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1章 アリアナの大冒険ー幼少期ー
悪ガキ集団の爆誕!!④
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ロウゴイヤの屋敷は半壊した。周りが騒然とする中で、犯人らしき豆粒を捕らえたゼストとリリノイス。
今は、里の集会所にゼストとリリノイスを始め、ミルキルズやオウメ、被害者であるロウゴイヤ一家が集まっていた。集会所の周りには野次馬が集まり中を覗こうとしている。
「まさかお前だったとはな⋯」
豆粒⋯自分の娘であるアリアナを見て頭を抱えるしかないゼスト。だがそんなゼストを見る事なく、ずっと下を向いたままのアリアナ。
「あの変な筒を使ったんだな!?結界があったから良かったものの、もしなかったら大勢の怪我人が出たぞ!?」
屋敷に残っていたミルキルズとロウゴイヤの魔力は、あの筒から出たものだと推測したロウジは、アリアナを厳しく叱る。ミルキルズとロウゴイヤのほんの少しの魔力でも、他の竜族は怪我するであろう凄まじい威力なのだ。
「ゼスト様、いくら幼子とはいえ度が過ぎています。牢に閉じ込めるべきです」
リリノイスがアリアナを厳しい目で見ながらゼストに進言した。オウメは下を向いたままのアリアナが気になり近づいて行くと、優しい声で話しかけた。
「アリアナ様?アリアナ様は悪戯っ子でも、こんな事は今までしなかったですよね?何があったんですか?」
自分の頭を優しく撫でてくれるオウメをやっと顔をあげて見たアリアナは大粒の涙を流していた。これにはゼスト含めてロウジやリリノイス、黙って見守っていたミルキルズやロウゴイヤも驚く。ロウリヤはアリアナの元へ駆け寄って行き、思いっきり抱きしめた。
「アリアナちゃん!どうしたの!?いつもみたいに悪ぶれない捻くれたアリアナちゃんでいてよ!」
「ロウリヤ、それでは困る」
ロウリヤの言葉についツッコむゼストだが、大泣きするアリアナから目が離せない。今までもたくさん皆を困らせて、その度に怒られてきたアリアナだが泣いたのは初めてだったのでどうしていいか分からないゼスト。リリノイスも泣き始めたアリアナに戸惑いを隠せない。
「おい、どうしたんだよ?」
ロウジも泣き出したアリアナを見て驚いていた。自分が叱ったから泣いたのかとロウリヤに抱っこされたアリアナの前で狼狽えている。
ミルキルズとロウゴイヤは目に入れても痛くないアリアナの涙にロウジ以上に狼狽えていた。
「うわーーん!うぅ⋯うわーーーん!!」
「アリアナよ⋯どうしたんじゃ?わしらに話してくれんかのう?」
ミルキルズがアリアナに優しく話しかける。
「うぅ⋯ヒック⋯あたちは⋯ヒック⋯ゴミじゃにゃいもん⋯」
絞り出すように話し出したアリアナの言葉に、皆が聞き入る。
「あたちはゴミじゃにゃい⋯嫌われるにょはいい⋯でもゴミじゃにゃいもん!うぅ⋯うわーーーん!!」
それは昼間にミミアから言われた言葉であった。今までも一部のアリアナを良く思わない連中から心ない言葉をかけられる事は多々あった。だが、あんなにも憎しみを込められて言われた事が無かったアリアナは酷くショックを受けていたのだった。
「ゴミ?どう言う事だ?」
ゼストはアリアナと昼間一緒だったので心当たりを知っているであろうロウジに説明を求めた。
「⋯⋯。すみません、母上です。あの人がアリアナにゴミは処分した方が良いと⋯」
ロウジがそう言った瞬間、この集会所の建物がゼストの激しい怒りでガタガタと地響きを起こし始めた。
「ゴミって言ったのか⋯あのババア⋯」
怒りで我を失いそうになったゼストだが、ロウリヤに降ろしてもらったアリアナがこちらに駆けて来た。
「じじい!あたちも悪いでしゅから⋯ゴイ爺のお家をこわちまちた!皆んなを巻き込まなくてよかったでしゅ⋯うぅ⋯」
そう言うと、ロウゴイヤの元へよちよちと歩いて行って頭を下げた。
「ゴイ爺、お家をこわちてごめんなしゃい⋯あたちがいっちょうけんめーになおちましゅ!」
ロウゴイヤはそんなアリアナを泣きながら抱きしめる。
「うぅ⋯アリアナよ、わしこそ気付いてやれなくてすまんかったのう⋯」
「うぅ⋯うわーーーん!!」
ロウゴイヤに許してもらえて安心したのか、また泣き始めたアリアナ。そんな娘を見て心が痛むゼスト。逞しく見えてもまだたった三歳の幼子なんだと今更気付いたのだ。
ミルキルズは泣き続けるアリアナを静かに見ていた⋯。
アリアナはロウゴイヤやミルキルズの進言もあって、処罰は一ヶ月のお菓子禁止令だけで済んだ。反アリアナ派からは甘すぎると猛抗議があったが、ミルキルズとロウゴイヤの静かな怒りに皆が恐れて口を閉じてしまった。
ロウゴイヤの屋敷は魔法ですぐに綺麗に修復された。
それからすぐの事だった。
白昼堂々、またロウゴイヤの屋敷が大きな爆発音と共に半壊した。唖然とするロウジとロウリヤ。女中達もいきなり屋敷から出されたと思ったらこの状況だ、理解できずに呆然と立ち尽くすしかない。
そこへ駆けつけたゼストとリリノイスは我が目を疑った。
そこにはアリアナと小さな竜たちが堂々と立っていた。
「おい!プニとピピにデデ!?」
アリアナのお友達兼舎弟の幼き竜、プニとピピデデ兄弟がアリアナと一緒なのはわかるが、そこにはありえない人物達もいた。
『『『アリアニャをなかちた!!ゆるしゃにゃい!!』』』
「わしもじゃ!もう一発行くか!!」
『『『あい!!!』』』
初代竜族族長であるミルキルズが筒を構えて今にもロウゴイヤの屋敷にある離れに打ち込もうとしているのだ。そんなミルキルズと子竜達を必死に止めようとしているのはアリアナであった。
「おーーい!!持って来たぞーー!!」
更に追加の筒を持って来て、魔力を込めているのはなんとこの大きな屋敷の主であるロウゴイヤであった。
「何をやっているの!!やめなさい!!」
状況が理解できないでいるゼスト達の前に、ボロボロの血だらけ姿になったミミアが恐ろしい形相で向かってきたのだった。
今は、里の集会所にゼストとリリノイスを始め、ミルキルズやオウメ、被害者であるロウゴイヤ一家が集まっていた。集会所の周りには野次馬が集まり中を覗こうとしている。
「まさかお前だったとはな⋯」
豆粒⋯自分の娘であるアリアナを見て頭を抱えるしかないゼスト。だがそんなゼストを見る事なく、ずっと下を向いたままのアリアナ。
「あの変な筒を使ったんだな!?結界があったから良かったものの、もしなかったら大勢の怪我人が出たぞ!?」
屋敷に残っていたミルキルズとロウゴイヤの魔力は、あの筒から出たものだと推測したロウジは、アリアナを厳しく叱る。ミルキルズとロウゴイヤのほんの少しの魔力でも、他の竜族は怪我するであろう凄まじい威力なのだ。
「ゼスト様、いくら幼子とはいえ度が過ぎています。牢に閉じ込めるべきです」
リリノイスがアリアナを厳しい目で見ながらゼストに進言した。オウメは下を向いたままのアリアナが気になり近づいて行くと、優しい声で話しかけた。
「アリアナ様?アリアナ様は悪戯っ子でも、こんな事は今までしなかったですよね?何があったんですか?」
自分の頭を優しく撫でてくれるオウメをやっと顔をあげて見たアリアナは大粒の涙を流していた。これにはゼスト含めてロウジやリリノイス、黙って見守っていたミルキルズやロウゴイヤも驚く。ロウリヤはアリアナの元へ駆け寄って行き、思いっきり抱きしめた。
「アリアナちゃん!どうしたの!?いつもみたいに悪ぶれない捻くれたアリアナちゃんでいてよ!」
「ロウリヤ、それでは困る」
ロウリヤの言葉についツッコむゼストだが、大泣きするアリアナから目が離せない。今までもたくさん皆を困らせて、その度に怒られてきたアリアナだが泣いたのは初めてだったのでどうしていいか分からないゼスト。リリノイスも泣き始めたアリアナに戸惑いを隠せない。
「おい、どうしたんだよ?」
ロウジも泣き出したアリアナを見て驚いていた。自分が叱ったから泣いたのかとロウリヤに抱っこされたアリアナの前で狼狽えている。
ミルキルズとロウゴイヤは目に入れても痛くないアリアナの涙にロウジ以上に狼狽えていた。
「うわーーん!うぅ⋯うわーーーん!!」
「アリアナよ⋯どうしたんじゃ?わしらに話してくれんかのう?」
ミルキルズがアリアナに優しく話しかける。
「うぅ⋯ヒック⋯あたちは⋯ヒック⋯ゴミじゃにゃいもん⋯」
絞り出すように話し出したアリアナの言葉に、皆が聞き入る。
「あたちはゴミじゃにゃい⋯嫌われるにょはいい⋯でもゴミじゃにゃいもん!うぅ⋯うわーーーん!!」
それは昼間にミミアから言われた言葉であった。今までも一部のアリアナを良く思わない連中から心ない言葉をかけられる事は多々あった。だが、あんなにも憎しみを込められて言われた事が無かったアリアナは酷くショックを受けていたのだった。
「ゴミ?どう言う事だ?」
ゼストはアリアナと昼間一緒だったので心当たりを知っているであろうロウジに説明を求めた。
「⋯⋯。すみません、母上です。あの人がアリアナにゴミは処分した方が良いと⋯」
ロウジがそう言った瞬間、この集会所の建物がゼストの激しい怒りでガタガタと地響きを起こし始めた。
「ゴミって言ったのか⋯あのババア⋯」
怒りで我を失いそうになったゼストだが、ロウリヤに降ろしてもらったアリアナがこちらに駆けて来た。
「じじい!あたちも悪いでしゅから⋯ゴイ爺のお家をこわちまちた!皆んなを巻き込まなくてよかったでしゅ⋯うぅ⋯」
そう言うと、ロウゴイヤの元へよちよちと歩いて行って頭を下げた。
「ゴイ爺、お家をこわちてごめんなしゃい⋯あたちがいっちょうけんめーになおちましゅ!」
ロウゴイヤはそんなアリアナを泣きながら抱きしめる。
「うぅ⋯アリアナよ、わしこそ気付いてやれなくてすまんかったのう⋯」
「うぅ⋯うわーーーん!!」
ロウゴイヤに許してもらえて安心したのか、また泣き始めたアリアナ。そんな娘を見て心が痛むゼスト。逞しく見えてもまだたった三歳の幼子なんだと今更気付いたのだ。
ミルキルズは泣き続けるアリアナを静かに見ていた⋯。
アリアナはロウゴイヤやミルキルズの進言もあって、処罰は一ヶ月のお菓子禁止令だけで済んだ。反アリアナ派からは甘すぎると猛抗議があったが、ミルキルズとロウゴイヤの静かな怒りに皆が恐れて口を閉じてしまった。
ロウゴイヤの屋敷は魔法ですぐに綺麗に修復された。
それからすぐの事だった。
白昼堂々、またロウゴイヤの屋敷が大きな爆発音と共に半壊した。唖然とするロウジとロウリヤ。女中達もいきなり屋敷から出されたと思ったらこの状況だ、理解できずに呆然と立ち尽くすしかない。
そこへ駆けつけたゼストとリリノイスは我が目を疑った。
そこにはアリアナと小さな竜たちが堂々と立っていた。
「おい!プニとピピにデデ!?」
アリアナのお友達兼舎弟の幼き竜、プニとピピデデ兄弟がアリアナと一緒なのはわかるが、そこにはありえない人物達もいた。
『『『アリアニャをなかちた!!ゆるしゃにゃい!!』』』
「わしもじゃ!もう一発行くか!!」
『『『あい!!!』』』
初代竜族族長であるミルキルズが筒を構えて今にもロウゴイヤの屋敷にある離れに打ち込もうとしているのだ。そんなミルキルズと子竜達を必死に止めようとしているのはアリアナであった。
「おーーい!!持って来たぞーー!!」
更に追加の筒を持って来て、魔力を込めているのはなんとこの大きな屋敷の主であるロウゴイヤであった。
「何をやっているの!!やめなさい!!」
状況が理解できないでいるゼスト達の前に、ボロボロの血だらけ姿になったミミアが恐ろしい形相で向かってきたのだった。
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