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第八章

三話【肩透かし】

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誰も居ない集落を見て回る、キッドとスワロ。

「この様子…… 少し前に移動した様だな……」

「何がこの様子だ! また騙す気だったのか!」

「いや、違う! まさかこんなに早く移動するとは思ってなかったのだ」

「信じられん! それに何故私がいつまでもこんな物抱えてるのだ!」

スワロが御神体を放り投げる。

慌てて受け止めるが布が捲れると、中から手足のない小さいミイラの上半身が現れる。

子供のミイラなのだろうか?

「なんて物を持たせるのだ!」

「や、やめろ。コレは太古の魔女の亡骸。奴らグルミターナが崇める御神体なのだ」

大事そうに布を巻き直すキッド。

興味も無くし、疲れからか座り込むスワロ。

「どうでもいいから早く首輪を外せ」

「あっ、ああ……」

大人しく首輪を外すキッド。

「御神体とはなんなのだ」

「この御神体を口にすると魔女の力が手に入ると言うのだ。現にグルミターナの連中は魔女の力を手にし暗躍している」

「魔女崇拝してる組織だろ、目的はなんなのだ」

「元々は魔女と迫害を受けたダークエルフによる小さな集まりだったのだが、教皇と呼ばれる男が入ってから過激な組織へと変わっていったのだ。仲間を増やし、救済と称し迫害に加担した者を襲う様になってな、おかげで公に魔女と断罪する者も大分減ったのだが、減ったおかげで信者も増えなくなったのだが……」

「いい事じゃないか、減ったなら」

「ああ、だが奴らは、私腹を肥やす為に教皇の指示の元、断罪する側にまで手を広げたのだ」

「はぁ? 自作自演では無いか!」

「そうだ、傭兵団を作り力を与え、魔女狩りを仕向け信者を増やす。町一つ火にかけた事もあったのだ」

「なんて奴らだ!」

「そして俺の家族も……」

「仕返しか…」

「ああ、だが上手く組織に侵入してみれば、想像以上におぞましい組織だった。教皇すらただの操り人形さ」

「黒幕がいた?」

「いや…… 人が変わったんだ」

「はぁ? どう言う事だ」

「突然、人が変わったとしか……」

話しながら次第に声が震えだすキッド。

思い出す目に恐怖が映るキッドに、スワロもそれ以上何も聞かなかった。






同じ頃、大陸を目指すギネアとブラギノールが、鳥人達の案内で、洞窟の前まで来ていた。

「ここが入り口か……」

「ええ、船では大陸まで潮の関係でひと月はかかりますが、洞窟なら危険はあるものの、一週間もあれば向こうまで行けます」

「ははは、ベテルギース! 洞窟には入らんぞ」

「ブラギノールですが、入らないとは?」

「そこの岩陰に転移陣を設置したのだ。毎年危険な洞窟を通るのも馬鹿馬鹿しいからな! 高くついたが今では大陸まで一瞬だ」

「えっ、ですが大陸には転移陣が設置できないはずでは?」

「大陸の端、洞窟の出口なら問題ない!」

っと言う訳で、明日にでも集落には着くという。

相応の覚悟をしていたギネアとブラギノールは、笑うしかなかった……





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