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第八章

二十五話【キッドのケジメ】

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魔女の肉を喰ったキッド。

惣一郎が今話しているキッドが、以前のキッドなのか不安になる。

「お前、本当にキッドなのか?」

混乱する惣一郎も直球だ。

「正直、自信がないな…… 怒りと強くならねばと言う焦りが込み上げてくる…… 復讐すら今はどうでも良く感じるよ……」

「そうか……」

ついでではあったが、助けに来た相手が倒さなければならない蟲に…… 魔女に侵されつつある。

そんな惣一郎の顔色を読んでか、キッドが微笑みながら話しかけて来る。

「安心しろ旦那…… 死ねないと言ってもバラバラにすればちゃんと死ぬから。抵抗する気もないぞ…… 済まなかったと彼女に伝えてくれ」

演技なのか本心かの判断が出来ない。

「器が俺って言うのはどう言う事だ?」

「分からん、教皇がそう言って狙ってるんだ。御神体を旦那の元にって…… ロンシールはロンシールで勇者への怨みだけで動いているし、ゲルドマは強さばかり求めてた。キシルとネネルの2人は女神に魔女を乗り移らせて、また一緒に戦争がしたいのだろう……」

「まとまりがないな……」

「ああ、だがどれも魔女の影響なのは間違いない……」

傷はすっかり癒た様だが、気怠そうなキッド。

「確かに御神体は今手元にあるんだが…… ミイラで何をするつもりなんだ?」

「まだ生きていると言っていた……」

「生きてる? アレが? ま、まぁ、気をつけるわ。取り敢えず一緒にここを出るか?」

「いや、もういいんだ…… 旦那が代わりに姉さんの仇を討ってくれたしな……  俺の復讐はここまでだ」

魔女の影響はまだないのだろうか?

だが蟲と混ざり人間をやめたキッドを救う手立ても無いし、放っても置けない。

惣一郎は目を瞑り覚悟を決めたキッドを見て、アイテムボックスから日本刀を出す……




洞窟の入り口では、ミコとロンシールが死闘を繰り広げる中、ピノがクロの背に乗り、外壁の外の蟲に光剣を撃ち続けていた。

ガオの傷はセシルの回復魔法で徐々に回復しつつあるが、早くミコの加勢行きたく焦るガオ。

黒く大きなゴツゴツした剣を、片手で振り回すロンシール。

重い猛攻を2本の鉈で凌ぐミコ。

そこにベンゾウ達が到着するが、ドラミの蔓が入り口を塞ぎ、出られずにいた。

「どけ!」

追い付いた弁慶が勢いそのままに、巨大な戦斧を叩き込む!

袈裟斬りに振り下ろした攻撃は、網目状に複数の斬撃を生み、バラバラに砕ける太い蔓!

そのままベンゾウとツナマヨが、ミコに並び構える!

「間に合ったか!」

「ごめんミコ、後は任せて!」

「ハァハァ、コイツ厄介だぞ!」

肩を弾ませるミコ。

ミコの左腕は折れ、傷だらけだった……






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