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第十一章

十五話 【崩れ行く常識!】

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倒したんだから新鮮なウチに食おう!

クオンに調理法を聞くと、焼くだけだそうだ。

焼き蟹か…… 悪くない!

石を集め蟹が浮く程度重ねると、薪を大量に重ね、火を点ける。

炙られた蟹は、徐々に赤くなっていき、関節からぶくぶく泡を出し始める。

泡が出なくなったら食べ頃の様だ。

大きさから足一本でも、食い切れないだろう!

興奮する惣一郎だった。

美味そうな匂いが漂い出す。

結構な時間焼き続けると、ようやく泡が出なくなる。

クオンの合図で水をかけると、パキパキパキ!っと外殻が割れ、いい匂いが立ち込める。

殻を剥くと思いの外、身が入ってない。

あの大きさからは想像出来ない量だった。

それでも惣一郎の知っている蟹よりは、全然大きく食べ応えありそうだった。

早速、頬張る!

んーーーーーーまい! 

コレはもう、蟹だ、タラバガニだ!

注)タラバガニは蟹じなく、ヤドカリの仲間。

止まらない惣一郎に、皆んなも食べ始める!

蟹を食うと無言になるとはよく言ったもんで、まさに全員無言で食いまくる。

大きな蟹の足がみるみる殻だけになって行く。

蟹酢を漬けたり、マヨネーズで食べたり、バリエーションも増えていく。

あっという間に、あの大きな蟹の足を、完食してしまう。

クロも喜んで食べていた。

惣一郎はいよいよ蟹味噌に手をつける!

弁慶に外殻を引き剥がしてもらい、まだ湯気が立つ大量の味噌にヨダレが止まらない!

ジュル……


………不味い。

苦い、何だコレ……

「グラフは足と鋏しか食べれませんよ!」

肩を落とす惣一郎……

まぁ、それでも十分美味かった!

保存用にもっと欲しい!

惣一郎は辺りを見渡し、クロに他にいないか聞く。

するとクロも蟹が気に入ったのか、付いて来い!っと吠える。

追いかけると、今度は2匹もいた!

味噌が食えないなら遠慮は無用!

蟹の両鋏を鉄球で弾き、浮いた腹部に回転する苦無が貫通しあっさり倒す。

2匹目は弁慶が侃護斧で、後ろから体をひっくり返し腹部を強打!

こちらもあっさり潰して、倒す。

「えっ、えっ、だって、さっき……」

動揺するクオン。

「慣れだよ、慣れ!」

適当に答える惣一郎だった。

先を急ぐはずだったが、惣一郎は日が暮れるまで、グラフを狩りまくった。

その数8匹と、まずまずの結果であった。

テントを出し、風呂の準備をする惣一郎。

ベンゾウ達と風呂に入るクオンの常識が、どんどん音を立てて崩れて行く。

ジビカガイライの戦闘力はもちろん。

荷車の乗り心地。

美味しい食べ物。

世界を席巻出来るデザインの下着。

そして高級な宿でも珍しい風呂。

どれもがクオンには魅力的に映るのだった。

気付けば惣一郎に、頭を下げるクオン。

「どうか、その魅力的な下着だけでも……」

「断る!」




翌朝、卵かけ御飯で朝食を済ませ、また三號街を目指し進み始める。

森に着くと、入り口から木の上に家が見える。

森全体に人が住んでいるのか?

三號街は、このずっと先にあるそうだ。





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