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第九章
三十話 【市場へ】
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翌日、リアカーを引き取りに工場を訪れる惣一郎達。
短時間でいい出来だ!
大きな箱を積んだリアカーは折り畳みで、テーブルを出し、ここで売る事も出来る!
「素晴らしい! 流石ドワーフだ!」
「誉めたってなんも出ね~ぞ!」
嬉しそうなドワーフに料金を払い、弁慶が引いて戻る。
すると道中、長い剣を持った冒険者風の男が、
「ジビカガイライのお方ですか?」
またか……
「何か御用ですか? 仲間は募集しておりませんが」
「ふふ、なら立会ってもら!」
すでにベンゾウの小刀が首元に当たっていた。
「じゃ、そう言う事で」
「ま、待ってくれ! 今一度!」
「貴方は何個も命をお持ちなんですか?」
「………」
惣一郎は借家へ戻っていく。
男はずっと立っていた。
家に着くと庭の蒸器を使って、通しで練習してみる事にした。
カールとハイジだけでだ。
何度も練習をしていた少女は、慣れた手つきでプリンを作っていく。
まだ瓶は出来てないので、惣一郎が出した物だった。
カールは庭の蒸器に薪を並べ、火を点けると水の入った大きな鍋を設置する。
大きなトレイに並べられていくプリンを、カールがドンドン蒸器に並べ、蓋をする。
ハイジはもう木の実でソースを作っていた。
カールもリアカーの冷蔵庫から氷を取ると、惣一郎が出した手回しのかき氷器にセットして行く。
手際も完璧だ!
出来たソースをアイスの魔法で出した氷の上で冷やし、かき氷にかけスプーンを刺して惣一郎の元へ運んで来る。
ソースがまだぬるいが美味い!
「完璧だな! 明日にはもう商売出来るよ!」
喜びを隠せないふたりだった。
蒸し上がったプリンを、冷蔵庫で冷やす。
カールはエプロンを脱ぎ、
「惣一郎殿、私はこの歳で生まれ変わり、今新しい事に挑戦しております。あのまま殺されていても仕方ない人生でしたが、ここでお嬢様と共に新たな目標が出来たのは、全て惣一郎殿のおかげでございます。本当にありがとうございます」
深々と頭を下げ、涙ぐむ元執事で殺し屋の男。
ハイジも横に来てエプロンを脱ぐ。
「ありがとう……」
9歳とは言え、親の敵に頭を下げて礼を言う。
それがどんな意味なのかも理解した上でだろう。
惣一郎の目にも熱いものが込み上げて来る。
「クソ、今日は焼肉だ!」
喜ぶベンゾウと弁慶も目に涙を溜めていた。
庭にテーブルを出し、豪華な肉を並べる!
酒を飲みながら贅沢な晩餐は遅くまで続いた。
デザートはもちろんプリンだった。
朝早くから仕込みに追われる、カールとハイジ。
惣一郎はふたりに、ジュラルミンの杖を渡し、カールにはダマスカス三徳包丁も渡す。
「家の倉庫に、薪や蒸器の補修に使う材料なんかを突っ込んで置いたから」
「もう行くのですか?」
「ああ、もう俺の手は必要ないだろ」
「何から何まで、本当にありがとうございます」
「いいって! ギルドによってから街を出るよ」
「いつでも帰って来て良いんだからね」
「ああ。さ、早く行かないと良い場所取れないぞ!」
ふたりはリアカーを引き、手を振りながら市場へと向かう。
惣一郎達はテントを片し始める。
「旦那様、初日ぐらい見て行っても」
「プリン美味かっただろ? 大丈夫だよ!」
すると家を出たハイジが、泣きながら走って戻って来た。
惣一郎に抱き付き、泣きながら、
「ごめんなさい…… 本当は惣一郎が悪くないってわかってたの…でも…… ごめんなさい……」
「大丈夫、それはリンゼだろ、泣くなハイジ!」
手を繋ぎ途中まで、一緒に歩く惣一郎だった。
短時間でいい出来だ!
大きな箱を積んだリアカーは折り畳みで、テーブルを出し、ここで売る事も出来る!
「素晴らしい! 流石ドワーフだ!」
「誉めたってなんも出ね~ぞ!」
嬉しそうなドワーフに料金を払い、弁慶が引いて戻る。
すると道中、長い剣を持った冒険者風の男が、
「ジビカガイライのお方ですか?」
またか……
「何か御用ですか? 仲間は募集しておりませんが」
「ふふ、なら立会ってもら!」
すでにベンゾウの小刀が首元に当たっていた。
「じゃ、そう言う事で」
「ま、待ってくれ! 今一度!」
「貴方は何個も命をお持ちなんですか?」
「………」
惣一郎は借家へ戻っていく。
男はずっと立っていた。
家に着くと庭の蒸器を使って、通しで練習してみる事にした。
カールとハイジだけでだ。
何度も練習をしていた少女は、慣れた手つきでプリンを作っていく。
まだ瓶は出来てないので、惣一郎が出した物だった。
カールは庭の蒸器に薪を並べ、火を点けると水の入った大きな鍋を設置する。
大きなトレイに並べられていくプリンを、カールがドンドン蒸器に並べ、蓋をする。
ハイジはもう木の実でソースを作っていた。
カールもリアカーの冷蔵庫から氷を取ると、惣一郎が出した手回しのかき氷器にセットして行く。
手際も完璧だ!
出来たソースをアイスの魔法で出した氷の上で冷やし、かき氷にかけスプーンを刺して惣一郎の元へ運んで来る。
ソースがまだぬるいが美味い!
「完璧だな! 明日にはもう商売出来るよ!」
喜びを隠せないふたりだった。
蒸し上がったプリンを、冷蔵庫で冷やす。
カールはエプロンを脱ぎ、
「惣一郎殿、私はこの歳で生まれ変わり、今新しい事に挑戦しております。あのまま殺されていても仕方ない人生でしたが、ここでお嬢様と共に新たな目標が出来たのは、全て惣一郎殿のおかげでございます。本当にありがとうございます」
深々と頭を下げ、涙ぐむ元執事で殺し屋の男。
ハイジも横に来てエプロンを脱ぐ。
「ありがとう……」
9歳とは言え、親の敵に頭を下げて礼を言う。
それがどんな意味なのかも理解した上でだろう。
惣一郎の目にも熱いものが込み上げて来る。
「クソ、今日は焼肉だ!」
喜ぶベンゾウと弁慶も目に涙を溜めていた。
庭にテーブルを出し、豪華な肉を並べる!
酒を飲みながら贅沢な晩餐は遅くまで続いた。
デザートはもちろんプリンだった。
朝早くから仕込みに追われる、カールとハイジ。
惣一郎はふたりに、ジュラルミンの杖を渡し、カールにはダマスカス三徳包丁も渡す。
「家の倉庫に、薪や蒸器の補修に使う材料なんかを突っ込んで置いたから」
「もう行くのですか?」
「ああ、もう俺の手は必要ないだろ」
「何から何まで、本当にありがとうございます」
「いいって! ギルドによってから街を出るよ」
「いつでも帰って来て良いんだからね」
「ああ。さ、早く行かないと良い場所取れないぞ!」
ふたりはリアカーを引き、手を振りながら市場へと向かう。
惣一郎達はテントを片し始める。
「旦那様、初日ぐらい見て行っても」
「プリン美味かっただろ? 大丈夫だよ!」
すると家を出たハイジが、泣きながら走って戻って来た。
惣一郎に抱き付き、泣きながら、
「ごめんなさい…… 本当は惣一郎が悪くないってわかってたの…でも…… ごめんなさい……」
「大丈夫、それはリンゼだろ、泣くなハイジ!」
手を繋ぎ途中まで、一緒に歩く惣一郎だった。
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