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第十章
四話 【晴天の霹靂】
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岩の下、湯気が立ち昇る辺りの砂利を掘ると、どんどん温泉が湧き出る。
半日もほっとくと茶色い濁りは無くなり、乳白色になるそうだが、惣一郎にはクリーンがある。
一瞬で透明になり、徐々に乳白色の綺麗な温泉が出来上がる。
「にごり湯か! いいね~」
この後の事を考えて、ホッとする惣一郎だった。
湯加減は…… あっち~!
ウォーターで薄めるとややぬるくし過ぎた。
するといきなり、ドッボーン!
「ゲフォ、ゲフォ!」
裸でマスク姿のベンゾウが、飛び込んで溺れかけていた。
濡れたマスクで呼吸が出来なかった様だ。
外すと鼻を押さえ裸で消臭剤の元へ走る。
「何がしたいんだ?」
「臭い! ケフォッ! いつものお風呂のがいいと思うよご主人様~」
仕方ない…… 露天風呂の周りに大きめの消臭剤を置いてやる。
クロはテントに入ったっきり出てこない。
匂わないとは思うんだが、追加でテントの中にもいくつか置くことにする。
いつの間にか弁慶も、裸で入っていた。
コイツら少し自由すぎやしないか?
だが惣一郎は慌てない!
ネットで刺身に日本酒を買い、存分に温泉を楽しむ気で準備する。
お盆を浮かべて、ようやく足を入れ、肩まで浸かると「ファ~」っと声を漏らす。
「いい、いいぞ! 最高っ!」
「長湯するならこの位、ぬるくて丁度いいな!」
ベンゾウはすでに刺身の盛り合わせに目が釘付けだ。
ふたりにもお盆と醤油と箸を渡す。
惣一郎は日本酒をきゅっと口に運ぶ!
鼻から抜ける日本酒の香りが…… しない。
消臭剤効果? 口の中まで?
残念だが味だけ楽しむ。
弁慶は座っても胸が出るので、一部深く掘ったおかげで、肩まで浸かっている。
「旦那様、この酒美味いぞ!」
ベンゾウはご飯を要求!
風呂で裸で、ご飯を食べていた。
シュールだ……
惣一郎は幸せな時間を楽しんでいた。
刺身もわさびも醤油も…… 臭いって美味いにこんなに関係してたんだな~っと、幸せに物足らなさを感じる惣一郎だった。
湯上がりの熱った身体を、団扇の風で涼む惣一郎と弁慶。
ベンゾウはアイスで涼んでいた。
翌日、ベンゾウとクロは出たがらないので、弁慶とギルドに向かうと、町が大騒ぎになっていた。
「え、何事?」
慌ただしく行き交う人々の中にワニ男がいた。
「なぁ、何の騒ぎなんだ?」
「あんた誰?」
別人だった。
「すまん人違いだった。所でこれは何の騒ぎなんだろうか?」
「知らないのか? 昨日王都が襲撃されて、王族が殺されたそうだ! まだ詳しくは分からんが、戦争になるかも知れないって、朝から大騒ぎさ!」
「マジで……」
「ああ、悪いが急ぐんでね」
「あぁ、ありがとう」
「旦那様!」
「うん、どうしようね」
ワーテイズ城襲撃、王族の死。
まさかが頭を過ぎる。
モモ達が…… いやいやありえない!
半日もほっとくと茶色い濁りは無くなり、乳白色になるそうだが、惣一郎にはクリーンがある。
一瞬で透明になり、徐々に乳白色の綺麗な温泉が出来上がる。
「にごり湯か! いいね~」
この後の事を考えて、ホッとする惣一郎だった。
湯加減は…… あっち~!
ウォーターで薄めるとややぬるくし過ぎた。
するといきなり、ドッボーン!
「ゲフォ、ゲフォ!」
裸でマスク姿のベンゾウが、飛び込んで溺れかけていた。
濡れたマスクで呼吸が出来なかった様だ。
外すと鼻を押さえ裸で消臭剤の元へ走る。
「何がしたいんだ?」
「臭い! ケフォッ! いつものお風呂のがいいと思うよご主人様~」
仕方ない…… 露天風呂の周りに大きめの消臭剤を置いてやる。
クロはテントに入ったっきり出てこない。
匂わないとは思うんだが、追加でテントの中にもいくつか置くことにする。
いつの間にか弁慶も、裸で入っていた。
コイツら少し自由すぎやしないか?
だが惣一郎は慌てない!
ネットで刺身に日本酒を買い、存分に温泉を楽しむ気で準備する。
お盆を浮かべて、ようやく足を入れ、肩まで浸かると「ファ~」っと声を漏らす。
「いい、いいぞ! 最高っ!」
「長湯するならこの位、ぬるくて丁度いいな!」
ベンゾウはすでに刺身の盛り合わせに目が釘付けだ。
ふたりにもお盆と醤油と箸を渡す。
惣一郎は日本酒をきゅっと口に運ぶ!
鼻から抜ける日本酒の香りが…… しない。
消臭剤効果? 口の中まで?
残念だが味だけ楽しむ。
弁慶は座っても胸が出るので、一部深く掘ったおかげで、肩まで浸かっている。
「旦那様、この酒美味いぞ!」
ベンゾウはご飯を要求!
風呂で裸で、ご飯を食べていた。
シュールだ……
惣一郎は幸せな時間を楽しんでいた。
刺身もわさびも醤油も…… 臭いって美味いにこんなに関係してたんだな~っと、幸せに物足らなさを感じる惣一郎だった。
湯上がりの熱った身体を、団扇の風で涼む惣一郎と弁慶。
ベンゾウはアイスで涼んでいた。
翌日、ベンゾウとクロは出たがらないので、弁慶とギルドに向かうと、町が大騒ぎになっていた。
「え、何事?」
慌ただしく行き交う人々の中にワニ男がいた。
「なぁ、何の騒ぎなんだ?」
「あんた誰?」
別人だった。
「すまん人違いだった。所でこれは何の騒ぎなんだろうか?」
「知らないのか? 昨日王都が襲撃されて、王族が殺されたそうだ! まだ詳しくは分からんが、戦争になるかも知れないって、朝から大騒ぎさ!」
「マジで……」
「ああ、悪いが急ぐんでね」
「あぁ、ありがとう」
「旦那様!」
「うん、どうしようね」
ワーテイズ城襲撃、王族の死。
まさかが頭を過ぎる。
モモ達が…… いやいやありえない!
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