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第五章

三話 【知らない事は幸せ】

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宿屋を探していた惣一郎だったが、クロは馬小屋か庭につなぐしか無いそうで、宿屋の主人に貸し倉庫の場所を聞き、向かっていた。

クロも仲間だ。

聞いた家に行くと、隣の倉庫を貸してくれるそうで、お金を払い鍵を預かった。

倉庫は予想以上にでかく、惣一郎の大きなテントが10個は入りそうだった。

テントを出し、今日はのんびり食事の作り置きをする事に! 

樽を出しお試しとウォーターを唱える。

あっという間に樽いっぱいの水が出て、杖のおかげか、まだまだ余裕な感じだった。

収納してた水樽10個を満杯にし保存。

その日は遅くまで料理に明け暮れた。

惣一郎はベッドで横になりながら、テレキシスの使い道を考えていた。

スワロがいない今、ベンゾウ1人に戦闘を任せ続けるのも可哀想と、攻撃魔法を覚えた方がいいのかもっと思っていた。

スワロの光剣は使い勝手も良いし、見た目にもカッコよかった…… 光剣?

夜中に起きた惣一郎はテントの外で、ダマスカス三徳包丁を取り出し、テレキシスで印を結ぶ。

呪羅流眠を構えると包丁が思い通りに動く。

リモコンみたい!

軽く感動する惣一郎が、的にと丸太を出して遠くに置く。

意識を向けると包丁が、シュ!っと的に深く刺さる。

行ける!

魔導書店の店員の話だと、通常大きめの石を一時間も浮かせてると魔力もなくなるし、複雑に操作すれば10分も持たない言っていたが。

呪羅流眠なら相当行ける。

使えるぞ!っと興奮しながら、ネットショップスキルで検索を始める……

ナタの様なマチェットタイプで、切れ味より丈夫さを求め検索し、見つけたのが36層のダマスカスブレード。

肉厚もあり粘りもある。

持つ所まで同じ厚さで、ネジ式のグリップを取れば、一つの無骨な金属の塊である。

このククリ刀、お値段なんと12万円!

早速、購入して印を結ぶ惣一郎は、静かに息を吐き、集中して呪羅流眠を構える。

浮いたククリ刀は回転し始め、ブーンっと音を立て始める。

高速回転のククリ刀を自在に操り、丸太に当てると、スッと通り抜け両断し戻ってくる。

「いい、良いじゃんよ!」っと大興奮の惣一郎は、調子に乗って同じ物をもう一つ購入。

2つの円盤と化したククリ刀を操っていた!

後2、3個いけそうだな……

明け方まで遊び疲れた惣一郎が、ベッドに潜り込み、目を覚ましたのは昼過ぎであった。

腹が減ったとクロとベンゾウに起こされ、食事にすると、やっぱり実戦で試したくなる惣一郎。

討伐依頼を見にギルドへ行く事にした。

街はまだ、賑やかだった。



ギルドに着くと真っ直ぐ掲示板に向かい、いい依頼が無いか探し始める。

周りがざわざわ騒ぎ出す……

「あれって、ジビカガイライの閃光の乙女じゃないか?」

銀髪に分厚いメガネは特徴的だわな……

「じゃ、一緒の男が[盾の令人]」

お、ちょっと何? 良い響きじゃん!

ロウガったら頑張ちゃった感じ? 

あれ? でも麗人って美人って意味だよな……


(麗人X 令人○ 意味は人に命令する人。なのでこの場合、盾に隠れて少女に命令するクズ男と訳す)


まぁ、こっちじゃイケてるって意味なのかもね♡

ニッコニコの惣一郎であった。

すると、騒ぎで受付に来ていたギルマスが話しかけて来る。

「あんたがジビカガイライの惣一郎かい? ギルドマスターの[ジウ]だ。よかったら少し話をしないか!」

まだ青年って感じの抜けない細めの男が、応接室へ案内する。



出されたお茶飲みながらギルマスが話し始める。

「カハルの件、聞いたよ凄く強いんだってねぇ。この辺のギルドでは有名だよ、ジビカガイライ」

「いや、ジビカガイライは解散しまして」

「えっ、そうなの? なんでまた?」

「音楽性の違い? 今は閃光の乙女と港を目指してまして」

「そうなのかい? 残念だな。光剣の大魔導士にも会って見たかったが…… そうそうツギートのギルマスが、あんたらが来たら伝えてほしいってさ。通り名の件、力及ばず申し訳無いってさ」

「えっ、全然良いですよ、これで。前はもっと酷かったですから」

「そ、そうかい…… 所で今日は何しに?」

討伐依頼を受けようとギルドを訪ねた事を説明すると、ギルマスは丁度いいと手を叩き、北に面倒な魔獣が出て、これから討伐隊を作ろうと思っていた所だと惣一郎に勧める。

報酬は買取込みで300ギー。

魔獣は[ケノテリア]と呼ばれる、岩を投げつける魔法を使う、大きな飛ばない鳥だと言う。

噂のジビカガイライの戦いを見たいと、ジウも同行すると言うが…… ん~ まいっか!っと勘違いしている通り名に、有頂天の惣一郎が承諾する。

ここから北へ1日ほど行ったとこにある岩場に、明日向かう事になった盾の令人は、ニコニコしながら倉庫へと戻る。




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