上 下
163 / 409
第九章

七話 【新武器の命名!】

しおりを挟む
「アハハ、素直なお人だ! イケメンと誉めてもらったしウザイは忘れましょう。では何か有れば、いつでもギルドまで!」

「ご主人様…… ドンマイ」

「イケメンとウザイ…… 通じるんだな……」

笑いながら去る、イケメンギルド長だった。



魔導書店を探すのをすっかり忘れ、また町をぶらつきながら武器屋に戻る惣一郎。

戻ると、弁慶が頭を抱え丸くなっていた。

完成した武器に喜び、ずっと魔法を使いながら短剣を慣らしていたらしい。

まったく限度を知らん…… アホめ!

出来た武器は分厚く重く、先に広がるナタの様な太古の武器を思わせ、持ち手は握りに合わせ削られ、金属だけで出来ている鈍器とも斧とも形容しづらい短剣だった。

地面に置かれたその武器を、惣一郎が試しに持ち上げようとするが、踏ん張って少し浮く程度だった。

最初の塊は持てたのだが……

ま、いっか!

弁慶にも強力な武器が出来たって事で!

これで剣を受けたら、剣の方が折れるだろう。

「旦那様、アタイこの武器を必ず使いこなしてみせる!」

「惣一郎よ、コイツは重く硬いだけの武器だ! だがそれだけに特化した武器は、使いこなせば、ダンジョン産にも引けを取らね! 名を付けてやんな!」

出た、また俺に名付けさせるのかよ!

ん~ 短剣… ナタ… 斧… 鈍器……

重くて硬い…… なんか看護婦さんでいたな~ 太ってて固そうで重そうな…… ぷふっ。

「よし決めた[侃護斧]だ!」

「おぉ、カンゴフか、侃護斧! いい名だ」

本当かよ……

「旦那様、この侃護斧! 大事にします」

君は早く寝なさい。

でもその重い侃護斧、腰にぶら下げて置くのか?

マジックポーチでも買ってやるか……

取り敢えず、アイテムボックスに収納する。



惣一郎は弁慶を寝かし、テテオに謝礼を払おうと話す。

「テテオ、ありがとうな! いくら払えばいい?」

「いい経験させてもらったよ! ドワーフ冥利に尽きるってもんだ! 金なんて取れねぇな」

「いやいや店も休ませたし、そう言う訳にも」

「いらねぇよ、庭代も多めにもらったし」

「ん~ テテオ、工房で大事な道具マジックポーチに仕舞ってたよな」

「ああ、それがどうした? マジックバッグなんて高くて買えねぇしな」

「やっぱり、このバッグと交換しないか?」

「おめぇこりゃ、マジックバッグの大じゃね~か! このポーチ何個買えると思ってんだ!」

「余ってるんだ、ちょうど今、弁慶に侃護斧を仕舞うポーチを買おうと思ってて、差額分が今回の謝礼と思ってくれ!」

テテオもそういう事ならと、喜んで交換してくれた。

「長居したな! 明日、町を出るよ」

「そうか…… 冒険者だもんな!」

その日は中庭でお礼もかねて、焼肉パーティーとなった。

テテオもカカも高級な肉に、驚きながら美味いを連発していた。

酒も進み、この町最後の晩餐は、楽しく遅くまで続いた……





翌日、遅く起きた惣一郎達はテント収納し、テテオとカカに別れの挨拶をして、店を出る。

弁慶の頭痛はすっかり治まっており、腰には使い古されたポーチが下がっている。

惣一郎達は、テテオに聞いた北東にある[イカホの町]を目指す事にする。

何故ならこの、イカホの名を持つ町は、偶然にも温泉地との事!





しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...