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第一章

九話【光剣の大魔導士スワロ】

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テントで黙々とアルミ削る惣一郎。

「惣一郎殿…… さっきのアレは、魔王だから出来る事なのか?」

「はい? いや全然関係ないぞ。魔王じゃないし」

「だが、腕が…… 青い腕が生えていたではないか、アレが本体なのか?」

なんじゃソレ……

惣一郎はスワロに幻腕を出して見せる。

「コレは魔力だよ。スワロの光剣と同じ。理屈は分からんが腕を失った後、まだ腕がある気がして使ってたら出せる様になったんだ」

青く燃え上がる様な腕に目を奪われるスワロ。

「魔力… なのか……… 凄い」

「ああ、さっきの厄災だって、前に倒した半分のサイズだったしな」


落ち着きを取り戻すスワロに、質問攻めにあう惣一郎。

いつの間にか外は暗くなり始めていた。


「やはり普通ではないのだな……」

「えっ普通だが?」

「「…………」」

「「っぷ、フフフ、アハハハ!」」

久しぶりに笑ったふたりは、懐かしい思い出話に花を咲かす。




翌日、朝食を終えると外にスワロを呼び出す惣一郎。

「ちょっと使ってみてくれ、直すところがないか、何か魔法を試して欲しい」

「大魔導士様にお見せすると思うと、恥ずかしいな……」

「茶化すな、聖母スワロ様」

「なんだ聖母って?」

「言ってなかったが、お前今じゃ国で祀りあげられているんだぞ! 死んだ後もそれは盛大に国をあげての葬儀でな」

「まさか、知らないと思って惣一郎殿も人が悪い」

いや、ほんとなんだが……

するとスワロが惣一郎から杖を受け取り、構える。

『凄い…… 以前使っていた杖、呪羅流民よりも、魔力が流れていく』

目を閉じ集中するスワロ。

その頭上に現れた巨大な光剣。

本人は気付いているのだろうか!

6mはあろう光剣が一本、スワロの上に揺れる事もなくピタッっと止まっている……

驚く惣一郎。

目を開くスワロが、目の前約10m先の大木へ向けて、杖を振り下ろす!

いつもの光剣が刺さると思っていたのだろう…… 

だが、巨大な光る剣がクルリと回り、大木を縦に両断する!

ふたりとも驚き、口を開いていた……

光剣は、その刀身2/3を地面に埋めたまま、光の粒となって舞い上がり消えていく……

「なにを、したんだスワロ……」

「いや…… 光剣で……」

杖の性能なのかスワロの魔力か、この世界での効果なのか、しばらく固まるふたりであった。


「まっ、まぁ、杖は問題なさそうだな……」

「どうしてそうなる! 問題あるだろ惣一郎殿! なんなのだあんな大きな光剣、見た事も出した事もないぞ! しかも、魔力が全然減って無いんだが」

「えっ、魔力まで?」

前の呪羅流民よりは長めに作ったが、素材も一緒だし、魔石もそんな特別では……

「スワロ、今の何本も出せる?」

「まさか、そんな……」

頭上に現れた4本の巨大な光剣。

「そそそ惣一郎殿……」

「お、落ち着け、ゆっくり解除しろ!」

光剣は上空で霧散する。

どうなってるんだ……



テントの中、テーブルにお茶を淹れ、向き合うふたり。

「初めから整理しよう」

「あ、ああ……」

「3年前に、この世界に来たんだよな?」

「ああ……」

「詳しく教えてくれ」

「わ、分かった……」







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