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第七章

十六話 【そして、また…】

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惣一郎はテントで必要の無くなったベッドを収納する。

「また、寂しくなったね、ご主人様」

「すぐ慣れるさ!」

地図を広げて、コレからの事を決める。

「ん~ どっか行きたい所あるか?」

「何処でも、ご主人様と一緒!」 ワン!

久しぶりの会話な気がする惣一郎だった。

ここアースリア大陸のコレイ国は、東に砂漠が広がっており、その先に[王都コレイ]がある。

砂漠を北に行けば[ミトの街]があり、そのずっと先は隣の国になる。

取り敢えず、砂漠の入り口[ドスリエルの町]を目指すか。

明日ガーデイルに戻っても、何処にも寄らずに真っ直ぐ街を出ようとベンゾウに話す。

変に噂になる前に、行方不明と思われた方がいいだろう。

エリクシールと呼ばれるエリクサーを手に入れた事は知らないだろうが、先に戻ったビルゲン達が下手したら魔導書を手に入れた事ぐらい話してる恐れもある。

ジビカガイライの噂も、しばらくはついて回るだろう……

不安は尽きない、惣一郎であった。

何処か遠くに行きたい……


目が覚めると、ベンゾウが珍しく先に起きてクロと遊んでいた。

「おはよ~ 寝れなかったのか?」

「ご主人様が全然起きなかったの」

どうやら俺が寝過ぎた様だ……

腹を空かせたベンゾウに食事を作る惣一郎。

ベンゾウリクエストのカレーである。

食べ終えると出発を前に、荷物を整理する。

マンドレイクは何に使う物なのだろうか……

売れそうな装備はマジックバッグに入れ、後で売ろう。

ダンジョンでは、強い思いが報酬に関係するなら、強魔力薬は単純に魔力を底上げしてくれるのだろうか…… ガーデイルの商人なら答えを持っていそうだが、街には正直戻りたく無い惣一郎だった。


テントを片して、ふたりと1匹は魔法陣に乗る。

光りに包まれ、空気が変わる。




気が付くと、朝日が惣一郎達を照らしていた。

多少のずれ程度で、大きく時間はずれていない様だった。

二歩進んで、異変に気付く惣一郎。

「何処だここ……」

明らかにガーデイルの入り口があった丘ではなかった。

街も見当たらない。

何も無い平原が広がる中、惣一郎達は朝日に照らされ、固まっていた。

「出口は…… 違う所なのか?」

ベンゾウに聞いても答えは返って来ない。

少なくても、ガーデイルの近辺では無い事だけはわかる。

ふと惣一郎に、

[ガーデイルに戻りたく無い]

[何処か遠くに行きたい]

の二つの言葉が思い浮かぶ。

膝を突き惣一郎は「やられた」っと、声を漏らす。

ダンジョンの粋な計らいは、惣一郎を不安にさせた……





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