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第八章

十五話 【大物!】

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また部屋を変え、城のお偉い様が顔を揃える。

「そういえばクロは?」

中庭で腹を上に、食べ切れなかった肉に囲まれていた。

するとドアが開き、小柄な年配の女性が大きな杖を持って入ってくる。

年齢的にはいい頃合いだが、子供の様な体格で、惣一郎のセンサーには引っかからない。

「ヌイバリ殿、どうでしたか?」

口を開いたのは、惣一郎を城に連れて来た、軍務大臣のマルジだった。

「ええ、確認が取れました」

入って来た小柄な女性がギルマスの様だった。

「ジビカガイライの惣一郎殿ですね。初めまして! ここ王都のギルドマスターをしております、ヌイバリと申します。ロウガ氏より困った事があれば力になる様にと頼まれていたのですが、巻き込んでしまい大変申し訳ありません」

そういう繋がりか!

「ですが、今は事が大きく動いており、御助力願いたくお話しさせて頂きました。御約束を破った責は後日、私がお受けします。ですからどうか、この国もエリリンテの様にお救いください! ゴキコロリ様」

「「「 !!!! 」」」

「何と!! 其方がゴキコロリなのか!」

「ザワザワ……ゴキコロリだと……本物なのか……エリリンテの英雄がなぜ……ノイデンでも厄災を倒したと伝説に……吟遊詩人の詩じゃなかったのか!」

あちゃ~ 終了です。

僕のスローライフが終了しました…… 

いや、ここは一か八か賭けに!

「ナンノコトダイ?」

「ではヌイバリ殿! この国は救えるのか!」

「はい、ゴキコロリ様ならば!」

聞いてねーーーーーーー!

「お父様…私は身近で……惣一郎様の強さを知っております……そのお力は…計り知れません! ヌイバリから…もしやジビカガイライならと聞いて、全く疑いもしませんでした、コレは天命です!」

「「「 王よ! 」」」

「ふむ、惣一郎殿よ、誠に厄災を?」

「ふぇ? さぁ~ どんなのか知らないし、まぁやれんじゃないっすかね~ 厄災って虫でしょ虫! 俺の事は無視して虫倒せって… あはは」

完全にヘソを曲げ、開き直った惣一郎だった。

慌ててモモが取り入る!

「惣一郎様…内緒にされていた事から、大変な事情がおありなのは十分理解出来ます……それをこの様な形で巻き込んでしまい、大変申し訳ありません! 命の恩に対してこの様な……ですが、今この国は危機的状況にございます…どうか今一度、お助け頂けないでしょうか!」

一国の姫が、国の重臣だけとはいえ、皆の前で床に手を着き頭を下げる。

慌ててヌイバリも土下座のポーズで、モモに並ぶと、

「内密にもかかわらず、国の一大事と約束を違え、申し訳ありません!」

このふたりの行動に、半信半疑だった重臣達も、皆『この男なら……』っと惣一郎を見る。

王が席を立とうするのを宰相が止める。

「別に助けたくない訳じゃ無いのよね~ ただやり方っつうの? 内緒の意味知ってる?」

グジグジと大人気ない惣一郎だった。

その後、ジビカガイライからの条件を提示する。

今ここに居る者だけの秘密と厳守する事。

やり方は全て、俺、惣一郎の指示に従う事。

二度と国の争いに巻き込まない事。

「以上!」

「報酬の話がないではないか?」

「名声はいらんというのか?」

「王よ、信じていいのか?」

そこにヌイバリが、

「エリリンテでは、500以上の厄災を歩きながら倒して行ったと聞きます。この国でこの数の厄災に立ち向かえる者はいないでしょう、情報では、今回解き放たれる厄災はその上の数字と予想されます! ならば」

軍務大臣のマルジも、

「王よ、今この国は新たに動き出したばかりです。国民も姫のなされた事に強い関心を向けております。そんな中、隣国と事を構えるとなればまだしも、相手が厄災の大群となると……」

「「「 王よ! 」」」

「ふむ、国民の為ならこの頭、いくらでも下げようぞ! 惣一郎殿、頼まれて貰えるだろうか?」

………

「惣一郎殿は?」

「それが…… 街を見て来ると……」

大物なのか?





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