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第七章
六話 【人間やめますか?】
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肩を落とし落ち込む惣一郎を、ベンゾウが慰める。
「ドンマイ、ご主人様」
バオは惣一郎が、お金に興味が有るのか無いのか、分からなくなっていた。
そして噂の閃光の乙女に、寒い雪の中で背中に汗が落ちるのを感じていた。
『聴こえますか? ビルゲン様、正解でしたね! ジビカガイライなら間違いなく回収出来そうです』
『ああ、聴こえるよバオ、本当に凄いね、惣一郎様は…… 僕、彼の子供が欲しくなったよ♡』
雪は次第に吹雪になっていった。
「今日は、ここまでにしようか」
惣一郎は木の影にテントを出し、中に入る。
惣一郎が暖炉に薪を入れ、火を点けながら、寒い日にはお鍋かな?っと夕飯の献立を考えていた。
風呂は…… やめておこう、吹雪だし。
全員にクリーンをかけて、食事の準備を始める。
「何度かけられても驚きますね、このクリーンには…… 惣一郎、貴方は魔族なのですか?」
「はい? 人間ですけど……」
「さっきまで、あんなに魔法使い続けていたのに…… 魔力の底が見えません」
「内緒です」
みんなで楽しく鍋を囲み、その日は早めに寝る事にした。
目が覚めると雪はやんでおり、積もる雪が膝上まで増していた。
暗い雪の中を朝という感覚もなく進む。
グルピーが数匹襲って来たが、惣一郎の苦無で瞬殺。
この雪ではベンゾウも動きづらいだろう。
特に危険もなく進むと前を塞ぐ岩肌が見えて来る。
岩肌には大きな鉄の扉があり、二階層のボス部屋に着いた様だ。
中に入ると、大型の四足獣がいた。
二つの頭を持つ狼は、こちらに気付くと牙を見せ唸り出す。
「[ワズベンタ]ですね! 惣一郎、此処は私達に!」
バオが弓を構え前に出る。
ビルゲンが杖を掲げて念じると、ワズベンタの足元に魔法陣が現れる。
バオの光矢が、連続でワズベンタを捕らえる!
雨の様に数十本もの光矢が降り注ぎ、足元の魔法陣からは、鎖が具現化してワズベンタを縛り上げる。
体の自由を奪われて、背中に無数の光矢が刺さり、足掻き苦しむワズベンタに、突風が吹き体を切り刻む。
たまらず叫びを上げるワズベンタの前足が折れ、膝を突く。
鎖に強く引っ張られたのだろう……
バオがトドメと弦を引く。
現れた太い光矢は、弦を離れると何十本と別れ、ワズベンタに刺さる。
ワズベンタは無数の光矢を生やし、サボテンの様に倒れる。
惣一郎は「やるじゃん!」と声をかけるが、バオもビルゲンも構えたまま、驚きの表情を見せる。
「な、何が……」
どうやら、自分の魔法に驚いている様だった。
惣一郎の食事の影響が出た様だった……
「ドンマイ、ご主人様」
バオは惣一郎が、お金に興味が有るのか無いのか、分からなくなっていた。
そして噂の閃光の乙女に、寒い雪の中で背中に汗が落ちるのを感じていた。
『聴こえますか? ビルゲン様、正解でしたね! ジビカガイライなら間違いなく回収出来そうです』
『ああ、聴こえるよバオ、本当に凄いね、惣一郎様は…… 僕、彼の子供が欲しくなったよ♡』
雪は次第に吹雪になっていった。
「今日は、ここまでにしようか」
惣一郎は木の影にテントを出し、中に入る。
惣一郎が暖炉に薪を入れ、火を点けながら、寒い日にはお鍋かな?っと夕飯の献立を考えていた。
風呂は…… やめておこう、吹雪だし。
全員にクリーンをかけて、食事の準備を始める。
「何度かけられても驚きますね、このクリーンには…… 惣一郎、貴方は魔族なのですか?」
「はい? 人間ですけど……」
「さっきまで、あんなに魔法使い続けていたのに…… 魔力の底が見えません」
「内緒です」
みんなで楽しく鍋を囲み、その日は早めに寝る事にした。
目が覚めると雪はやんでおり、積もる雪が膝上まで増していた。
暗い雪の中を朝という感覚もなく進む。
グルピーが数匹襲って来たが、惣一郎の苦無で瞬殺。
この雪ではベンゾウも動きづらいだろう。
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岩肌には大きな鉄の扉があり、二階層のボス部屋に着いた様だ。
中に入ると、大型の四足獣がいた。
二つの頭を持つ狼は、こちらに気付くと牙を見せ唸り出す。
「[ワズベンタ]ですね! 惣一郎、此処は私達に!」
バオが弓を構え前に出る。
ビルゲンが杖を掲げて念じると、ワズベンタの足元に魔法陣が現れる。
バオの光矢が、連続でワズベンタを捕らえる!
雨の様に数十本もの光矢が降り注ぎ、足元の魔法陣からは、鎖が具現化してワズベンタを縛り上げる。
体の自由を奪われて、背中に無数の光矢が刺さり、足掻き苦しむワズベンタに、突風が吹き体を切り刻む。
たまらず叫びを上げるワズベンタの前足が折れ、膝を突く。
鎖に強く引っ張られたのだろう……
バオがトドメと弦を引く。
現れた太い光矢は、弦を離れると何十本と別れ、ワズベンタに刺さる。
ワズベンタは無数の光矢を生やし、サボテンの様に倒れる。
惣一郎は「やるじゃん!」と声をかけるが、バオもビルゲンも構えたまま、驚きの表情を見せる。
「な、何が……」
どうやら、自分の魔法に驚いている様だった。
惣一郎の食事の影響が出た様だった……
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