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第五章
二十二話【種】
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「勇者の力が?」
中庭に女王蜂の死骸を出し、驚く村人の中で惣一郎はスワロと、その死骸に登り子供達とはしゃぐベンゾウを見ていた。
「多分…… ベンゾウ殿の勇者として覚醒した力が、我々にも流れたのではないかと」
「じゃ、勇者としてのベンゾウの力と俺の魔力がスワロのチートを生み出したのか?」
「ちーと? よく分からんが、主人もベンゾウ殿の動きを感知出来たのであろ? 主人のサーチも私が見ている様だったのだ……」
「3人の力が循環し、繋がったって事か……」
「まぁ、考えた所で答えは出んのだがな」
確かに……
「で、スワロの力はどこまで使えるんだ?」
「見て理解出来る物に限られる様だ。主人の瞬間移動やサーチ、クリーンは真似できないみたいだが、キュアとウォーターは使える様になったぞ」
ダンジョン産や偶然出来たという一点物の魔法は無理という事か……
ミネアも複雑過ぎると言っていたな~
そこにドラミが、ふらふらと現れる。
「惣一郎、出来たで!」
「あれ、しばらく見なかった様な気が……」
「アホ! コレ作ってんたんやろが」
ドラミが差し出した手の中に、2つの種が握られていた。
「種? なんの」
「か~ なんやねん! 一生懸命作ったちゅうのに、何やそのしょっぼい反応は! コレはユグポンの種や! さし木して増やしたんや」
ん?
「あぁもう、察しが悪いの~ マジックバッグが欲しい言うとったやろ! 生まれたての種や、コレがあればいつでも何処でもこのユグポンの村に帰れるんや。ここと繋がってんねん。別行動してもコレでいつでも帰って来れんねん、せやからマジックバッグなんか無くても、いくらでも補充出来るし、増やせば何処とでも繋がるいうとんねん!」
マジか…… 同じ事2回言ったような……
「凄い…… マジ天才じゃんドラミ!」
「せやろ、コレがありゃ、宿の心配も飯の心配も要らんねん。ギネア達と騎士に持たせたり」
コレが増えれば情報が入り次第、直ぐ駆けつける事も出来る。
今度は間に合うかも知れん!
ババと子供達を見る惣一郎。
「ドラミ、もっと増やせるのか?」
「いや直ぐには無理や。今回のこの2つでユグポンも疲れ切っとる。次はしばらく掛かるんとちゃうか」
「ありがと、それでも十分だ! また作れる様になったら頼む」
「ああ、ウチも少し休むわ」
ふらふらと疲れたドラミが、何処かへと帰って行く。
そう言えばアイツ、最近何処で寝てるんだろう?
惣一郎は直ぐに、騎士のみんなとギネア達を呼び出す。
「何と…… コレでいつでも何処でもこの村に帰れると……」
「ああ、この村と繋がってるドアみたいな物だ。食事や宿の心配だけじゃ無く、アイテムの補充も直ぐに出来る」
「またとんでもない物を……」
「マジックバッグなんかより数倍良いですね!」
「ドラミに感謝だな!」
「コレがあれば旅をしながら、毎日ココと会う事も出来るのか…… 確かに凄い」
「出口にもなるから、蟲の情報があれば直ぐに駆けつける事も可能だ。タイガ達とは契約解除するしかないがな」
惣一郎がそう伝えると、皆が種の使い道を勝手に話し始めるので、休むと部屋に帰って行く。
湯船で足を伸ばし、癒される惣一郎。
当たり前のようにベンゾウとスワロが入ってくる。
「移動が楽になれば忙しくなるな、主人よ」
「ご主人様~ 前の世界にも行ける?」
「流石にそれは無理だろ……」
クロが居ないが、魂で繋がった初期のジビカガイライの3人が、仲良く湯煙の向こうの景色を眺める……
中庭に女王蜂の死骸を出し、驚く村人の中で惣一郎はスワロと、その死骸に登り子供達とはしゃぐベンゾウを見ていた。
「多分…… ベンゾウ殿の勇者として覚醒した力が、我々にも流れたのではないかと」
「じゃ、勇者としてのベンゾウの力と俺の魔力がスワロのチートを生み出したのか?」
「ちーと? よく分からんが、主人もベンゾウ殿の動きを感知出来たのであろ? 主人のサーチも私が見ている様だったのだ……」
「3人の力が循環し、繋がったって事か……」
「まぁ、考えた所で答えは出んのだがな」
確かに……
「で、スワロの力はどこまで使えるんだ?」
「見て理解出来る物に限られる様だ。主人の瞬間移動やサーチ、クリーンは真似できないみたいだが、キュアとウォーターは使える様になったぞ」
ダンジョン産や偶然出来たという一点物の魔法は無理という事か……
ミネアも複雑過ぎると言っていたな~
そこにドラミが、ふらふらと現れる。
「惣一郎、出来たで!」
「あれ、しばらく見なかった様な気が……」
「アホ! コレ作ってんたんやろが」
ドラミが差し出した手の中に、2つの種が握られていた。
「種? なんの」
「か~ なんやねん! 一生懸命作ったちゅうのに、何やそのしょっぼい反応は! コレはユグポンの種や! さし木して増やしたんや」
ん?
「あぁもう、察しが悪いの~ マジックバッグが欲しい言うとったやろ! 生まれたての種や、コレがあればいつでも何処でもこのユグポンの村に帰れるんや。ここと繋がってんねん。別行動してもコレでいつでも帰って来れんねん、せやからマジックバッグなんか無くても、いくらでも補充出来るし、増やせば何処とでも繋がるいうとんねん!」
マジか…… 同じ事2回言ったような……
「凄い…… マジ天才じゃんドラミ!」
「せやろ、コレがありゃ、宿の心配も飯の心配も要らんねん。ギネア達と騎士に持たせたり」
コレが増えれば情報が入り次第、直ぐ駆けつける事も出来る。
今度は間に合うかも知れん!
ババと子供達を見る惣一郎。
「ドラミ、もっと増やせるのか?」
「いや直ぐには無理や。今回のこの2つでユグポンも疲れ切っとる。次はしばらく掛かるんとちゃうか」
「ありがと、それでも十分だ! また作れる様になったら頼む」
「ああ、ウチも少し休むわ」
ふらふらと疲れたドラミが、何処かへと帰って行く。
そう言えばアイツ、最近何処で寝てるんだろう?
惣一郎は直ぐに、騎士のみんなとギネア達を呼び出す。
「何と…… コレでいつでも何処でもこの村に帰れると……」
「ああ、この村と繋がってるドアみたいな物だ。食事や宿の心配だけじゃ無く、アイテムの補充も直ぐに出来る」
「またとんでもない物を……」
「マジックバッグなんかより数倍良いですね!」
「ドラミに感謝だな!」
「コレがあれば旅をしながら、毎日ココと会う事も出来るのか…… 確かに凄い」
「出口にもなるから、蟲の情報があれば直ぐに駆けつける事も可能だ。タイガ達とは契約解除するしかないがな」
惣一郎がそう伝えると、皆が種の使い道を勝手に話し始めるので、休むと部屋に帰って行く。
湯船で足を伸ばし、癒される惣一郎。
当たり前のようにベンゾウとスワロが入ってくる。
「移動が楽になれば忙しくなるな、主人よ」
「ご主人様~ 前の世界にも行ける?」
「流石にそれは無理だろ……」
クロが居ないが、魂で繋がった初期のジビカガイライの3人が、仲良く湯煙の向こうの景色を眺める……
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