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105.戦いの結末
天空の魔女 リプルとペブル
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105.戦いの結末
その声にペブルがあわてて体を引くと、鼻先をかすめるようにして、火のついた矢が飛んでいった。
ペブルが振り返ると、リプルはすでに次の矢を構えていた。
リプルの矢にブランケットに包まれて座ったままイザベスが青白い顔をしながらも、歯をくいしばりつつ、炎の魔法をかけている。
次から次へと火のついた矢が敵に突き刺さり、やがてその真っ黒な体がゴーっと音をたてて燃え出した。
炎の色は、黄色から赤、そして青へと徐々に高温になり、敵は、体をくねらせて苦しんでいる。
やがて、敵の体についたたくさんの黒い玉が一つずつはじけて、中から黒い汁がどろりと溶け出してきた。
そして、大きな体がゆっくりと傾いていき、地面にどろりと溶け落ちてしまった。
「やっつけた……よね」
ペブルが、確認するようにみんなの顔を見回した。
みんなも、放心したように頷く。
「イザベス! 大丈夫?」
マーサの声にみんなが振り向いた。
すると、青白い顔をしたイザベスが、ひざをついて倒れ込んだところだった。
「ありがとう。みんな」
これまで聞いたことのないようなイザベスのしおらしい声だった。
その声を聞いたとたん、マーサは、わっと声を上げて泣き出した。
いつもひかえ目で、自分の感情をあらわにしないマーサがまるで子どものように感情をあふれさせている。
「どうしたの?」
不思議そうにマーサの顔をのぞき込むイザベス。
「だって、ほんとに心配だったの。イザベスが、あいつらに乗っ取られて。もう戻ってこないんじゃないかって思ったら、心配でたまらなかったわ。しかも、私、イザベスにイヤなこと思い出させたりして、ごめんなさい。でも、イザベスが元に戻ってくれて、ホントによかった」
マーサの涙ながらの言葉にイザベスの顔にもうっすらと赤みが差した。
「マーサ」
そう言うと、イザベスは服の上からマーサの傷があった腕のあたりをやさしくなでた。
「いつだって、マーサは私を守ってくれるのね。あのクリスマスの夜、まだ五歳の幼い私が、暖炉でろうそくに火をつけようとして、バランスを崩した時、マーサが私を押しのけて、代わりに暖炉の柵でやけどをしてしまったのよね。まだ五歳の幼いマーサが、私を守ってくれて」
「だって、私たちパルだもん」
「あなたとパルでよかった」
それを聞いたマーサも笑顔になった。
リプルたちもイザベスとマーサのところへと駆け寄った。
みんなの顔を見回していたイザベスが、ふとリプルの顔を見上げて、不思議そうに声をかけた。
「あのお、リプル。その耳……」
イザベスがリプルの頭にひょこんと突き出た狼の耳を指さして言う。
リプルはしまったというふうにあわてて目を伏せた。
ところが、イザベスが
「オシャレな耳当てね」
と、言ったのでリプルは拍子抜けした。
本物みたい、カッコイイと、イザベスはまじまじとリプルの狼の耳を見つめている。
「あはは、そ、そうかな」
リプルは、イザベスの勘違いを正すことなく、そっとフードをかぶった。
ジールが自分の方を見ているような気がしたけれど、リプルは彼の目を見るのがこわくて、下をむいてしまった。
「このまま、この塔を上がって行こう、おそらく地上とつながっているだろうから」
ジールがみんなをうながした。
その声にペブルがあわてて体を引くと、鼻先をかすめるようにして、火のついた矢が飛んでいった。
ペブルが振り返ると、リプルはすでに次の矢を構えていた。
リプルの矢にブランケットに包まれて座ったままイザベスが青白い顔をしながらも、歯をくいしばりつつ、炎の魔法をかけている。
次から次へと火のついた矢が敵に突き刺さり、やがてその真っ黒な体がゴーっと音をたてて燃え出した。
炎の色は、黄色から赤、そして青へと徐々に高温になり、敵は、体をくねらせて苦しんでいる。
やがて、敵の体についたたくさんの黒い玉が一つずつはじけて、中から黒い汁がどろりと溶け出してきた。
そして、大きな体がゆっくりと傾いていき、地面にどろりと溶け落ちてしまった。
「やっつけた……よね」
ペブルが、確認するようにみんなの顔を見回した。
みんなも、放心したように頷く。
「イザベス! 大丈夫?」
マーサの声にみんなが振り向いた。
すると、青白い顔をしたイザベスが、ひざをついて倒れ込んだところだった。
「ありがとう。みんな」
これまで聞いたことのないようなイザベスのしおらしい声だった。
その声を聞いたとたん、マーサは、わっと声を上げて泣き出した。
いつもひかえ目で、自分の感情をあらわにしないマーサがまるで子どものように感情をあふれさせている。
「どうしたの?」
不思議そうにマーサの顔をのぞき込むイザベス。
「だって、ほんとに心配だったの。イザベスが、あいつらに乗っ取られて。もう戻ってこないんじゃないかって思ったら、心配でたまらなかったわ。しかも、私、イザベスにイヤなこと思い出させたりして、ごめんなさい。でも、イザベスが元に戻ってくれて、ホントによかった」
マーサの涙ながらの言葉にイザベスの顔にもうっすらと赤みが差した。
「マーサ」
そう言うと、イザベスは服の上からマーサの傷があった腕のあたりをやさしくなでた。
「いつだって、マーサは私を守ってくれるのね。あのクリスマスの夜、まだ五歳の幼い私が、暖炉でろうそくに火をつけようとして、バランスを崩した時、マーサが私を押しのけて、代わりに暖炉の柵でやけどをしてしまったのよね。まだ五歳の幼いマーサが、私を守ってくれて」
「だって、私たちパルだもん」
「あなたとパルでよかった」
それを聞いたマーサも笑顔になった。
リプルたちもイザベスとマーサのところへと駆け寄った。
みんなの顔を見回していたイザベスが、ふとリプルの顔を見上げて、不思議そうに声をかけた。
「あのお、リプル。その耳……」
イザベスがリプルの頭にひょこんと突き出た狼の耳を指さして言う。
リプルはしまったというふうにあわてて目を伏せた。
ところが、イザベスが
「オシャレな耳当てね」
と、言ったのでリプルは拍子抜けした。
本物みたい、カッコイイと、イザベスはまじまじとリプルの狼の耳を見つめている。
「あはは、そ、そうかな」
リプルは、イザベスの勘違いを正すことなく、そっとフードをかぶった。
ジールが自分の方を見ているような気がしたけれど、リプルは彼の目を見るのがこわくて、下をむいてしまった。
「このまま、この塔を上がって行こう、おそらく地上とつながっているだろうから」
ジールがみんなをうながした。
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