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第二章

十六話【狩り】

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空を飛んで進む惣一郎。

その後も点々と襲われた痕跡が続いており、街を出た人たちの生存は諦めかけていた……

酷い。

ミネアはもちろん、スワロにも見せたく無い状況であった。

積荷も荒らされ、遺体は全て捨て置かれている。

惨状にショックを受ける惣一郎が、先で動く人影を見つけ、急ぐ。

近付き降り立つ惣一郎。

「遅かったか……」

惣一郎の言葉に、荷を荒らしていた8匹のオークが、

「ゲゲゲッゴ!」

「ガガゴ!」

っと、仲間同士で言葉を交わし、惣一郎に武器を向ける。

緑の巨躯に、被害者の血で描かれた模様。

下顎から生える牙。

知るオークとは、少し違って見えたが関係無い。

足元に転がる幼いエルフの遺体が、惣一郎をすでに怒らせていた。

無骨で大きな剣を振り上げ、襲い掛かるオーク。

惣一郎の幻腕が、軽々と受け止める。

「ここまでする必要はあったのか?」

返事は期待していない。

すぐに鉄球がオークの顎を砕き、地面に倒れ込む。

ブンブンと風を切る音が、複数の鉄球の存在を教えていた。

大きな蝿が飛んでる様にしか思っていないのか、オークは仲間が何にやられたのか理解出来ずにいる。

ただ本能のまま武器を振り上げ、目の前の小柄な男に襲い掛かる。

だが、近付く度に仲間が崩れ落ちる。

異常に気付けたのは、前の6匹が崩れ落ちたのを後ろで見ていた2匹だけだった。

「グゲッゴ…」

すると目の前の仲間を後ろから突き飛ばし、惣一郎に襲い掛からせると、背を向けて森に走り出す1匹のオーク。

突き飛ばされたオークは、振り上げた斧そのままに、横から受けた鉄球で倒れる。

逃げたオークも鉄球に背中を撃たれ、うつ伏せのまま地面を滑り、息の漏れる汚い悲鳴をあげていた。

惣一郎の周りの7匹は、もう動く事は無い。

息苦しそうにもがきながら、森へ逃げて行くオーク。

惣一郎がわざと逃した事にも気付かずに。

迷彩のポンチョを羽織ると惣一郎は、ゆっくりと歩き出す。

苦しそうに逃げるオークを追って。




惣一郎のサーチは、先にまた8匹のオークを捉えていた。

遠くにもさらに8匹の反応が……

8匹づつ1チームで動いているのだろうか?

仲間と合流し、安堵する苦しそうなオークの頭が潰れる。

驚く別のオーク達も次々と、見えない飛び交う物に撃たれ、倒れて行く。

一匹だけを残して。

足を引きずるオークが、また別のオークの元へ。

繰り返す惣一郎が、森の奥にオークの棲家を見つけたのは、陽が落ちた頃だった。






少し離れた所にツリーハウスを出し、中へ入る惣一郎。

「心配したぞ、主人よ!」

ミネア達も心配そうに出てくる。

「すまん、街を出た人達は間に合わなかった」

言葉を失くすミネア。

「だが、オークの棲家を突き止めた」

惣一郎の言葉にスワロが答える。

「蛮族をこのままにしておけば、また同じ様な被害が出るだろう」

「ミネアはどう思う?」

惣一郎もスワロと同じ意見だった。

だが、街はもう無い。

街の者だったミネアの意見に従おうと思っていた。

「蛮族は相手を選びません。エルフを憎んでいますが増えていけば見境無く、他にも被害は出るでしょう…… ですが、出来るのですか? 惣一郎様には」

「問題ない。夜中にでも奇襲をかける」

「主人よ、今度は私もついて行くぞ!」

「わかった」

惣一郎はオークが全て、棲家に戻った所で奇襲を仕掛ける事にし、食事の準備を始める。

静かな夕食となった……






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