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第三章

十二話 【任務完了!】

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竹林の続く道を歩いていると、またグルピーに襲われるふたり。

スワロ達と分かれてから五匹目のグルピーであった。

茶色や灰色のばかり、白なら良いのに……

惣一郎は余裕であった。

ベンゾウが強いのはもちろんだが、防護服の効果もあり熊が現れても歩みを止めもしない。

ピテュルスの影響はこの辺りの生態系に大きな影響を与えていたのだろう、殺気だった熊に連続で襲われていた。




陽も傾き出した頃、騎士達が襲われただろう場所に着く。

馬車も粉々に積荷が散らばっている。

食べ物だったのだろう食材も、ほぼ食い尽くされていた。

周りには騎士達の遺体の跡がうっすら残っており、スライムが数匹、地面のシミの上にいた。

惣一郎は手を合わせ、また歩き出す。

「そろそろ野営の場所を探すか」

ベンゾウはコクンと頷き、辺りを探し始める。

まるで[くノ一]の様であった。

この世界に魔法使いや戦士はいる様だが、他のジョブもあるのだろうか? 転職でスキル覚えられる様な……

あればベンゾウはアサシンか忍者とかだろう。

ベンゾウが見つけた野営スポットに向かいながら、そんな事を考えていた。

竹林の中の岩陰にテントを出し、センサーを設置しながらベンゾウに、ジョブシステムがあるのか聞いた。

首を傾げる少女。

無い様だ……

魔法を覚えて使っていれば魔法使いだし、剣で戦っていれば剣士の様だ。

ごもっとも。

殺し屋や国に仕えている騎士も、冒険者登録して冒険してれば、みんな冒険者なのだそうだ。

夢がない……

そしてスキルだが、剣で斬撃を飛ばす者もいるそうだが、いれば国の英雄クラスの様で、魔法と違って魔力を使わず気力が続く限り何度も使えるらしいスキルは、通常お目にかかれない。

一般的にこの世界のスキルとは、商人が計算得意なら計算スキル持ちだし、木工職人の手が器用なら生産スキルと、努力で身につけた特技の事の様だった。

夕飯はベンゾウたっての願いだそうで、カレーを食べる。

そして風呂だが、大きいとはいえこのテントの中に入るサイズではないので、あらためて風呂用のテントを購入するまで、クリーンで寝る事にする。

ベンゾウも風呂は気に入ったみたいなので、早めに購入し…… ん?

桶を買わなくてもネットで風呂も買えたんじゃ?

惣一郎は気付くのが遅かった……

まぁ、ココは異世界だ!

異世界なら異世界らしい風呂に入らねば!

やや強引に、自分に言い聞かせる惣一郎だった。





翌朝、朝食をサンドイッチで済ませ、旅に戻る。

道に戻り目的地を目指し歩いていると、馬に乗った冒険者達とすれ違う。

「おい、あんたらもピテュルス探してるのか? もう倒されちまったらしいぞ! 今さっき知らせが入って俺たちも戻る所だ」

ほぼ手ぶらで歩く惣一郎に、そう思ったのだろう。

スワロ達も上手くやった様だな。

情報にお礼を言って冒険者達を見送り、先を急ぐ。


 
竹林を抜け、時折り大きな岩の見える草原を進むと、大きな街が見えて来た。

外壁に囲まれた街は、奥に立派な白いお城を守る様に岩山を背に立っていた。

外壁の外も色とりどりのテントで賑わっている。

竹林からの道に人は自分達だけだが、遠く右手に見える大きな道には、人影や、馬車、荷馬車を押す集団も見える。

あちらがメインの街道なのだろう。

テントが並ぶ街道を歩いていると、多くの人が何かを売りに声をかけてくる。

見窄らしい格好であった。

いちいち断っていたら先に進めないので、心を鬼にして小走りで走り抜ける。



大きな川の様な外壁の堀に橋がかかっており、渡ると門番に止められる。

騎士にカードを見せ事情を説明すると、荷物を検めるとの事で、奥の馬車ごと入れそうな大部屋に通される。

リアカーを出すと、また売ってくれとか騒ぎになりそうなので、道中別の手を考えていた。

ベンゾウにマジックバッグを持たせていた。

そして俺の持っているバッグは、大きめの普通のキロの村で買ったバッグである。

普通のバッグからジュグルータさんからの荷物を取り出す。

背丈を超える量だ。

そしてベンゾウも、マジックバッグから出し並べる。

「ほう、この量のマジックバッグを二つもお持ちとは…… では検めさせていただく」

数人の騎士が荷を調べている。



検品が終わる頃に、空の荷馬車を引く人がふたりと、小綺麗な貴族風の人が騎士の護衛付きで入ってきて、確認が終わった荷から荷馬車に詰め込み始める。

来てすぐ手配してくれた様で、荷の受け渡しはここでスムーズに終わった。

「遠い所ご苦労であった。代金だ受け取るがいい」

別の男が重そうに麻袋が乗った盆を持って来る。

「ジュグルータ氏にまた頼むと、よろしく言っておいてくれ」

あっさり500ギーの輸送依頼が無事終了した瞬間だった。

ムイの街に戻る必要もないし、この街で少しのんびりしますか!

そのまま門を抜けると、ムイの街とは比べ物にならない程の大きな街だった。





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