幼子は最強のテイマーだと気付いていません!

akechi

文字の大きさ
上 下
89 / 103
ユリア、旅をする!!

ユリア、最強軍団に説教する!

しおりを挟む
「あらあら~!やっぱりユリアよ!」

深い緑色の美しい髪を靡かせながら現れた美女が、ユリアを見つけて嬉しそうにこちらに向かって来た。

「相変わらずの力だね」

美女の背後に立っていたのは、同じく深い緑色の髪をした美しい青年だった。そんな男女を見て驚愕の表情を浮かべているのは邪神セラムや時の精霊王ミリー、そしてシロだ。

オーウェンやアネモネ、それにチェスターは誰かは分からないが、神にも匹敵する凄まじい力を感じるこの二人に嫌な予感がする。徳丸夢はいきなり現れた神秘的な美男美女を見て興奮している。

妖精コウは特に気にする事なく、ユリアの頭に座り“よっ!”と二人に軽く挨拶していた。

「あー!!こんちはーー!!」

綺麗に咲き乱れる花を見ていたユリアは、知っている人物達に向かい嬉しそうに駆けていく。

「あなたのお陰で“神の荒地”の花や木々が元気になったわ!!」

涙を流してユリアを抱きしめる美女。

「だいじょぶー?いたいにょ?」

そんな美女を懸命に慰めるユリアを唖然と見ていたオーウェン達だったが、意を決して美女に話しかけた。

「あの、うちのユリアと知り合いですか?⋯ん?どこかで見たような気がするが⋯気配も何もかも違う⋯」

「あら、御免なさいね!あなた方には挨拶がまだだったわ!!こんにちは、ユリアの家族達!私は森の番人と呼ばれているドライアドよ」

「「「⋯⋯は?」」」

「リアルドライアドだ!!写メ撮りたい!!」

目が点になり硬直するオーウェンとアネモネ、それにチェスター。徳丸夢はなぜか意味不明な言葉を発しながら興奮していた。

「私も自己紹介していなかったね。世界樹ユグドラシルだ」

ユグドラシルと聞いて腰を抜かしてしまうアネモネを支えるオーウェンもあまりにも信じられない光景に震える。チェスターも流石に驚いて動けないでいた。

「ユリア、お前は本当に規格外だね?まさか神の荒地を浄化してしまうとは⋯ふふ⋯」

嬉しそうにユリアを抱っこするユグドラシル。

「ここは神の荒地っていうのか!なんかジメジメして嫌な感じがしたわけだ!」

コウがユグドラシルの周りを飛び回る。

「コウもいたのか、だがまさかセラムがいるとは驚いた。封印は解けてしまったのか、神々は一体何をしているのか」

呆れているユグドラシルの元へ邪神セラムがやって来たが、今までの余裕な雰囲気は一切なく緊迫していた。

「世界樹ユグドラシルに森の番人ドライアドよ。あなた方が人に干渉するとは⋯驚きです」

「ユリアは特別だよ。お前ももう分かっているんじゃないか?」

ユグドラシルの鋭い視線に何を思ったか黙ってしまうセラム。

「こっちにきてー!いっちょにバーベキューちよー!!」

皆が準備したバーベキュー会場に二人を案内するユリア。二人に対してのユリアのフランクな態度にハラハラは止まらないオーウェン達。

「私達は食べませんが、是非参加させて下さい。この庭を、森の復活を少し見ていたいです」

ドライアドは凄まじい変貌を遂げた荒地を見てまた涙ぐむ。

「我々の力を持ってしても助けられなかった花や木々を、この幼子が一瞬で解決したんだよ」

花を見て嬉しそうに笑っているユリアを見ながら、心から感謝をするユグドラシルであった。



オーウェンとシロが焼き担当で、アネモネはテキパキと準備をしている。ユリアはユグドラシルとドライアドに挟まれて上機嫌で肉を待っていた。

「にくーー!!にくー、にくー!!」

肉しか言わないユリアをまた心配そうに見ているセラムとミリー。

「この子は本当に大丈夫なのか?にくー!しか言わないぞ」

「セラム様、この子は食べ物の事ばかり考えている”食いしん坊“という者じゃないかと思います」

ミリーの真剣な発言に、チェスターやオーウェンは耐え切れずに爆笑する。シロとアネモネは必死で笑いを堪えているのか肩が震えていた。

「ユリアはクイチンボーじゃにゃい!!」

ミリーやセラムにプンスカと怒りながら猛抗議するユリアだが、周りの暴言(?)は止まらない。

「おちび!食べ過ぎて子豚になるぞ!!」

「うぅ⋯あにちめーー!!」

ユリアを揶揄って笑うチェスターに、怒りの突進をして行きポカポカ叩くユリア。

「ユリアは可愛い子豚ちゃんなのかい?」

邪気がないユグドラシルの発言だが、ずっと聞いていた徳丸夢が猛抗議する。

「あの皆さん!!女の子に子豚は失礼ですよ!そんなこと言うとユリアちゃんに嫌われますよ!!」

夢の発言にチェスターやユグドラシルは固まる。

「ユリア、あにちもユグもきりゃい!!」

嫌いと言われた二人は崩れ落ちる。そんな二人を気にする事なくテキパキと準備を続けるアネモネと微笑ましくその光景を見ているドライアド。何となく居た堪れないセラムが口を開く。

「子豚は可愛い生き物ですから」

セラムの発言に頭を抱えたミリー。夢も空気を読めよという視線をセラムに向けた。

「せりゃむもきりゃい!!」

プンスカ怒るユリアを見たシロはチェスターとユグドラシル、そしてセラムを順に正座させる。そしてプリプリ怒るユリアを小脇に抱えて三人の前に下ろした。

「ぶたしゃんはすきでしゅ!!でもユリアはぶたしゃんじゃにゃい!!」

「「「⋯はい」」」

世界最強の三人を説教する幼子という光景を見た妖精コウは指差して大爆笑していて、ミリーは自分は関係ないとばかりにバーベキューの方に集中していた。徳丸夢は美味しそうな料理に夢中だった。

アネモネとオーウェンは苦笑いしていたが、ドライアドはそんな光景も嬉しそうに見ていたのだった。




しおりを挟む
感想 564

あなたにおすすめの小説

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。