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78.とりあえずの土下座
天空の魔女 リプルとペブル
しおりを挟む78.とりあえずの土下座
「こっちだ、ジール」
しばらくすると、ファングがジールたちを引き連れて洞窟の出口へとやってきた。
「ありがとう。おかげで助かったわ」
リプルたちは、ツタの葉をかきわけ、洞窟の外へとむかう。
明るい日の中へ出てきたリプルたちは、目を見開いた。
あり得ない光景を見たからだった。
そこにペブルとロッドが、膝を折って座っていて、リプルたちの姿を見ると同時に、
「すいませんでした!」
と、ぺたんこになる勢いで土下座した。
「……」
思わず顔を見合わせるリプルとジール。
しかし、次の瞬間に笑い出してしまった。
「もう、ペブルったら。ほんと心配したんだから。もう二度と会えないんじゃないかって思った」
「全くだ。しかし、生れてからずっと俺のそばを片時も離れたことがない俺のパルであるロッドが、こんなふうにたやすく迷子になるなんてな」
「すまない、ジール。これからは気をつけて」
と、言いかけたロッドをさえぎってジールは笑顔を見せ、言葉をつないだ。
「いや、とは言え、ちょっと嬉しい気持ちもあるんだよ。だって、ロッドは、いつも俺のために気を張ってくれてるのが分かってたから。ありがとう、ペブル」
「へっ? 何で私がお礼言われるの」
ペブルは、わけが分からないというふうに首をかしげている。
「ロッドが僕よりも、守りたいって思えるものに出会えたことが嬉しいんだ」
そう言うと、ジールは、穏やかな目でペブルとロッドを交互に見た。
「それは、違う! ジール。何か勘違いしてないか!?」
ロッドが慌てて立ち上がると、ジールの肩に両手を置いて、真剣な表情で訴える。
「俺の命はジールに捧げているんだ。俺はな、お前を守るために王国騎士団団長を目指しているんだぞ」
「わ、わかったから。あの~女子たちが疑いのまなざしで見てるから。そっちの誤解を解いたほうがいいんじゃないか」
ジールが焦りながら言う。
ロッドが慌てて振り向くと、イザベスとペブルが、二人の男子のやりとりを疑うようなジトッという目で見ていた。
「……我が使い主ながら、ロッドの振る舞いを熱すぎると感じる時もある」
ウィングが、空を仰ぎながらそうつぶやいた。
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