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第七章
十四話【脱走キッド、スワロ!】
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「またやられたわ、キシル」
「ええ、思ったより強いわ、ネネル」
「きっと、あの獣人も勇者なんだわ」
暗い部屋で話す、ダークエルフの少女が2人。
空のベッドを眺めながら感情の無い会話を続ける。
「それより、どうする?」
「裏切りは許せないわ!」
焦る素ぶりも無く、部屋を出て行く2人。
暗い廊下の奥から慌ただしく、こちらに向かって来る人影。
「ネネル様、キシル様! キッドが、キッドの奴が[御神体]を持って消えました!」
廊下の奥が騒がしい。
「女神様も居ないわ」
「ロンシール様は?」
「女神様が! ロンシール様は教皇様と朝から[ウイガス]の教会に出ておりまして、今知らせに向かっておりますが……」
「そう…… 使えないのね……」
「えっ?」
「御神体の守りには誰が?」
「はっ、はい、キッドと[エイブス]が…… が…… ガギギ……」
突然、目の前で異形へと変わり始める男。
触覚を生やし、脇から腕を新たに生やし、ゴキゴキっと骨がずれる音が聞こえ、上位種へと姿を変えて行く。
「キッドを捕まえるのよ」
「御神体と女神様を取り戻しなさい」
ギギギー
赤い目の蟲の上位種が姿を消す。
「思い通りに行かないって楽しいわ、ネネル」
「ええキシル。成長だわ、これは……」
時は同じく、森に包まれた大きな木のウロに身を隠す、キッドとスワロ。
「ハァハァ、女神よ! ハァハァ、コレを持って、逃げるんだ」
「ハァハァ、一体なんの真似だ! 罠に嵌めるつもりか! ハァハァ」
返り血の付いた上着を脱ぎ、持っていたラグビーボール程の大きさの包みに服を巻きつけるキッド。
「ハァハァ、女神のあんたを利用した事は詫びる。幹部になるにはどうしても手柄が必要だったんだ、ハァハァ」
「ハァハァ、これはなんなのだ?」
「御神体だ! ハァハァ、隠せ! 奴らに見つからない場所に隠すんだ!」
木の根元を掘り起こすキッドが、土の中から布に巻かれた棒を取り出し、スワロに渡す。
「あんたの杖だ。追手は俺が食い止める! このまま東に行け。ハァハァ、東に集落がある。そこで[トトリ]と言う男に会うんだ」
「貴様を信じろと言うのか! ハァハァ」
「ハァハァ、好きにしろ! 御神体を隠すんだ。俺はまだやる事がある。仲間の所に帰れ」
その言葉を最後に飛び出すキッド。
手には惣一郎に貰ったグローブをしていた。
急展開に困惑するスワロ。
「ハァハァ東って、どっちだ……」
ササブサに着いた惣一郎は、外壁の岩壁の上から一面に広がる森を眺めていた。
「どうだいるか? ドラミ」
「ああ、呼べる範囲に2匹おるわ」
「ササブサの人達の目が届く場所で倒し、またすぐ移動するぞ」
惣一郎達が北に向かっていないと思わせる為に、人の目に触れる必要があった。
「呼ぶ言うても…… まぁ数時間はかかるで?」
「ああ、頼む」
「ご主人様、お腹空いた」
「そうだな、来るまで飯にするか」
ドラミが呼び寄せる蟲が来るまで、町で警報を待とうと、食事のできる店に向かう惣一郎達。
白いローブ姿の目立つ3人が、近くの店を探し町を歩き始める。
「ええ、思ったより強いわ、ネネル」
「きっと、あの獣人も勇者なんだわ」
暗い部屋で話す、ダークエルフの少女が2人。
空のベッドを眺めながら感情の無い会話を続ける。
「それより、どうする?」
「裏切りは許せないわ!」
焦る素ぶりも無く、部屋を出て行く2人。
暗い廊下の奥から慌ただしく、こちらに向かって来る人影。
「ネネル様、キシル様! キッドが、キッドの奴が[御神体]を持って消えました!」
廊下の奥が騒がしい。
「女神様も居ないわ」
「ロンシール様は?」
「女神様が! ロンシール様は教皇様と朝から[ウイガス]の教会に出ておりまして、今知らせに向かっておりますが……」
「そう…… 使えないのね……」
「えっ?」
「御神体の守りには誰が?」
「はっ、はい、キッドと[エイブス]が…… が…… ガギギ……」
突然、目の前で異形へと変わり始める男。
触覚を生やし、脇から腕を新たに生やし、ゴキゴキっと骨がずれる音が聞こえ、上位種へと姿を変えて行く。
「キッドを捕まえるのよ」
「御神体と女神様を取り戻しなさい」
ギギギー
赤い目の蟲の上位種が姿を消す。
「思い通りに行かないって楽しいわ、ネネル」
「ええキシル。成長だわ、これは……」
時は同じく、森に包まれた大きな木のウロに身を隠す、キッドとスワロ。
「ハァハァ、女神よ! ハァハァ、コレを持って、逃げるんだ」
「ハァハァ、一体なんの真似だ! 罠に嵌めるつもりか! ハァハァ」
返り血の付いた上着を脱ぎ、持っていたラグビーボール程の大きさの包みに服を巻きつけるキッド。
「ハァハァ、女神のあんたを利用した事は詫びる。幹部になるにはどうしても手柄が必要だったんだ、ハァハァ」
「ハァハァ、これはなんなのだ?」
「御神体だ! ハァハァ、隠せ! 奴らに見つからない場所に隠すんだ!」
木の根元を掘り起こすキッドが、土の中から布に巻かれた棒を取り出し、スワロに渡す。
「あんたの杖だ。追手は俺が食い止める! このまま東に行け。ハァハァ、東に集落がある。そこで[トトリ]と言う男に会うんだ」
「貴様を信じろと言うのか! ハァハァ」
「ハァハァ、好きにしろ! 御神体を隠すんだ。俺はまだやる事がある。仲間の所に帰れ」
その言葉を最後に飛び出すキッド。
手には惣一郎に貰ったグローブをしていた。
急展開に困惑するスワロ。
「ハァハァ東って、どっちだ……」
ササブサに着いた惣一郎は、外壁の岩壁の上から一面に広がる森を眺めていた。
「どうだいるか? ドラミ」
「ああ、呼べる範囲に2匹おるわ」
「ササブサの人達の目が届く場所で倒し、またすぐ移動するぞ」
惣一郎達が北に向かっていないと思わせる為に、人の目に触れる必要があった。
「呼ぶ言うても…… まぁ数時間はかかるで?」
「ああ、頼む」
「ご主人様、お腹空いた」
「そうだな、来るまで飯にするか」
ドラミが呼び寄せる蟲が来るまで、町で警報を待とうと、食事のできる店に向かう惣一郎達。
白いローブ姿の目立つ3人が、近くの店を探し町を歩き始める。
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