上 下
12 / 409
第二章

六話 【銀色の閃光、現る!】

しおりを挟む
思い立ったが[吉日]っと言いながら、道具屋で回復薬などを購入し[明日]キネスに向かうことにした惣一郎。

ベンゾウの武器も買わねばと武器屋に覗くが、ナイフ類は補助武器要素が大きいのか在庫も少なく、素人目に見ても良いものがなかった。

これなら、ネットショップで包丁でも買った方がマシだな。

そう思い、買わずに店を出る。

「武器、無くても守る!」

その覚悟は嬉しいが、そうじゃないよベンゾウさん!




早速、宿でネットショップスキル発動!

ベンゾウに好みの大きさなどを聞き、カバー付きだったので101層ダマスカス三徳包丁17万円を2本購入し、ベンゾウに渡す。

包丁としては躊躇する額だが、武器としてなら出せる額だった。

波紋の美しさが素晴らしい!っと、大興奮のベンゾウ。

武器屋のナイフより相当優れているだろう。

高級品だし!

興奮し包丁を振り回すベンゾウを、明日があるからと説得するのに、結局深夜までかかった……





翌朝目覚めると、抱きついてヨダレを垂らし寝ているベンゾウを起こす。

子供だし、まだ一人で寝るのが怖いのかな?

女将にキネスに向かう旨を伝え「また会いに来ます」っと手を握る。

引き攣った笑顔の女将が、惣一郎の初めての旅を見送ってくれた。




町の出口でカードが必要かと準備するも、出る時は何もなく、すんなりと町から出れた。

ベンゾウはまだ興奮状態で、早く包丁を試したいと走り回っている。

だが、ススの森まで何事も無く、旅は順調であった。

森の手前で一晩野営をし、嫌な思い出の残るススの森に入る。

ニールさんも言ってたじゃないか、めったに出ないと……

あれ、フラグ立ってた?

ベンゾウの顔が冒険者になっていた。

耳をピクピク動かし、クンクン匂いを嗅いでいる。

えっ、フラグ回収? 

横の林から、木に石で出来た鈍器を持った緑の巨体が現れた!

あの鈍器……

最初に見たオークだ! 二匹いたんだ!

「ベンゾウ! にげ…る……ぞ?」

声をかける前に銀色の閃光と化したベンゾウは、オークとの距離を一瞬で詰め、倍以上あるオークの巨体を飛び越えて宙を舞う!

「ご主人様、このナイフ凄い! 切った感じがしない!」

笑顔のベンゾウに、遅れてオークの首が地面に落ちた……

へっ、相手オークですよ? 

騎士5人で遅れを取った、あのオークですよ……

ベンゾウが強いのか、包丁が凄いのか、惣一郎はしばらく固まっていた。

「ご主人様、討伐証明をギルドに持って行けば、お金になります!」

「う、うん…そだね...... オネガイシマス」

凄腕の冒険者。

ベンゾウの見た目から、女の子の中では?って勝手なイメージをしてた惣一郎。

こりゃTUEEEE!

自分の倍以上あるオークの耳を切り落とす、分厚いメガネの少女は、このまま死体をここに置くと街道に魔物が集まると森に運ぼうとしているが、運ぶ力はない様だ。

少しホッとする。

収納スキルでオークを回収し、森の中に捨てると、

「ご主人様、凄い! さすがご主人様です!」

っと、大騒ぎ。

ちょっと嬉しかった。




街道に戻り、旅を続ける惣一郎とベンゾウ。

久々の戦闘が嬉しいのか、惣一郎の役に立てた事が嬉しいのか、ベンゾウは上機嫌だった。

その後、狼の魔獣やイノシシに似た魔獣が出たが、出ただけだった。

魔獣はどれも簡単に、ダマスカス三徳包丁の餌食となる。

オークと違って魔獣は売れるとの事で、マジックバッグに入れ持ち帰る。

こりゃ冒険者でも食っていけるな……

ベンゾウの強さは、惣一郎の足手纏いっぷりを差し引いても、そう思わせたのだった。






しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...