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第一章
十八話【邪悪な魔女】
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猿には今回の報酬に金貨47枚と、口止め料にバナナを一房渡して帰って貰った。
中庭にテーブルを出し、明日町を出ると最後の晩餐に焼肉を振る舞う。
冷えたビールに感動し、美味い肉に飛び跳ねるドワーフ達。
スワロも涙を流しながら、肉を頬張る。
「惣一郎よ、収納スキル持ちってだけでお前さんは目立つ。いいか人前で魔法は使うなよ!」
「そんなに不味い事なのか?」
「お前さん、邪悪な魔女の話知らねぇのか?」
「えっ? 色付きエルフの?」
目線を自然とスワロに流すと、つられてドワーフ達もスワロを見る。
「おい、まさか……」
「えっ? ちゃんと私が焼いた肉だぞ!」
スワロはフードを被ったままで耳は出ていない。
「なぁ、その邪悪な魔女ってなんなんだゾイド」
「えっ! ああ、大昔だ……
まだ至る所にまだ文明が栄えていた時代。
エルフの王国で二人の王女が産まれたのだ。
ひとりは色白で黄金色の髪のエルフ。
だがもうひとりは黒髪で褐色の肌をしていた。
王はそんな王女は要らないと、産まれて直ぐの褐色の王女を森に捨てたのが始まりだ。
王国はそれをきっかけに、気味の悪い事が続いたそうだ……
すると城の占い師が王女を捨てた呪いだと言い出し、エルフの王もそれを信じ我が子を捨てた森の捜索が始まったのだ。
だが褐色の王女は見つからず、もう魔獣に喰われたのだろうと、王も諦めたそうだ……
それから数年後、成人を迎えた白い王女を祝う宴が城で行われ、多くの人が招かれたそうだ。
だが、誰一人帰らなかった……
不審に思った人々が城で見たものは、蟲が渦巻く恐ろしい惨状。
国は消え、いつしか褐色の王女の呪いだと噂が広まってな~
それから各地で時折産まれるダークエルフを忌み嫌う様になってな……
まだ、そんな迷信めいたものを信じる時代だったのじゃろ、各国でダークエルフを狩り始めてな…… 魔女狩りと称して。
そんな国をひとつ、またひとつと蟲が飲み込んでいったのだ。
そして遂に人々の前に姿を現したのが、蟲にまたがる褐色のエルフだったのじゃ。
誰しもが王女とだと信じ、ダークエルフ達は彼女と共に仲間を救う戦いを始めるのだ。
そして戦う王女は詠唱もせず、一本の杖から様々な魔法を放ったと伝えられてる。
いつしか世界は褐色の邪悪な魔女と蟲を相手に、長い戦争を始めてな~
そして、世界中を巻き込んだ戦で、魔女を何とか倒したそうなんだが、残された蟲が各地で暴れ出し、世界を飲み込んだっていう大昔の話さ……
そんな昔話が、未だ各地で産まれるダークエルフを、忌み嫌う理由なのさ」
蟲の始まりか……
「嫌な話だな」
「ああ、だが未だ信じる者も多い。魔法が廃れた今、陣以外で魔法を使えば邪悪な魔女の生まれ変わりと思われかねんぞ! まして無詠唱など…… 現に蟲がいるのじゃからな」
やりずらいな~
スワロ、謝って来いよ……
まぁ、要は詠唱したフリでいいし、魔法じゃなくスキルと言い張るのもアリとの事。
そう、惣一郎の収納スキルの様に、この世界には稀に生まれながらにしてスキルが使える者が存在するらしく、持ってる者は隠しているそうなので、それで押し通せるだろう……
焼肉でご飯を包み、頬張る惣一郎。
この日は酔ったスワロが恥ずかしい話を始めたので、強制終了となる……
朝食後、ゾイドに手を借りテントの増設をしていた。
風呂とトイレ用に繋げたテントを丸ごと収納し、ゾイドに世話になったと別れの挨拶をする。
「気い付けて行くんじゃぞ!」
「ああ、また近くに来たら顔出すよ」
惣一郎は軽く手を挙げ、町の3層目から地上に出る通路に向かう。
長い階段を登って行くと、大きな扉の横に門番らしき人らの詰め所が見えてくる。
ドワーフがふたりお茶を飲んでいた。
「おや、町を出るのかな?」
「ええ、通れます?」
「先日近くで蟲の目撃情報があったので、今は閉鎖しとるのよ。転移屋からじゃ行けんのけ?」
「ええ、この先に用事がありまして」
ふたりのドワーフは顔を見合わせ、不思議そうな顔になる。
「ま、まぁ強制はせんが、襲われても知らんぞ? 戻って来ても開けられんがええのか?」
「はい、構いませんよ」
「じゃ、そこまで言うなら…… どっこいしょ」
立っても低いドワーフが、大扉の横の小さな扉に開いた穴から外の様子を伺う。
「大丈夫の様じゃな。じゃ気をつけての~」
惣一郎達は小さな扉から外に出ると、森の中に出る。
急ぎ閉まる扉は、大きな岩山に造られていた。
「じゃ、のんびり行こうか!」
「ああ、そうだな主人よ!」
白いローブのふたりが杖だけを持ち、森の奥へと歩き出す。
北にある、ルルリカ街を目指しての長旅になる。
中庭にテーブルを出し、明日町を出ると最後の晩餐に焼肉を振る舞う。
冷えたビールに感動し、美味い肉に飛び跳ねるドワーフ達。
スワロも涙を流しながら、肉を頬張る。
「惣一郎よ、収納スキル持ちってだけでお前さんは目立つ。いいか人前で魔法は使うなよ!」
「そんなに不味い事なのか?」
「お前さん、邪悪な魔女の話知らねぇのか?」
「えっ? 色付きエルフの?」
目線を自然とスワロに流すと、つられてドワーフ達もスワロを見る。
「おい、まさか……」
「えっ? ちゃんと私が焼いた肉だぞ!」
スワロはフードを被ったままで耳は出ていない。
「なぁ、その邪悪な魔女ってなんなんだゾイド」
「えっ! ああ、大昔だ……
まだ至る所にまだ文明が栄えていた時代。
エルフの王国で二人の王女が産まれたのだ。
ひとりは色白で黄金色の髪のエルフ。
だがもうひとりは黒髪で褐色の肌をしていた。
王はそんな王女は要らないと、産まれて直ぐの褐色の王女を森に捨てたのが始まりだ。
王国はそれをきっかけに、気味の悪い事が続いたそうだ……
すると城の占い師が王女を捨てた呪いだと言い出し、エルフの王もそれを信じ我が子を捨てた森の捜索が始まったのだ。
だが褐色の王女は見つからず、もう魔獣に喰われたのだろうと、王も諦めたそうだ……
それから数年後、成人を迎えた白い王女を祝う宴が城で行われ、多くの人が招かれたそうだ。
だが、誰一人帰らなかった……
不審に思った人々が城で見たものは、蟲が渦巻く恐ろしい惨状。
国は消え、いつしか褐色の王女の呪いだと噂が広まってな~
それから各地で時折産まれるダークエルフを忌み嫌う様になってな……
まだ、そんな迷信めいたものを信じる時代だったのじゃろ、各国でダークエルフを狩り始めてな…… 魔女狩りと称して。
そんな国をひとつ、またひとつと蟲が飲み込んでいったのだ。
そして遂に人々の前に姿を現したのが、蟲にまたがる褐色のエルフだったのじゃ。
誰しもが王女とだと信じ、ダークエルフ達は彼女と共に仲間を救う戦いを始めるのだ。
そして戦う王女は詠唱もせず、一本の杖から様々な魔法を放ったと伝えられてる。
いつしか世界は褐色の邪悪な魔女と蟲を相手に、長い戦争を始めてな~
そして、世界中を巻き込んだ戦で、魔女を何とか倒したそうなんだが、残された蟲が各地で暴れ出し、世界を飲み込んだっていう大昔の話さ……
そんな昔話が、未だ各地で産まれるダークエルフを、忌み嫌う理由なのさ」
蟲の始まりか……
「嫌な話だな」
「ああ、だが未だ信じる者も多い。魔法が廃れた今、陣以外で魔法を使えば邪悪な魔女の生まれ変わりと思われかねんぞ! まして無詠唱など…… 現に蟲がいるのじゃからな」
やりずらいな~
スワロ、謝って来いよ……
まぁ、要は詠唱したフリでいいし、魔法じゃなくスキルと言い張るのもアリとの事。
そう、惣一郎の収納スキルの様に、この世界には稀に生まれながらにしてスキルが使える者が存在するらしく、持ってる者は隠しているそうなので、それで押し通せるだろう……
焼肉でご飯を包み、頬張る惣一郎。
この日は酔ったスワロが恥ずかしい話を始めたので、強制終了となる……
朝食後、ゾイドに手を借りテントの増設をしていた。
風呂とトイレ用に繋げたテントを丸ごと収納し、ゾイドに世話になったと別れの挨拶をする。
「気い付けて行くんじゃぞ!」
「ああ、また近くに来たら顔出すよ」
惣一郎は軽く手を挙げ、町の3層目から地上に出る通路に向かう。
長い階段を登って行くと、大きな扉の横に門番らしき人らの詰め所が見えてくる。
ドワーフがふたりお茶を飲んでいた。
「おや、町を出るのかな?」
「ええ、通れます?」
「先日近くで蟲の目撃情報があったので、今は閉鎖しとるのよ。転移屋からじゃ行けんのけ?」
「ええ、この先に用事がありまして」
ふたりのドワーフは顔を見合わせ、不思議そうな顔になる。
「ま、まぁ強制はせんが、襲われても知らんぞ? 戻って来ても開けられんがええのか?」
「はい、構いませんよ」
「じゃ、そこまで言うなら…… どっこいしょ」
立っても低いドワーフが、大扉の横の小さな扉に開いた穴から外の様子を伺う。
「大丈夫の様じゃな。じゃ気をつけての~」
惣一郎達は小さな扉から外に出ると、森の中に出る。
急ぎ閉まる扉は、大きな岩山に造られていた。
「じゃ、のんびり行こうか!」
「ああ、そうだな主人よ!」
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