7 / 22
探偵登場
王冠の行方
しおりを挟む
「警部。怪盗ナイトウォーカーにアロマノフ王朝の王冠が盗まれたという情報は、本当なのでしょうか?」
「盗まれたとしたら、アロマノフ王朝との国際問題に発展するのでは?責任をどうするおつもりですか?」
何度もフラッシュを焚き撮影されながら、大量のボイスレコーダーを向けられる渡辺警部。
「今、まだ調査中だ!」
などと叫んでも、記者たちは一歩も引かず、それどころか犯行現場の映像を撮ろうと、列車に乗り込もうとする。
その様子に何名かの警官が下車し、記者たちの侵入を防いでいた。
同時に、鑑識官たちが駅に到着し、列車に乗り込むため、出入り口に群がる記者たちと揉み合っていた。
一方、混乱に乗じて食堂車を抜けた白夜は、3号車に向かって走っていた。
僕の推理では、佐川がナイトウォーカーだ。安藤という部下と、車内に残った警官もグルだろう。
警官は、警帽を深く被って目を暗闇に慣れさせていたため、停電の時にでも辺りがよく見えた。
だから、停電した隙にガラスを割って、"王冠をクッションの下のケースの中に隠した"。
そして、電気の復旧後、佐川自ら確認し、クッションの下には無いと嘘をつくことで、まんまと騙したのだ。
王冠は、まだケースの下にあるに違いない!
「そこまでだ、ナイトウォーカー!」
3号車のドアを開け、白夜は叫ぶ。
そんな彼に、佐川警部は、怪訝そうな顔をする。
「一般人は立ち入り禁止よ」
佐川警部は言う。
「僕は、私立探偵の白夜ノアです」
白夜は、名刺を見せながら言う。
奥の方で聞いていた安藤警部補が、プッと吹き出した。
「あのね、僕。探偵ごっこは他所でやってちょうだい。」
声に苛立ちを隠しきれずに佐川警部は言う。
「この部屋に入れるわけにはいかないの。現場検証って知ってるかな?」
白夜が入ってこないよう、佐川警部は、出入り口の前に仁王立ちして腕を組む。
「舐めないでいただきたい。そのケースの中に、まだ王冠があることを、僕は知ってるんですよ」
白夜は、パーカーに手を入れる。
「鑑識が終わってから回収するつもりでしょうが、無駄ですよ。鑑識が終わるまで、僕がここで見張ってますから」
白夜は、佐川警部を睨んだ。
「いいわ、勝手にしなさい。でも、風で飛ばされ落ちた髪が、この車内に落ちでもしたら、あなたがナイトウォーカーの疑いで逮捕されるかもしれないけど、悪く思わないでね」
鑑識官が、ようやくゾロゾロと3号車に集まる。
鑑識の中にもグルがいるかもしれない。見張らなくては。白夜は、ずっとケースを睨んでいた。
指紋採取などが終わり、佐川警部は出入り口の前に、ケースを持ってきた。クッションを外し、横に倒して見せる。
中は、空洞だった。
「もう、いいでしょ」
佐川警部は、バン!と乱暴に扉を閉めた。
通路に1人残された白夜は、悔しさに、血が出るほど強く下唇を噛んだ。
「盗まれたとしたら、アロマノフ王朝との国際問題に発展するのでは?責任をどうするおつもりですか?」
何度もフラッシュを焚き撮影されながら、大量のボイスレコーダーを向けられる渡辺警部。
「今、まだ調査中だ!」
などと叫んでも、記者たちは一歩も引かず、それどころか犯行現場の映像を撮ろうと、列車に乗り込もうとする。
その様子に何名かの警官が下車し、記者たちの侵入を防いでいた。
同時に、鑑識官たちが駅に到着し、列車に乗り込むため、出入り口に群がる記者たちと揉み合っていた。
一方、混乱に乗じて食堂車を抜けた白夜は、3号車に向かって走っていた。
僕の推理では、佐川がナイトウォーカーだ。安藤という部下と、車内に残った警官もグルだろう。
警官は、警帽を深く被って目を暗闇に慣れさせていたため、停電の時にでも辺りがよく見えた。
だから、停電した隙にガラスを割って、"王冠をクッションの下のケースの中に隠した"。
そして、電気の復旧後、佐川自ら確認し、クッションの下には無いと嘘をつくことで、まんまと騙したのだ。
王冠は、まだケースの下にあるに違いない!
「そこまでだ、ナイトウォーカー!」
3号車のドアを開け、白夜は叫ぶ。
そんな彼に、佐川警部は、怪訝そうな顔をする。
「一般人は立ち入り禁止よ」
佐川警部は言う。
「僕は、私立探偵の白夜ノアです」
白夜は、名刺を見せながら言う。
奥の方で聞いていた安藤警部補が、プッと吹き出した。
「あのね、僕。探偵ごっこは他所でやってちょうだい。」
声に苛立ちを隠しきれずに佐川警部は言う。
「この部屋に入れるわけにはいかないの。現場検証って知ってるかな?」
白夜が入ってこないよう、佐川警部は、出入り口の前に仁王立ちして腕を組む。
「舐めないでいただきたい。そのケースの中に、まだ王冠があることを、僕は知ってるんですよ」
白夜は、パーカーに手を入れる。
「鑑識が終わってから回収するつもりでしょうが、無駄ですよ。鑑識が終わるまで、僕がここで見張ってますから」
白夜は、佐川警部を睨んだ。
「いいわ、勝手にしなさい。でも、風で飛ばされ落ちた髪が、この車内に落ちでもしたら、あなたがナイトウォーカーの疑いで逮捕されるかもしれないけど、悪く思わないでね」
鑑識官が、ようやくゾロゾロと3号車に集まる。
鑑識の中にもグルがいるかもしれない。見張らなくては。白夜は、ずっとケースを睨んでいた。
指紋採取などが終わり、佐川警部は出入り口の前に、ケースを持ってきた。クッションを外し、横に倒して見せる。
中は、空洞だった。
「もう、いいでしょ」
佐川警部は、バン!と乱暴に扉を閉めた。
通路に1人残された白夜は、悔しさに、血が出るほど強く下唇を噛んだ。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
初恋の幼馴染の女の子の恰好をさせられメス調教もされて「彼女」の代わりをさせられる男の娘シンガー
湊戸アサギリ
BL
またメス調教ものです。今回はエロ無しです。女装で押し倒されいますがエロはありません
女装させられ、女の代わりをさせられる屈辱路線です。メス調教ものは他にも書いていますのでよろしくお願いいたします
保育士だっておしっこするもん!
こじらせた処女
BL
男性保育士さんが漏らしている話。ただただ頭悪い小説です。
保育士の道に進み、とある保育園に勤めている尾北和樹は、新人で戸惑いながらも、やりがいを感じながら仕事をこなしていた。
しかし、男性保育士というものはまだまだ珍しく浸透していない。それでも和樹が通う園にはもう一人、男性保育士がいた。名前は多田木遼、2つ年上。
園児と一緒に用を足すな。ある日の朝礼で受けた注意は、尾北和樹に向けられたものだった。他の女性職員の前で言われて顔を真っ赤にする和樹に、気にしないように、と多田木はいうが、保護者からのクレームだ。信用問題に関わり、同性職員の多田木にも迷惑をかけてしまう、そう思い、その日から3階の隅にある職員トイレを使うようになった。
しかし、尾北は一日中トイレに行かなくても平気な多田木とは違い、3時間に一回行かないと限界を迎えてしまう体質。加えて激務だ。園児と一緒に済ませるから、今までなんとかやってこれたのだ。それからというものの、限界ギリギリで間に合う、なんて危ない状況が何度か見受けられた。
ある日の紅葉が色づく頃、事件は起こる。その日は何かとタイミングが掴めなくて、いつもよりさらに忙しかった。やっとトイレにいける、そう思ったところで、前を押さえた幼児に捕まってしまい…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる