異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

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第六章

十二話 【特訓だ!】

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翌朝、盗賊の討伐報酬をもらいにギルドへと向かう。

ギルドに入るとすでに、人喰いニキ族討伐の話は広まっており、受付で説明と回収した荷を確認し、500ギーの討伐報酬を貰う。

盗賊にしては高額な報酬だった。

これでチョイロまでの輸送も再開されるだろう。

職員の話では、まさかこんな近くに潜んでいたとは、誰も思わなかったそうだ……

ついでに溜まった魔獣の買取をしていると、ざわざわと周りも騒がしくなる。

すると1人の冒険者が騒ぎ出す。

「あっ! おいアレ、ジビカガイライじゃないか! 盗賊千人斬りの、鉄壁の魔導士と閃光の乙女だ!」

噂はここまで届いていたらしい。

「ヒソヒソ…… 俺も聞いた事あるぜ。人喰いニキ族まで無傷で倒すたぁ、噂以上だな……ヒソヒソ…… 解散したんじゃなかったのか」

惣一郎は急に恥ずかしくなり、買取金をもらうとすぐにギルドを出る。

『おふたりとも……有名な冒険者だったのですね……』

街を歩きながらモモが思う……



買い物をしながら街をぶらつく。

今朝、気合い入れてキュアしたので、モモもしばらくは大丈夫だろう。

すると武器屋でダンジョン産の物を見つけ、テンションが上がる。

長い剣であったが、他の武器とは存在感がまったく違っていた。

「いらっしゃい、どうですか? お安くしますよ!」

安くと言っても、値札には6400ギーと書かれている。

剣なんて使えないし買う気はなかったが、ダンジョン産に興味はあった。

聞けば、魔法剣らしく火を吹くらしい。

魔法が使えない剣士には喉から手が出る品物だろう。

他にダンジョン産のものは無いか尋ねると、今はこれだけのようだ。

運が良ければ、低層の宝箱からでも良い物が手に入るそうで、ワクワクが止まらない惣一郎であった。

その後も露店で買ったお菓子を食べながら、街を見て回る。

賑やかな大きな街であったが、店で売る物は他と大差なく、惣一郎はダンジョンへの興味から落ち着きがなかった。




倉庫に戻る惣一郎は、ダンジョンでモモがどこまで付いてこれるかが気になり、長い棒を渡してベンゾウと模擬戦をする事になる。

強くなりたいと願うモモは、如何程の冒険者なのだろうか?

惣一郎は正直、強さには期待はしていない。

目を離せるかが知りたかった……



長い棒を構え、ベンゾウと対峙するモモ。

ベンゾウも短い木の棒を構えて、モモから目を離さない。

ジリジリと距離を詰めるモモが、間合いに入るベンゾウに右横から風を切って弧を描く!

だが、捉えたはずのベンゾウをすり抜け空を切ると、大きな隙を作る。

見逃さないベンゾウは距離を一気に積めるが、モモもそこを読んでか、右肩でベンゾウに体当たりで迎え撃つ。

上手い入りに思えたが、ベンゾウも瞬時に体を止めタイミングをずらすと、モモは姿勢を前に崩し膝を折るとそこで踏ん張り、左へ抜けた棒をそのまま体を左に回転させ、ぐるりと背中越しに大きな弧を描く!

上からベンゾウめがけ振り下ろすが、回転時に一瞬でも背を向けたのが間違いだった。

ベンゾウがいたであろう地面を叩き、気がつくと左から首元に木の棒が当てられていた。

二手、三手と諦めず攻めたモモだが、完敗であった。

「ま…… 参りました……」

正直ここまでやるとは期待していなかった惣一郎には、何か見えていたのか、モモに盾と各所にプロテクターを付け、今度は惣一郎が相手になる。

惣一郎の魔法で浮いたゴム製の砲丸が、モモに連続で攻撃を繰り出し、モモは全て盾で捌く。

特訓は遅くまで続いた……



「ご指導……ありがとう……ございます……」

息を切らすモモに風呂に入る様にいい、疲労回復効果のある入浴剤を入れる。

この世界に慣れて来たのか、最近の惣一郎には妙な落ち着きがあった。

獲得した魔法による自信からなのか、盗賊との命のやり取りがそうさせたのか……



夕食後に湯船で足を伸ばす惣一郎。

背中を流すと裸で入って来たモモに、パニックでキョドリだす惣一郎がさっきの惣一郎と同一人物だとは、思えなかった……

ケラケラケラ!

コイツの差し金である……




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