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第六章

十二話【見えない思惑】

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ベンゾウが地下にいた男に黒い小刀を突き付ける!

「スワロを何処に連れて行ったの?」

惣一郎も幻腕で掴んでいた司祭を投げ捨て、地下の男に消えた魔法陣をもう一度出す様に迫る!

「む、無理です! 向こう側でも開かないと」

「開くように言え!」

すると投げ捨てた司祭が、部屋に置かれた魔導具だろう水晶の玉を地面に叩きつける!

「なんの真似だ!」

「魔女様は、貴様の様な者といるべきではない! 大事な使命をお持ちなのだ!」

割れた水晶を見て、向こう側と連絡が付かなくなっては、転移陣は開かないと悟る惣一郎。

「ベンゾウ、ふたりを連れて帰るぞ」




村に戻るとゴゴ達も戻っており、慌てた様子で帰って来た惣一郎に駆け寄る。

「惣一郎様、スワロ様が攫われたってどういう……」

惣一郎の連れ帰った司祭服の2人の男に、ゴゴが話を止め、睨みを効かす。

攫われた2人はツリーハウスの中の広さに驚いていたが、敵意を向ける騎士達に冷や汗を流す。

「スワロを攫った魔女崇拝の連中の仲間だ。ゴゴ、スワロの居場所を吐かせろ!」

大男のゴゴとジジ、それにドラゴンにタイガまで加わり囲む様に見下ろし睨むと、腰を抜かす2人の司祭。

すぐに口を割るだろう……

連れて行かれる2人を見送る惣一郎に、ハクが声をかける。

「旦那様、キッドが? キッドの仕業なのですか?」

「ああ」

「あの男……」

杖を握る手に力が入るハク。

陽が落ちる夕方の事であった……





夜、惣一郎の住む一番目の木の一階の会議室で、緊急会議が開かれる。

2人の司祭がスワロの居場所を吐く前に、毒で自害したのだ。

ゴゴ
「失態だった。所持品をもっと良く調べるべきだったんだ……」

ジジ
「奴らも、それなりの覚悟なのだろう」

ギネア
「寺院を調べたが、自害した2人以外にもう1人、司祭がいたらしいが、行方をくらましていた」

タイガ
「今、ジャニーとデイジーのふたりが、寺院を見張っている」

ミネア
「スワロさんを攫い、何をするつもりなのでしょうか? 使命とは」

ドラミ
「なぁ、そもそもなんでスワロは黙って攫われとんねん! スワロなら余裕で逃げ出せるやろ」

ギネア
「首輪だ、隷属の首輪をされているのだろう。後ろからキッドに首輪をされたのを見た」

チン
「厄介な魔導具を持ち出したもんじゃ」

カン
「すると、奴隷契約も上書きされちょるか」

ジジ
「そもそも、魔女じゃないスワロ様を攫う意味が分からん」

ハク
「上手く事が進み過ぎています。いつから計画された事なのでしょう」

タイガ
「確かに、ライノルフ襲撃も計画の一部となると、キッドは最初から今回の事が目的で近づいて来たのかも知れん」

ドラミ
「それなんやが、ユグポンの中で外部と連絡取っとたら、すぐに分かるはずなんや。ツリーハウスかて、持っとったらウチも気付くしな」

ゴゴ
「では、村を出た後キッドに種を渡し、指示した者がいると?」

ホルスタイン
「一緒に行動していましたが…… そんな素ぶりは……」

ギネア
「ああ、済まない。俺も気が付かなかった…… 接触したとすると夜、見張に立った時しか考えられん……」

ドラゴン
「今思えばアイツ、わざと技を受けてたかも知れん」

ゴゴ
「弱いふりを?」

ドラゴン
「反応速度は高かった。見極めも…… 今思えばなんだ……」

タイガ
「確かに……」

ミネア
「それよりベンゾウさん、惣一郎様は?」

ベンゾウ
「外! モグモグ」

ドラミ
「食ってばっかおらんと、会議に参加せぇ!」

ベンゾウ
「今のうちに一杯、食べておかないとでしょ! 早くスワロを助けないと!」

全員
『にしても、その量は……』






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