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第六章

二十話 【噂の!】

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倉庫でテントを出し、風呂で疲れを癒す為、お湯を沸かし始める惣一郎。

明日から情報集め、ダンジョンに挑む為である。

先に夕飯を済ませようと準備を始めると、すっかり焼肉の味を覚えたモモは夕飯に期待を寄せ、手伝う訳でも無く惣一郎を見ている。

時季的に今は夏になる。

この辺りでは夏といっても最高気温が30度を超える日はそうそう無く、朝晩は涼しく、日中でも動くと汗をかく程度で過ごしやすかった。

兎に角、夏! 夏と言えば惣一郎にはそうめんなのである。

焼肉の次の日には丁度いいそうめんを、喜んでいるのは惣一郎だけだった。

「アレ、美味しくない?」

美味いのは美味いのだが……っと口を濁すふたり。



風呂を出し、熱湯を注ぎ足して入浴剤を入れる。

湯船に浸かり足を伸ばす。

体を綺麗にするならクリーンで十分過ぎるが、風呂は癒す為にある!

「生き返るな~」

「ほんとですね……この生活を覚えると……抜け出せそうに……ありません」

「ベンゾウ、しあわせ~」

しれっと入って来やがって…… 

そう思いつつ、チラチラと胸を見る惣一郎だった。





翌朝、食事を済ますと情報集めにギルドへ向かう。

ダンジョンに入る許可をここで申し込むそうなので、惣一郎は中心街に向け、歩いていた。

ギルドは街のド真ん中! 丘の上のダンジョン入り口の目の前にある、大きな建物であった。

「これがダンジョンか……」

丘の上に大きな岩がいくつか並んでおり、真ん中の大きな岩が人の顔になっていた。

石の顔は大きく開けた口が入り口になっている様で、体部分があれば土の中だろう。

巨大な石を削り出して顔にした様な入り口は、目の部分も削って作られている様で、生気の無い目線は斜め上の空を見ていた。

すると、その生気の無い目が動きこちらを見る!

「なっ! 生きてるのか!」

思わず驚き声を上げる惣一郎に、ベンゾウは冷たく「ご主人様、魔物なので……」と言う。

マジか……

ダンジョンへの認識を改めないと行けない惣一郎であった。

まだドキドキしてる惣一郎は、向かいのギルドへと入って行く。

中は冒険者で賑わっており、買取カウンターでは人集りが出来ている。

何か良い物が出たのかも知れない。

受付へ行き、ダンジョン入場許可の申請をする。

「畏まりました。それで何チームで潜りますか?」

「ん?」

聞けば、危険なダンジョンは何チームも集まって[クラン]を作り、大人数で潜るそうだ。

最低でも10人から、多いと50人は集まり潜るとの事。

「あぁ~ でしたら必要無いです。この3人と1匹で申請お願いします」

「はい? 死にたいのですか?」

「いや、この面子で十分って言ってるだけです」

「はぁ~ ダンジョンについてもう少し勉強してからの方が良いですよ。100人で潜って何人帰って来れるか知ってます?」

惣一郎も受付の若い女性の態度に、段々イラついてくる。

受付の言い分としては至極真っ当なのだが……

「3人じゃ申請出来ないんですか?」

すると、受付で何を揉めてるんだと気になった冒険者のひとりが、こちらに気付き騒ぎ出す!

「あーー! 鉄壁の魔導士! おい、ジビカガイライが来てるぞ!」

「マジかよ1000人斬りのジビカガイライ? 本物か?」

「間違いねーよ、俺は最近までエリリンテのルドにいたんだ! 引退したギルマスが絶対に敵対するなって震えてたんだ!」

受付の女性もその騒ぎで気付き、惣一郎を前に驚いた顔で固まる。

今回に至っては『グッジョブ!』っと、惣一郎は心の中で思う。






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