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第五章

十話【思惑】

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ツツの転移屋でも惣一郎が幻腕を出すと、直ぐに行きたい場所へと案内してくれた。

転移屋が味方についてくれるのは大きい!

そのままユースエル街まで転移する。



着いたユースエル街は、賑わう歓楽街であった。

昼間っから酔った人が通りに倒れ、派手な看板の店が並ぶ。

「あれ…… ここで間違いないよな?」

「賑わってるね~」

「主人よ、聞き間違えたのではないか?」

首を傾げる3人。

「まぁ確認はしとくか。壁の外でドラミに調べてもらおう」

すると突然話しかけて来る人影が!

「やっと会えたな、ハニー!」

通りに出ている、店の看板に片足を乗せ、帽子で顔半分を隠す男。

キッドだ。

思ったより看板が高いのか、やや姿勢がぎこちない。

「[セリスの街]で蟲の情報を集めてる奴がいると聞いてな、情報を流せば会えると思ったぜ!」

どうやら上手くこの街に、誘導された様だ。

惣一郎がわかりやすく、刀を2本出し浮かせると、ベンゾウはキッドの背後から黒い小刀を首に構える。

「騙したのか?」

スワロも杖を構え、ジワジワと燃える様な黒いオーラを身体から出し始める。

やはりベンゾウのと似ている。

「まっ、待て待て、情報は本当だ! 街から南に数日行った所に、本当に蟲の巣があるんだ」

首の小刀に気付き、慌てて両手を上げるキッド。

「南だな」

っと、刀を仕舞う惣一郎。

「あっ、ああ。こうでもしなきゃ、もう会えないかと……」

ベンゾウとスワロも、キッドに興味を無くす。

歩き出す惣一郎に、キッドが、

「待て、俺が案内する!」

「必要ない」

「俺じゃなきゃ、わかりずらい場所だ!」

「必要ない。情報が正しければ感謝するが、もう騙す様な真似はしないでくれ」

「頼む! 俺も…」

キッドが言い終える前に、姿を消す3人。

瞬間移動で街の外れ、外壁まで来ていた。

「ご主人様、いいの?」

「使える奴でも性格に難ありだ」

「あんなのが仲間になったら、敵より注意が必要になるぞ! ベンゾウ殿」

「まぁゴゴ達もいるしな、まずはそっちを鍛えないと」

騎士のみんなも訓練は続けている。

惣一郎の出す食事だけでも、大分強くなって来ていた。

数人には武器も渡してある。

あっさり瞬間移動で壁を越える惣一郎達。

種を置くとドラミが現れる。

「話は聞いとったで! 確かに南の崖におるなぁ。崖の中腹に洞窟があるわ」

「嘘ではなかったか」

「でも、上位種は見当たらんなぁ~ 洞窟の奥じゃウチには分からん。行って確かめるしかないで」

「距離も結構あるそうだし、急ぐ事も無いかな? 少し街で休んでから行くか?」

「ご主人様、なんか来る」

すると勢い良く壁の門から飛び出す、蟻に乗ったカウボーイ。

こちらに気付かず、真っ直ぐ南に向かって行った。

「しつこい男だ!」

「あの勢いで先に突っ込んでったら、あの男、死ぬんちゃう?」

面倒臭い奴だ……





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