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第五章

六話 【デジャヴ!】

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翌朝、さらに深い森に入って行く。

高い大木の根元は苔で覆われており、木の枝も高い位置にある事で、広い緑の空間の様に視界は開けている。

別世界に来た惣一郎達は、クロを先頭に進み始める。

しばらく進むと、ベンゾウの耳が動く。

進んで行くと金属のぶつかり合う音が、惣一郎にも聴こえてくる。

この先で誰か戦っている様だ。

音を頼りに進むと大木の向こうで、大きな武骨な剣を持ったオーク二匹と、戦う冒険者風の3人組であった。

惣一郎は、ククリ刀を2つ出し、印を結ぶと円盤となり惣一郎の周りを飛び始める。

「助けるぞ」

コクンと頷くと消える、閃光の乙女。

惣一郎が近づくと、鍔迫り合い中のオークと冒険者が気付く。

後ろのオークが剣を振り上げ、ひとりの冒険者に襲い掛かると腕を生やした剣が、冒険者の頭上を飛んで行く。

気付かず振り降りした、腕のないオークは冒険者に、緑の血を吹きかけるだけだった。

ガァアアっと、叫ぶオーク。

鍔迫り合い中のオークの首を、黒い円盤がブーンっと通り抜け、首が落ち、そのまま前の冒険者に覆い被さる様に倒れる。

腕のないオークが叫びを忘れ固まっていると、左肩から斜めに上半身がズレ落ちる。

後ろには銀髪の少女が立っていた。

「大丈夫か?」

惣一郎が、近づき話しかけると3人の冒険者は、

「助かったぁ~」

っと、腰が抜ける。

水を飲み、落ち着きを取り戻す冒険者達は、

「いや、こんな場所で助けが入るなんて、まだ神に見捨てられて無い様だな。いや、ホント助かった。礼を言わせてくれ。セルロイで冒険者をやってる[海神の矛]の[リヴォイ]だ、助けてくれてありがとう」

「俺は、弟の[サヴォイ]ホント助かった恩にきる」

「[トーチ]だ、ありがとう!」

「俺は、惣一郎。こっちはベンゾウ、よろしく」

「惣一郎? まさかジビカガイライか!」

「いや、もう解散したけどね」

「こいつはすげー どうりで強いわけだ[ハイオーク]をあんな簡単に倒す奴、見た事ないぜ。さすが100人の盗賊をたった3人で瞬殺しただけの事はあるな!」

「いや、57人をこの子ともう1人が…… えっハイオーク?」

どうやらリヴォイ達は、依頼で森に入ったが迷い、奥まで来てしまいハイオークと遭遇、そこを惣一郎が助けたらしい。

オークならこの3人でも、倒せるそうだが、さらに強いハイオークには一匹でも敵わないそうだ。

違いがわからない惣一郎だった。

取り敢えず、血で汚れた3人をクリーンで綺麗にする。

クリーンにすげーすげーと騒いでいたが、ルドの街で買った食べ物を分けてあげると、黙って食べ始めた。

腹が満たされたリヴォイは、今ならハイオークにも勝てそうだと、改めてお礼を言ってきた。

少し休憩したら、一緒に森を出る事になる。

クロがいれば、迷う事もない。

森を歩きながらサヴォイが、ベンゾウに話しかけるが、

なぜかガン無視。

「人見知りする子でして……」っと惣一郎が、フォローする。

すると、またハイオークが一匹現れる。

ベンゾウよろしく!っと、ちょっとお使いを頼むみたいに言う惣一郎に、構えてるリヴォイ達が驚くと、ベンゾウは閃光になり、ハイオークの前で飛び、宙を舞う。

音も無く着地すると、ハイオークの頭もボトっと、着地する。

やはりオークとの違いがわからない。

すると、またまたハイオークが二匹現れ…… いや五… 続々と集まり出して来た。

真っ青な顔で力なく座り込む、リヴォイ達。

「終わった……」っと声が漏れる。

惣一郎は「そこを動かない様に!」っとククリ刀を4つ放り投げ印を結ぶ。

構えるベンゾウに、惣一郎が、

「ベンゾウ! 少し数を減らすから、待て!」

っと、杖を構える。

高速で回り出し、座り込むリヴォイ達と惣一郎達を囲む様に、旋回し始める。

惣一郎の結界であった。

ゆっくり武器を構え、近づくハイオークは三十匹以上いた。

最後に大木の根元に現れたハイオークは、他と違っていた。

またこのパターンですか……

あの時とは違うぞ!っと、惣一郎は円盤の速度を上げ、近づくハイオークから、バタバタと倒れて行く。

流石に警戒し出したハイオークが、距離をとり構えるも、円盤は容赦なくスピードを上げ、惣一郎達の周りを回る結界は、大きく広ろがると、離れたハイオークも横にバラバラに崩れ落ちる。

それだけで、ハイオークの数は半分以下になっていた。

高速で飛び回る円盤に、やっと気がつくハイオークは、撃ち落とそうと武器を円盤に叩きつけるが、そのスピードについてこれず、空振りすると横に切れ崩れ落ちる。

グオオオオオっと、雄叫び上げる、後方の王は、地面の石を拾い、惣一郎めがけて投げて来るも、惣一郎の盾は「ゴン!」っと石程度では傷も付かない。

苛立ちを見せる王は、堪え性がないのか、前に出て仲間のハイオークを担ぎ上げると惣一郎の上に投げ飛ばして来た。

「ベンゾウ!」

惣一郎の声に、ベンゾウは飛んでくるハイオークを4つに分解すると、王の前にスっと着地する。

残ったハイオークが、意識をそちら取られると、惣一郎の円盤が容赦なく輪を広げ、両断する。

これで王はひとりになった。

円盤は速度を落とし、惣一郎の周りに戻り浮遊する。

血管を額に浮き彫りにする王は、爆発寸前だった。


前にも見たことある様な…… デジャヴ?




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