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第八章

十話【女神再び】

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外壁の上、杖を両手に集中するスワロ。

すると辺りが薄暗くなり、影が伸びる。

上空に現れた12本の光剣のせいだ。

光り輝く複雑で神秘的なシルエットの巨大な剣。

神々しく光り輝く剣は、神話に出て来る神が持つ様な、美しい剣であった。

外壁の外で戦う弁慶達も自分の影が伸びる事で、後ろ上空の神々しい剣に気付き、声を飲み込む。

外壁の上のスワロのシルエットは正に、地上に現れた女神と皆の目には映った。

ドレス姿に体の線がくっきりと見えるスワロが、迫り来る12体の大きな蟲に向け、ゆっくりと杖を向けると、流星の様に解き放たれた剣は、光りの尾を引き一斉に後続の蟲めがけ一直線に伸びる。

巨大な蟲を次々と串刺しに押し上げ、浮いた蟲から稲妻が走り、遅れて爆音を轟かせると青白い炎に包まれる。

ただいま……

その場にいた誰もが…… ツリーハウスの中から見ていた村人達までもが、神の鉄槌を目の当たりにし、弁慶達にやられ虫の息であった蟲までもが、残りの命の灯火を自ら吹き消した様に目から力を失う。

スワロの背後に隠れる様になった惣一郎も、幻腕が消えてもなお固まったまま『何コレ……』っと驚き動けずにいた。



時間を忘れ惚ける静寂を、最初に破ったのはピノであった。

「お姉様!」

過去最高の魔法に酔いしれていたスワロが我に帰り、声のする下を見る。

「えっ、ピノ?」

すると白い大きな獣に掴まり、外壁の上まで駆け上がるセシルが、惣一郎に駆け寄る。

「惣一郎様、今のは……」

その間を、退け!っと言わんばかりに頭を捩じ込むクロがスワロに擦り寄る。

「えっ、クロ? クロなの?」

「久しいな娘よ!」

「喋った!」

喋った事に驚くも、大きく見違えた犬神に抱きつくスワロ。

弁慶も我に帰り、周りを見渡し終わった事を確認すると、外壁をよじ登ろうとするピノを抱え、上を見上げる。

「あれがスワロか、とんでもねぇな……」






ピノに抱き付かれ歩きづらそうなスワロ。

村に戻りながらも言葉数の少ない惣一郎達が後を追う。

ユグポンに入ると片膝を突き、頭を下げて出迎える翼族達や村人達。

ブラギノールまでが頭を下げていた。

「「「 女神様! 」」」

「えっ!」

勇者の村でも女神信仰が流行りだした様だ。

「や、やめてくれ! 私は女神ではない! アレはただの魔法だ!」

「お姉様、ただの光剣にあの様な威力はないですよ!」

「やめろピノ! 余計に誤解するではないか!」

「と、兎に角! みんなには迷惑をかけた、済まない。だが終わりではないのだ!」

そう言うとみんなの前で、スワロが魔女崇拝者達のアジトで掴んだ情報を話し始めた……


御神体と呼ばれる魔女のミイラ。

魔女の力を手に入れた者達。

奴らの目的。

そして、キッドの事を……





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