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第三章

四話 【続、惣一郎危機一髪!】

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早朝、モゾモゾと布団の中で何かが動いてる気配に、目を覚ます惣一郎。

また、ベンゾウがこっちに潜り込んで来たかと布団をめくると、素っ裸のベンゾウが赤くした顔を近づけて来る。

ちょおおおぉ! うむむ……

いきなりの事で抵抗虚しく、ベンゾウに奪われるおっさんの唇。

何が起こっているか理解出来ず、驚く惣一郎! 

「きゅ、急にどっ、どうしたんだ!」

シャツのボタンが取れ、あらわにする中年の上半身に、ベンゾウの小さな胸が擦りつけられる。

力強く抱きつくベンゾウを、引き離すことの出来ない非力な惣一郎。

このままでは……

いくら熟女好きの惣一郎であっても、少女の強引な攻めに、耐え得るだけの理性を持ち合わせてはいない! 

耐えろ惣一郎! 負けるな惣一郎!

「や、やめなさい!」

病み上がりのくせに犯罪者になりかけたおっさんは、布団で裸を隠す少女に、何故こうなったのかを聞くが、赤い顔でモジモジするだけの少女。

主人を守れなかった事への、罪滅ぼしか……

はたまた、連日の戦闘での興奮状態が生んだ生存本能なのか……

それとも、獣人特有の周期的な生態反応なのだろうか……

じっちゃんの名にかける前に、答えは机の上にあった。

寝る前に飲んだ栄養ドリンク。

ラベルに書かれた[すっぽんエキス配合]の文字。

空になった2本目の瓶。

「飲んだのか……」

コクン。

この異世界の住人であるベンゾウには、効果絶大だったのである!

惣一郎が全てを悟った頃、顔を真っ赤にして恥じらう少女が布団で体を隠し、モジモジしていた。

「ご主人様…… あの、その……」

免疫のない惣一郎もまた、顔が赤かった。






着替えて朝食を摂り、出発前に沈黙を破ったのは惣一郎だった。

「すまん、ベンゾウ! 命の恩人に俺は……」

「そんな、ご主人様! ベンゾウ嫌じゃないですし…… ご主人様がよければその…… ベンゾウは……」

いやいやいや、したいとか、したくないとかの問題ではなく、年齢的にも法に触れると言うか何と言うか……

焦る惣一郎にベンゾウから、先日二十歳を迎えた報告を受ける。

マジで? じゃ犯罪者にはならずに済む?

って違う?

すっかり普通を取り戻したベンゾウに対して、まだブツブツ言い訳をするおっさんは、テントを収納し旅に戻る。



ゴブリンの遺体は一晩で、すっかり消えていた。


木の上など警戒に余念のないベンゾウを先頭に、歩みを進める。

段々と木々の間隔が広がり始め、陽の光りも地面に届きだす。

森林浴を楽しみながら進む、惣一郎とベンゾウ。

ゴブリンはあれから見ないが、角が生えた兎が数匹、ベンゾウに捌かれる。

よく休んだからか、惣一郎の足取も軽かった。



しばらく進むと木の上に、ポツンポツンと住居らしい建物が見え始める。

ルイードの村に到着した様だ。

木の上に住居を構えるこの村は、エルフが多いと聞いていたが…… 人影がない。

廃村なのだろうか?

いや、家に人の気配はする。

ベンゾウは冒険者モードだ。

すると前からコチラに向かって走って来る、人影が見える!

急いでいる様だが……


「に~げ~て~~!」

走って来るエルフ女性。

その後ろに、大きな黒い影が見える。

「早く~ 逃げて~!」

エルフの女性は逃げてと叫んでいる!

ベンゾウはすでに包丁を構え、戦闘体制。

近付くにつれ見えてくる黒い影の正体は、馬鹿デカい昆虫だった!







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