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1章 アリアナの大冒険ー幼少期ー
アリアナは強いんです!
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アリアナが放った炎の渦が大人達に向かっていく。大人達はパニックになり逃げ惑う中、ミル爺が豪快に笑う。
「さすがアリアナじゃな!炎の渦とは恐れ入った!自分で考えたのか?」
「あい!火魔法と風魔法を融合させまちた!」
どや顔のアリアナと、嬉しそうに拍手をするおちび竜達。
「じゃが、ここを出た方がいいのう。この魔法で洞窟が崩れるのも時間の問題じゃ!」
ミルキルズは牙を自分の亜空間に収納するとどや顔を続けるアリアナを小脇に抱え、おちび竜達を誘導して入口まで向かう。大人達も必死で後を追うが、炎の渦がどんどん大きくなる。
そして皆が洞窟から出た瞬間に爆発が起こり入口も塞がり崩れてしまった。それを唖然と見ている大怪我を負った大人達。
「嘘だろ……神聖な洞窟が……」
「族長に知れたら……殺される!」
「いや……これはあの人族のガキがやった事だ!」
「そうだな……はは!今度こそあのガキは終わりだな!」
そう言って嫌な笑みを浮かべる大人達を冷たい目で見ているミルキルズ。そこへ騒ぎを聞きつけた族長のゼストや側近達が駆けつけた。そこには見るも無惨に破壊された洞窟と傷だらけの男達、そして偉大なる人物がそこにはいた。
ゼスト達はミルキルズの前に急いで跪く。
「爺様」
「「「ミルキルズ様」」」
「ああ、ゼストか。見ての通りじゃ、暫く屋敷に戻るぞ!曾孫とも一緒にいたいからのう!」
ミルキルズは小脇に抱えているアリアナを見て優しく微笑む。
「はい、そのように手配致しますが……一体何があったのですか?」
「ああ、これは……「アリアナです!」
無礼にもミルキルズの言葉を遮り、アリアナを指差し責め始める男達。
「アリアナが洞窟の中で魔法を発動させてこのような事になったんです!」
「私達は止めに入ったのですが間に合わずに……」
「子供の悪戯にしても度が過ぎます!厳罰を求めます!」
そう喚き散らす男達を冷たく睨み付けるゼスト。だが次の瞬間、喚いていた男達が全員泡を吹いて倒れた。
「全く救いようがない連中じゃな」
アリアナ達には普段絶対に見せない威厳ある初代族長の貫禄が滲み出ているミルキルズに冷や汗が止まらない側近達。
ミルキルズはゼスト達に事情を話す。話を聞いたゼストは顔色が変わり、小脇に抱えられているアリアナに目を向ける。
「怪我はないか?」
「だいじょぶ!だってちゅよいもん!」満面の笑みで頷くアリアナ。
そんな元気な娘に安堵するゼスト。ゼストは人族のアリアナを不満とする者達の存在を危惧していた。自分がいない時を狙って襲うかもしれない。だが、幸いにもアリアナには膨大な魔力があるので訓練さえすれば竜族をも超える事も可能だろう。
アリアナが二歳の時からゼストが直々に指導を始めたが、想像を遥かに超える才能を開花させた。三歳になった頃には自己流の魔法も造り出したり、教えてもいない魔道具を開発したりと天才ぶりを見せつけた。
「アリアナ…お前を良く思っていない奴がいるのは分かるな?」
ゼストがアリアナの目を見て真剣に話し始めた。
「うん。ひとぞくだからでしゅよね」
アリアナは下を向いてポツリと言う。
「ああ。でもお前は強い。今回は……良くやったな」
ゼストはそう言って不器用にアリアナを誉めると、倒れている男達を拘束するよう指示して洞窟の方へ向かっていった。
「ちょっと待って下しゃい!」
男達を連れて行こうとした側近を引き留めるアリアナ。ミルキルズに降ろしてもらい、よちよちと男達の前にやって来たアリアナは着物の袖から筆のようなものを取り出す。
「殺られる前に殺れでしゅよね!」
アリアナはそう言って不敵に笑うと、男達の顔に見るも無惨な落書きを書き始めた。それを見ていたミルキルズやおちび竜は指差して大笑いしている。
「三日は消えませぇん!……でももうちょっと改良しないとでしゅね!」
そしてその実験台がゼストになる事をこの時はまだ誰も知らない。
「さすがアリアナじゃな!炎の渦とは恐れ入った!自分で考えたのか?」
「あい!火魔法と風魔法を融合させまちた!」
どや顔のアリアナと、嬉しそうに拍手をするおちび竜達。
「じゃが、ここを出た方がいいのう。この魔法で洞窟が崩れるのも時間の問題じゃ!」
ミルキルズは牙を自分の亜空間に収納するとどや顔を続けるアリアナを小脇に抱え、おちび竜達を誘導して入口まで向かう。大人達も必死で後を追うが、炎の渦がどんどん大きくなる。
そして皆が洞窟から出た瞬間に爆発が起こり入口も塞がり崩れてしまった。それを唖然と見ている大怪我を負った大人達。
「嘘だろ……神聖な洞窟が……」
「族長に知れたら……殺される!」
「いや……これはあの人族のガキがやった事だ!」
「そうだな……はは!今度こそあのガキは終わりだな!」
そう言って嫌な笑みを浮かべる大人達を冷たい目で見ているミルキルズ。そこへ騒ぎを聞きつけた族長のゼストや側近達が駆けつけた。そこには見るも無惨に破壊された洞窟と傷だらけの男達、そして偉大なる人物がそこにはいた。
ゼスト達はミルキルズの前に急いで跪く。
「爺様」
「「「ミルキルズ様」」」
「ああ、ゼストか。見ての通りじゃ、暫く屋敷に戻るぞ!曾孫とも一緒にいたいからのう!」
ミルキルズは小脇に抱えているアリアナを見て優しく微笑む。
「はい、そのように手配致しますが……一体何があったのですか?」
「ああ、これは……「アリアナです!」
無礼にもミルキルズの言葉を遮り、アリアナを指差し責め始める男達。
「アリアナが洞窟の中で魔法を発動させてこのような事になったんです!」
「私達は止めに入ったのですが間に合わずに……」
「子供の悪戯にしても度が過ぎます!厳罰を求めます!」
そう喚き散らす男達を冷たく睨み付けるゼスト。だが次の瞬間、喚いていた男達が全員泡を吹いて倒れた。
「全く救いようがない連中じゃな」
アリアナ達には普段絶対に見せない威厳ある初代族長の貫禄が滲み出ているミルキルズに冷や汗が止まらない側近達。
ミルキルズはゼスト達に事情を話す。話を聞いたゼストは顔色が変わり、小脇に抱えられているアリアナに目を向ける。
「怪我はないか?」
「だいじょぶ!だってちゅよいもん!」満面の笑みで頷くアリアナ。
そんな元気な娘に安堵するゼスト。ゼストは人族のアリアナを不満とする者達の存在を危惧していた。自分がいない時を狙って襲うかもしれない。だが、幸いにもアリアナには膨大な魔力があるので訓練さえすれば竜族をも超える事も可能だろう。
アリアナが二歳の時からゼストが直々に指導を始めたが、想像を遥かに超える才能を開花させた。三歳になった頃には自己流の魔法も造り出したり、教えてもいない魔道具を開発したりと天才ぶりを見せつけた。
「アリアナ…お前を良く思っていない奴がいるのは分かるな?」
ゼストがアリアナの目を見て真剣に話し始めた。
「うん。ひとぞくだからでしゅよね」
アリアナは下を向いてポツリと言う。
「ああ。でもお前は強い。今回は……良くやったな」
ゼストはそう言って不器用にアリアナを誉めると、倒れている男達を拘束するよう指示して洞窟の方へ向かっていった。
「ちょっと待って下しゃい!」
男達を連れて行こうとした側近を引き留めるアリアナ。ミルキルズに降ろしてもらい、よちよちと男達の前にやって来たアリアナは着物の袖から筆のようなものを取り出す。
「殺られる前に殺れでしゅよね!」
アリアナはそう言って不敵に笑うと、男達の顔に見るも無惨な落書きを書き始めた。それを見ていたミルキルズやおちび竜は指差して大笑いしている。
「三日は消えませぇん!……でももうちょっと改良しないとでしゅね!」
そしてその実験台がゼストになる事をこの時はまだ誰も知らない。
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