ。惣一郎の左腕は生せんが、瀕死の怪我も一度だけ回復してくれる。大事に使うと良い」

「ありがとうございます。では遠慮なく!」

っと惣一郎は、丸薬だけ受け取って歩き出す。

「はっははは、ワーク! あの者は三號街の恩人だ! 命に代え森の出口までご案内しろ!」

はっ!っと、ワークが追いかけて行く。



ギルドで依頼でも!っと思っていたが、そんな空気じゃなくなった惣一郎は、街を出て森を歩く。

ワークに獣王がいる一號街への道を聞く、ノープランだった惣一郎。

「一號街は森を出て、南東へ真っ直ぐです!」

しばらく進むと、木の上に家が見え始める。

出口が近いのだろう。

「そう言えば、一度はムカデを撃退してるんだよな?」

「お恥ずかしいですが、撃退では無く追い出しただけです。犠牲を出して追い出しただけ」

しまった! 傷口広げたか?

「いや、でも凄いよ! あの魔獣を追い返すなんて! あははは~」

「ええ、惣一郎様は、あっさり倒されてましたがね」

「いや、あれは、たまたま、そうたまたまなのよ! 急所だったのかな~ なんて! あははは!」

やばい、どんどん肩を落として行く!

「そ、そう、でもどうやって追い返したんだい?」

ワークは辺りに生えていた葉のついた枝を折り、

「これです。厄災なども嫌うこの葉が、たまたま燃えて、煙で逃げて行ったのです」

じゃもう厄災じゃん、ムカデも!

「二度目は森の中に入り過ぎていて、使えませんでしたが……」

そこら中に生えてるな~

「少し貰って行ってもいいか?」

「ええ、勝手に生えて来ますので」

みんなで手分けして集めると、割といい量になった。

森を出て、ワークに礼を言う。

「ありがとう! 案内助かったよ!」

「いえ惣一郎様も、どうかお気を付けて」

落ち込むワークが、居た堪れない惣一郎は、

「ワーク! 武器は何を使うんだ?」

「私は、役に立たない魔導士ですので、杖を」

「よし! コレやるから元気出せ!」

惣一郎はワークに、新たに魔石をはめ込んだジュラルミンの杖を渡す。

「こ、コレは!」

「いいからなんか撃ってみろよ!」

ワークは、近くの大木目掛けて、ストーンバレットを唱える!

無数の石がマシンガンの様に大木を薙ぎ倒す!

結構威力あるな~ 流石は賢王の側近!

コレで速度も魔力消費も段違いだろう。

目を丸くしたまま固まるワーク。

「ま、頑張れよ!」

惣一郎は南東の一號街目指して、クロの荷車に乗り進み出す。





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