149 / 409
第八章
十七話 【緩和の宴】
しおりを挟む
城の中庭にテントを出させてもらう。
モモもさっきまでテントで寝ると騒いでいたが城の人に連れて行かれた。
夕飯は城で豪華な料理を頂いたので、のんびり風呂にでも浸かりたいと湯を沸かしている。
城の豪華な風呂を勧められたが、庶民の惣一郎にはこのぐらいの贅沢が丁度いい。
ベンゾウには経験だからとモモと豪華な風呂に入るよう勧めたが、ベンゾウもこっちがいいとの事。
のんびり足を伸ばし、肩まで浸かる至極の時をベンゾウと過ごす。
「ベンゾウさん、また厄災だってよ」
「またシューってします? ご主人様」
「どうだろうな~」
風呂を出たらお決まりのアイスとビール!
熱った体にビールの最初の喉越しが、
「プハー! たまらん!」
なんだかビールを飲んでたら口が寂しくなったので、軽くつまむ物を……
中庭にバーベキューセットを出して、イカとサザエを焼き始める。醤油の暴力的な匂いが辺りに漂い始め、イカは生姜醤油で千切って食べる!
美味い!
ベンゾウも串に刺して姿焼を齧り付く。
グツグツ言い出したサザエにも醤油を垂らすと、匂いに釣られ城の人が見に来る。
冷えたビールを渡して、追加でイカを焼く!
「なんだこのエールは、冷たくてすっきりして、こんなの飲んだ事ないぞ!」
すると宰相さんと財務大臣も不思議そうに顔を出すので、飲んできな!
イカを片手に大喜び!
人が集まり出してお祭り騒ぎ! 気がつきゃモモも王様もいる!
バーベキューセットも今じゃ5台がフル稼働!
女中さんが手伝ってくれて、料理も増え、城からも料理が運ばれ、テーブル席もいつの間にか出来ている。
惣一郎は、醤油の偉大さを改めて知る。
王様って、毒味された物しか口にしないんじゃないのね……
厄災の討伐を惣一郎が引き受けた事で、安心から緊張の糸が切れたのか、急な宴は遅くまで続いた。
翌朝目を覚ますと、テントの周りをウロウロするメイドがいた。
出て声を掛けると「何処から?」っと驚き不思議そうにしていた。
テントが見えなかった様だ……
朝食の準備が出来たそうで、呼びに来てくれたメイドに案内され、食べに出向くと、二日酔いで他のみんなは欠席していた。
今は情報が入るまでする事が無い惣一郎は、街をぶらつく事にする。
厄災の事を知る由も無いこの街は、賑やかに活気に満ちていた。
すると広場に人集りが出来ており、その中に頭一つ、いや二つ飛び出た大きな人影が見えた。
騎士の人達と揉めていた様で、数人の見た事のある騎士が、倒れうずくまっていた。
昨夜の宴会にいた城の騎士だった。
近づくと、大きな人影は2mを優に超す、筋肉質な女性だった。
黒い皮のズボンに腰に毛皮を巻き武器を下げ、上半身は黒いビキニに肩を隠すだけの上着、長く白い髪に、額に見える突起はツノだろうか、20代の冒険者風の女性だった。
「どうしたんですか?」
倒れた騎士に声を掛けると、恥ずかしそうに、
「惣一郎殿! いえ…… 街をうろつく彼女が不審に思え、声を掛けたら何故か口論になってしまい、お恥ずかしい……」
「違う…… 決め付けていた」
「な、何を言う! 鬼人が!」
「まぁまぁ、落ち着いて!」
「お前も、仲間か?」
「ん? まぁそうなるのか?」
すると鬼人が惣一郎に殴り掛かる!が、拳は惣一郎の手前で止まる。
いつの間にか間に入ったベンゾウの小刀が、鬼人の正面から首元に光っていた。
「は、はやい!」
「取り敢えず落ち着いて話しませんか?」
額に汗が見える鬼人の女は、観念して拳を下ろす。
場所を変え、人の少ない木陰で座る鬼人は、座っていても大きかった。
騎士の人達は居ると揉めそうなので、後は任せて帰ってもらい、惣一郎が話を聞く。
「冒険者?」
「……ああ」
「依頼で?」
「……いや」
………
………
会話が続かない子だったが、鬼人の娘はベンゾウが気になる様で、
「あの娘は…… お前の牙か?」
「牙? あぁ、違う仲間だよ」
「奴隷だろ」
「仲間だ」
「強いな……」
「ああ、最強だ!」
クロと離れて遊んでるベンゾウを見ながら、少し会話が続いた。
「鬼人って種族なのか?」
「……知らんのか?」
「ああ、オーガなら倒したが、鬼人は初めてだ」
「オーガを?」
「あぁ、4本腕の!」
………
「鬼人ではない[ベルセルク]だ」
聞いた事ある名前だな、確か狂戦士とかそんな…… 似た様なもんじゃね?
「俺は惣一郎だ」
「なっ! ジビカガイライか!」
急に目の色を変え立ち上がる鬼人…… じゃ無いベルセルクだった。
あら、ご存じで……
モモもさっきまでテントで寝ると騒いでいたが城の人に連れて行かれた。
夕飯は城で豪華な料理を頂いたので、のんびり風呂にでも浸かりたいと湯を沸かしている。
城の豪華な風呂を勧められたが、庶民の惣一郎にはこのぐらいの贅沢が丁度いい。
ベンゾウには経験だからとモモと豪華な風呂に入るよう勧めたが、ベンゾウもこっちがいいとの事。
のんびり足を伸ばし、肩まで浸かる至極の時をベンゾウと過ごす。
「ベンゾウさん、また厄災だってよ」
「またシューってします? ご主人様」
「どうだろうな~」
風呂を出たらお決まりのアイスとビール!
熱った体にビールの最初の喉越しが、
「プハー! たまらん!」
なんだかビールを飲んでたら口が寂しくなったので、軽くつまむ物を……
中庭にバーベキューセットを出して、イカとサザエを焼き始める。醤油の暴力的な匂いが辺りに漂い始め、イカは生姜醤油で千切って食べる!
美味い!
ベンゾウも串に刺して姿焼を齧り付く。
グツグツ言い出したサザエにも醤油を垂らすと、匂いに釣られ城の人が見に来る。
冷えたビールを渡して、追加でイカを焼く!
「なんだこのエールは、冷たくてすっきりして、こんなの飲んだ事ないぞ!」
すると宰相さんと財務大臣も不思議そうに顔を出すので、飲んできな!
イカを片手に大喜び!
人が集まり出してお祭り騒ぎ! 気がつきゃモモも王様もいる!
バーベキューセットも今じゃ5台がフル稼働!
女中さんが手伝ってくれて、料理も増え、城からも料理が運ばれ、テーブル席もいつの間にか出来ている。
惣一郎は、醤油の偉大さを改めて知る。
王様って、毒味された物しか口にしないんじゃないのね……
厄災の討伐を惣一郎が引き受けた事で、安心から緊張の糸が切れたのか、急な宴は遅くまで続いた。
翌朝目を覚ますと、テントの周りをウロウロするメイドがいた。
出て声を掛けると「何処から?」っと驚き不思議そうにしていた。
テントが見えなかった様だ……
朝食の準備が出来たそうで、呼びに来てくれたメイドに案内され、食べに出向くと、二日酔いで他のみんなは欠席していた。
今は情報が入るまでする事が無い惣一郎は、街をぶらつく事にする。
厄災の事を知る由も無いこの街は、賑やかに活気に満ちていた。
すると広場に人集りが出来ており、その中に頭一つ、いや二つ飛び出た大きな人影が見えた。
騎士の人達と揉めていた様で、数人の見た事のある騎士が、倒れうずくまっていた。
昨夜の宴会にいた城の騎士だった。
近づくと、大きな人影は2mを優に超す、筋肉質な女性だった。
黒い皮のズボンに腰に毛皮を巻き武器を下げ、上半身は黒いビキニに肩を隠すだけの上着、長く白い髪に、額に見える突起はツノだろうか、20代の冒険者風の女性だった。
「どうしたんですか?」
倒れた騎士に声を掛けると、恥ずかしそうに、
「惣一郎殿! いえ…… 街をうろつく彼女が不審に思え、声を掛けたら何故か口論になってしまい、お恥ずかしい……」
「違う…… 決め付けていた」
「な、何を言う! 鬼人が!」
「まぁまぁ、落ち着いて!」
「お前も、仲間か?」
「ん? まぁそうなるのか?」
すると鬼人が惣一郎に殴り掛かる!が、拳は惣一郎の手前で止まる。
いつの間にか間に入ったベンゾウの小刀が、鬼人の正面から首元に光っていた。
「は、はやい!」
「取り敢えず落ち着いて話しませんか?」
額に汗が見える鬼人の女は、観念して拳を下ろす。
場所を変え、人の少ない木陰で座る鬼人は、座っていても大きかった。
騎士の人達は居ると揉めそうなので、後は任せて帰ってもらい、惣一郎が話を聞く。
「冒険者?」
「……ああ」
「依頼で?」
「……いや」
………
………
会話が続かない子だったが、鬼人の娘はベンゾウが気になる様で、
「あの娘は…… お前の牙か?」
「牙? あぁ、違う仲間だよ」
「奴隷だろ」
「仲間だ」
「強いな……」
「ああ、最強だ!」
クロと離れて遊んでるベンゾウを見ながら、少し会話が続いた。
「鬼人って種族なのか?」
「……知らんのか?」
「ああ、オーガなら倒したが、鬼人は初めてだ」
「オーガを?」
「あぁ、4本腕の!」
………
「鬼人ではない[ベルセルク]だ」
聞いた事ある名前だな、確か狂戦士とかそんな…… 似た様なもんじゃね?
「俺は惣一郎だ」
「なっ! ジビカガイライか!」
急に目の色を変え立ち上がる鬼人…… じゃ無いベルセルクだった。
あら、ご存じで……
24
お気に入りに追加
1,868
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる