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第三章

八話 【命の洗濯!】

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ルイードの森をやっと出られたふたりは、大きな岩がゴロゴロしている丘の下に見える、次の目的地、キロの村を目指し歩いている。

キロの村は、岩を積み上げた3m程の壁にぐるりと囲まれ、中は木の柱で入り組んだ工場の様な一つの巨大な建造物で出来ていた。

門に着くと木の頑丈な扉の窓から、身分証の提示と滞在目的などを聞かれ、しばらく待たされた後、やっと中に入れてもらえる。

中は家が全て柱で繋がっており、木造のショッピングモールの様で、テンションが上がる!

まずは魔物を換金しようと、冒険者ギルドへ向かう惣一郎。



ここも例外なく酒場と併設しており、陽も高いうちから賑わっていた。

買取カウンターで冒険者カードを出し、魔物をマジックバックから出すと、ガラスの角をした鹿でギルド職員が騒ぎ出す。

やっぱ珍しかったか……




後から、裸に毛皮のベストを着た大男のギルド長が現れ、部屋に呼ばれる。

買取額の相談だった。



まとめた買取額は2000ギーを超えて、ベンゾウさんとギルド長との、熱いバトルが繰り広げられていた。

首を中々縦に振らないベンゾウが、やっと折れた金額が3,260ギー。

惣一郎は驚きすぎて、表情がなかった……

悔しがるギルド長から手付けと2,000ギーを受け取り、残りは2日後と約束をしてギルドを後にする。

もう刀の元が取れた……




この辺りの名物料理を食べ様と食堂を訪れる。

すき焼きに似た鍋料理だったが味は薄く、肉の味が際立っており、美味いは美味いがすき焼きの方が上であった。

村の中をショッピングモールを歩く感覚で、宿屋を探していると、若い娘が「宿はお決まりで?」っと話しかけて来る。

この村に宿屋は一軒しかなく、すでに通り過ぎていると案内を申し出ている。

もちろん有料。

広くは無い村だし、案内は無用と断ると「ケチ!」っと悪態をつき去っていく。

たくましい村だ……

買い物を楽しみながら宿屋を探していると、柄の悪そうな男達が先ほどの娘とニヤニヤしながら話しかけて来る。

やれやれ……

人気のない場所に連れて行こうとするも、あっさりベンゾウにノックアウトされる男達。

娘はベンゾウに突きつけられた小刀に、ガチガチと歯を鳴らしへたり込む。

こんな事、もうしちゃダメだよ!

娘に宿屋を聞くと震えた指を指す。

金貨を渡して宿屋に向かう。




宿屋に入ると、惣一郎は驚きの声を上げる!

「マジか!」

普通の宿屋なのだが、グレードの一番高い部屋には風呂があったのだ!

一泊5ギーは、宿屋にしてはとんでもない高額だが、底の深い大きな樽の風呂が付いている!

懐も暖かいし体も温まりたい!っと、もちろん契約。

部屋に案内されると、まぁまぁ広い部屋の隅にタイルが敷いてあり、直径2メートル程の桶がある。

早速水を頼むと従業員がバケツで何度も往復して水を張る。

汗だくの従業員は水の上に、魔法で火をつけ温め始める。

なるほど、この従業員ありきのサービスなのね!

いい温度になると気分の良い惣一郎は、従業員に金貨のチップを渡し見送る。

早速、ネットショップスキルで石鹸やシャンプーなど、お風呂グッズを購入し服を脱ぎ出す。

隣でベンゾウも脱ぎ出す……

「待てーーーい!」

興奮して、すっかり忘れていた。

部屋には仕切りも何も無い、ひとりで入りたいをどう説明する……

なんて考えてる内に、マッパのベンゾウさん。

洗わずもう湯船の中よ……

「ご主人様?」

せっかくの風呂だし、ここで入らない選択肢はないな……

そう言い聞かせ、惣一郎も洗わず湯船の中に。



最高だった!

足を伸ばし肩まで浸かり、久しぶりの湯船を楽しむ!

洗い場が無い風呂なので、もういいやと行儀悪く、湯船の中で頭も洗い出す。

石鹸で体も洗いさっぱりしてベンゾウの頭も洗い始める。

湯船が泡で汚れるとクリーンを唱え、綺麗な湯船に戻してのんびり楽しむ。

何日ぶりの風呂だろうか……

身も心も清められた感覚で、聖人になった気がする惣一郎。

今なら全てが許せそうだ……

「ちょ、くっつきすぎだよ!」

シャンプーで洗ったベンゾウの髪は、綺麗な銀髪だった。


風呂を出て、さっぱりポカポカのふたりは、ネットショップスキルで買ったアイスとビールで火照りを冷ます。

ベンゾウも幸せそうである。

多少高額だが、滞在中はここで!っと心に決める。

 




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