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本編

第2話 足音

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 扉の開いた!! にっ、逃げないと!!


 僕達の家は2つの大きな扉がある。人間が入ってくる為の扉と、トゲトゲした袋に仲間を詰めた後、人間が入っていく部屋だ。


 人間が入ってくる扉から僕の檻までは、人間の足で大体10歩位だ。


 僕達が、仲間を殺されているとわかる理由はこの部屋にもある。


 仲間を詰めた後に入る部屋からは、僕達の仲間が焼けた匂いがするんだ。


 「キャン! キャン! キャン! キャン!」


 僕は相棒と一緒にケージの隅っこに隠れて吠え続ける。


 僕の心臓はドクンドクンと鳴る。次は僕達の番なのか......?


 嫌だ、死にたくない。


 「「キャン! キャン! キャン! キャン!」」


 「ウゥー......ワン! ワン! ワン! ワン!」


 「グルルルル、ウー、アン! アン! アン! アン!」


 仲間も人間を追い出すために必死で威嚇する。


 僕達のケージの前に立たれたらお終いだ。


 立たれた途端、あの袋に詰められる。

 

 人間は1歩、また1歩と近づいてくる。


 さっきまで威嚇していた僕達も、人間の足音に怯えて今では全員身を隠している。

 

 僕も、相棒と一緒に体を擦り寄らせてる。


 僕の相棒の名前はきなこだ。誰に付けられたかも分からないし、この暗くて狭い檻の中に居た記憶しか僕は無いけどこれだけは覚えていた。


 僕がこれまで生きてこれたのも、きなこのお陰だ。きなこと一緒で無ければこの暗い檻には耐えられなかった。


 後、僕にも名前がある。


 あずきと言うちゃんとした名前が。この名前だけは僕の宝物だ。


 理由は分からないけど、そんな気がする。


 僕は、きなこと見つめ合い「絶対に生きようね」と言う。


 でも、僕達にはそれが許されないのかもしれない。


────僕達の目の前で人間の足音が止まったのだ。

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