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1章 国王陛下ですよね?
エチカの提案
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「ちゅごーい!ほんもにょ!」
チロは喜びの小躍りを始めた。孤児院の子供達は嬉しいと小躍りする習性があるのだ。エチカはそんな愛息子を嬉しそうに見ている。
「そうだ!チロにプレゼントがあるのよ!これはね、お母さんが小さい時に遊んでいた木の剣よ!」
「キャー~ー!」
チロがエチカからもらったのは小さな木でできた剣で、おもちゃにしては実に精巧に出来ていた。
「これで素振りをしてみて!」
エチカさんがそう言いながら見本をみせ始めた。
「あい!」
チロはエチカの真似をして一生懸命に素振りをしている。それを微笑ましく見つめるランバートとルル。二人の愛情溢れる暖かい雰囲気に、これならチロを任せても大丈夫だろうとルルは安心した。
「ちゅきありー!」
素振りをしていたらチロがいきなりエチカに斬りかかった。
「ぐわっ!卑怯な!」
エチカもチロに合わせて演技を始めた。
「いくちゃにひきょーもくちょもにゃい!」
ランバートとエチカの視線がルルに向かうが知らんぷりしながら、暫くチロとエチカの兵士ごっこを見ていると、ふと辺りが騒がしくなっていることに気付いた。急いでやって来た執事のお爺さんがランバートの元にきて何やら話をしていた。
するといきなりドアが開き、ジョンさんが入って来た。
「あー!じょんしゃんだー!」
チロが嬉しそうにジョンさんに抱きついた。
「おー!二人とも来てるな!!」
「ジョンさんどうしたの?本当に暇?」
ルルの発言に何故か青ざめるランバートと執事のお爺さん。
「仕事は終わらせた!ルルに会いたくてな!」
「えー!チロはー?」
自分は?と不貞腐れるチロ。
「もちろんチロにも会いたかったぞ!」
そう言うとジョンさんはチロを肩車した。するとチロは不貞腐れてたのが嘘のようにすぐにきゃっきゃして喜んでいた。子供って単純ね(ルルも8歳)。
「陛⋯ごほん!ジョンさんはどうしてこちらに?仕事は本当に終わったのですか?」
「あ?あぁ!」
「今の返事怪しいな!」
ルルが核心をつく。
「ルル、今日も可愛いな~!」
「誤魔化しても無駄だよ!何年の付き合いだと思ってるの!」
「ちゃんと仕事は終わらせたよ!」
嘘くさいジョンさんの答えにジト目をするルル。
「チッ!チロやっちまいな!」
「あい!」
チロは肩車されている足でジョンさんの首を絞め落とそうとする。
「ぐっ⋯!チロ、ギブ⋯ギブアップ!」
「チロ止めなさい!」
ランバートが顔面蒼白で必死に愛息子を止める。
「我が子ながらやるわね!」
だが何故か感心するのは母親であるエチカだ。
「チロもういいよ!」
「あい!」
「お前ら加減がなくなってるな!死ぬぞ?俺、その内に死ぬぞ?」
「仕事をちゃんとしないと駄目でしょ!ランバート先生にも迷惑がかかるでしょう!」
「だめでしゅよ!」
チロも多分訳が分かってないがルルが怒っているので何となく怒る。
そんなやり取りをハラハラしながら見つめるランバートだが、エチカは何か考え込んでいる。
「ルルちゃんにお願いがあるの」
「何ですか?お金ならありませんよ?」
「ルル⋯ここは公爵家だぞ?その手の冗談は通じないぞ?」
ジョンさんが苦笑いする。
「お金はあるわ、大丈夫よ」
真剣に言うエチカさん。
「何か⋯恥ずかしい!」
スベって恥ずかしいルルは顔を隠した。
「提案なんだけど、当分ルルちゃんもこの家に住まない?」
どうしてそうなった!?
チロは喜びの小躍りを始めた。孤児院の子供達は嬉しいと小躍りする習性があるのだ。エチカはそんな愛息子を嬉しそうに見ている。
「そうだ!チロにプレゼントがあるのよ!これはね、お母さんが小さい時に遊んでいた木の剣よ!」
「キャー~ー!」
チロがエチカからもらったのは小さな木でできた剣で、おもちゃにしては実に精巧に出来ていた。
「これで素振りをしてみて!」
エチカさんがそう言いながら見本をみせ始めた。
「あい!」
チロはエチカの真似をして一生懸命に素振りをしている。それを微笑ましく見つめるランバートとルル。二人の愛情溢れる暖かい雰囲気に、これならチロを任せても大丈夫だろうとルルは安心した。
「ちゅきありー!」
素振りをしていたらチロがいきなりエチカに斬りかかった。
「ぐわっ!卑怯な!」
エチカもチロに合わせて演技を始めた。
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ランバートとエチカの視線がルルに向かうが知らんぷりしながら、暫くチロとエチカの兵士ごっこを見ていると、ふと辺りが騒がしくなっていることに気付いた。急いでやって来た執事のお爺さんがランバートの元にきて何やら話をしていた。
するといきなりドアが開き、ジョンさんが入って来た。
「あー!じょんしゃんだー!」
チロが嬉しそうにジョンさんに抱きついた。
「おー!二人とも来てるな!!」
「ジョンさんどうしたの?本当に暇?」
ルルの発言に何故か青ざめるランバートと執事のお爺さん。
「仕事は終わらせた!ルルに会いたくてな!」
「えー!チロはー?」
自分は?と不貞腐れるチロ。
「もちろんチロにも会いたかったぞ!」
そう言うとジョンさんはチロを肩車した。するとチロは不貞腐れてたのが嘘のようにすぐにきゃっきゃして喜んでいた。子供って単純ね(ルルも8歳)。
「陛⋯ごほん!ジョンさんはどうしてこちらに?仕事は本当に終わったのですか?」
「あ?あぁ!」
「今の返事怪しいな!」
ルルが核心をつく。
「ルル、今日も可愛いな~!」
「誤魔化しても無駄だよ!何年の付き合いだと思ってるの!」
「ちゃんと仕事は終わらせたよ!」
嘘くさいジョンさんの答えにジト目をするルル。
「チッ!チロやっちまいな!」
「あい!」
チロは肩車されている足でジョンさんの首を絞め落とそうとする。
「ぐっ⋯!チロ、ギブ⋯ギブアップ!」
「チロ止めなさい!」
ランバートが顔面蒼白で必死に愛息子を止める。
「我が子ながらやるわね!」
だが何故か感心するのは母親であるエチカだ。
「チロもういいよ!」
「あい!」
「お前ら加減がなくなってるな!死ぬぞ?俺、その内に死ぬぞ?」
「仕事をちゃんとしないと駄目でしょ!ランバート先生にも迷惑がかかるでしょう!」
「だめでしゅよ!」
チロも多分訳が分かってないがルルが怒っているので何となく怒る。
そんなやり取りをハラハラしながら見つめるランバートだが、エチカは何か考え込んでいる。
「ルルちゃんにお願いがあるの」
「何ですか?お金ならありませんよ?」
「ルル⋯ここは公爵家だぞ?その手の冗談は通じないぞ?」
ジョンさんが苦笑いする。
「お金はあるわ、大丈夫よ」
真剣に言うエチカさん。
「何か⋯恥ずかしい!」
スベって恥ずかしいルルは顔を隠した。
「提案なんだけど、当分ルルちゃんもこの家に住まない?」
どうしてそうなった!?
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