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第六章

二十五話 【世界征服】

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惣一郎が倉庫で作り置きの料理を作っていると、モモと酷く落ち込んでいるベンゾウが帰って来た。

「どうした、何かあったのか?」

ベンゾウは泣きそうな顔で惣一郎に抱きつく。

「ちょっと……買い物が……上手くいかなかったみたいでして」

「買い物が、上手くいかない?」

「ええ……」

「騙されたとか?」

「いえ……そう言うのでは……」

モモの説明を聞くが、惣一郎にはよく理解出来なかったが、取り敢えずベンゾウの下着は後で、惣一郎が買ってあげる事で話は落ち着いた。

モモから丁寧なお礼の言葉と、自分の荷物を抜き取ったマジックバッグを受け取る。

お金は大分残っている様だった。

惣一郎は先程買ったマジックポーチにお金を少し入れ、槍など自分の荷物を入れておく様にとモモに渡す。

モモは感激し、また何度もお礼を言っていた。

夕飯は元気が出る様にと、ベンゾウの好きなカレーにする。

食後に惣一郎は風呂を入れ、片付けがあるので先に入る様にと、ふたりに勧める。

ふたりが風呂に入っている間に、ベンゾウの下着をネットで買い、夕食の片付けを終えるとまた、アルミ材を削り出す。



ふたりが風呂から上がって来ると、モモが下着姿でのぼせたのか恥ずかしいのか、赤い顔で現れる。

こちらの世界の下着はやや古めかしくサイズも合っていない様だった。

目のやり場に困るが惣一郎だが、自分も以前は家で下着姿で過ごしていたし、楽な格好でくつろげるのは良い事なのだと言い聞かせ、突っ込まない方向でスルーする。

だが、どうしても慣れるまで目がいってしまう。

そんな惣一郎を見てか、ベンゾウも下着が欲しいとモモの着ている下着を引っ張り取ろうとする。

「ちょぉぉぉっと! 待てって、買ってあるから!」

さっき買った下着を出すと、ふたりして肩を落とし、ため息を吐かれた。

ベンゾウは下着ぐらいで、えらい落ち込みようだった。

ハイジュニア向けのスポーツブラとショーツのセットが、気に入らなかった様だ。

違う色にするか聞いても返事もしてくれ無いベンゾウさん…… 何か違うのか?

その後モモが、懇切丁寧に惣一郎に説明すると、やっと理解した鈍感男は、顔を赤くしながら再度ネットで検索し出す。

ここで惣一郎は、サイズが分からない事に気がつく。

覚悟を決めた惣一郎はメジャーを購入し、検索画面のサイズの計測方法をモモに伝えて、ベンゾウのサイズを測る様にお願いする。

ふたりは、もう一度風呂場に行き、渡したメモ用紙に記入して戻ってくる。

もう失敗は許されない! 検索画面をふたりが見る事が出来ないのが、唯一の救いであった。

メモには、しれっとふたり分の記載がある。

ただの数字の羅列のはずだが、どっちが誰のかすぐに分かるのだ。



惣一郎は、燃え尽きていた。

そこには、やり遂げた男の顔があった……

大人の魅力満載の凝ったレースを施した繊細な作りと、肌触り、フィット感、全てがそこにはあった。

セクシーな、赤い上下に同じ赤いシルクのキャミソール姿のモモは「素晴らしい!」と、大絶賛している。

本命のベンゾウは、黒のレースのブラにほぼレースのボクサータイプのショーツ、黒のシルクのキャミソールと、こちらも大人の魅力たっぷりであった。

相当気に入った様で、言葉が出ない様子。

「コレ……世界征服……出来ますよ」

モモの言葉に、コクコク頷くベンゾウ。

特にシルクのキャミソールが凄すぎると絶賛。

しっかりとした重量感のある布に肌触りが最高です、世界中の女性に伝えるべきですっと熱弁していた。

もう懲り懲りと、風呂に入る惣一郎であった……





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