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コイカケ2の13
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静流の手札はどうなったか。最初に配られた時点を見てみると。
ハートのA ハートの2 スペードの3 クラブの4 ハートの5
(あら。ストレートができている――と思ったのに。これまで効果を発揮していなかった特殊カードが二枚とも入っているなんて)
スペードの3は静流自身が指定したものだから、分かって当然。
だが野杁指定の6.が、何故ハートの2だと分かったのか。それは第二戦の終わったあと、野杁が口走った言葉に根拠がある。
あのとき野杁は、「本当に運がよかったら、そっちの2が」と言った。
本当に運がよかったら私の方が勝っていた、と言いたかったに違いない。思わず口走るほどだから、それは惜しかったのだろう。「そっちの2が」というフレーズから、第二戦決着時の静流の手札にあった2を思い出すと、クラブの2とスペードの2。
クラブの2 ダイヤのA スペードのQ スペードの2 ダイヤの9
この内、特殊カードでないスペード2が別の2、つまりダイヤの2かハートの2であったなら、野杁が勝っていたのに、という意味だとすれば、静流の手札は、
クラブの2 ダイヤのA スペードのQ 特殊カード6. ダイヤの9
となり、野杁の手札が、
ダイヤのJ クラブのJ ハートの10 スペードの10 スペードのJ
であったので、特殊カードの効果を考慮に入れると、
クラブの2 ダイヤの2 スペードのQ スペードのJ ダイヤの9
と変化し、2のワンペアに。野杁の手札は、
クラブの2 クラブのJ ハートの10 スペードの10 ダイヤorハートの2
と10と2のツーペアになり、勝敗は野杁の勝ちに転んでいた。
これにより、特殊カード6.はダイヤの2もしくはハートの2であるとする仮定は、あり得る。野杁がお芝居をしていない、口を滑らせたというのが大前提だが。
さらに最前の第七戦で、野杁の公開した手札の中にダイヤの2あがった。しかし、特殊カードとしての効果は発揮されず。つまり、ハートの2こそが条件6.の特殊カードである――このように推測と論理を積み重ねた結果だった。
リアルタイムの対戦に、話を戻そう。静流はカードを見つめながら検討していた。
(ハートの2は相手の札の中で一番強い物と交換だから、このままではストレートが崩れるのは間違いなし。かといって、ゲーム終了条件を満たすチャンスを、みすみす手放すのも惜しいわ。
……負けるが勝ちって、あまり好きではないのだけど、トーナメントも始めないといけませんし)
静流は多少悩んだ末に、クラブの4とハートの5を捨てることにした。
三ツ矢によって配られた、新たな二枚を拾い、手札に加える。
(あらら。神通力がなくなったかしら)
ノーペアだった――この段階では。
野杁は残りの三本をレイズして、勝負に来た。
静流は、ここでも多少迷い、コールした。
「お二方ともよろしいですね。では、手札を開いてください」
ディーラーの三ツ矢の掛け声で、両者の札がオープンされる。
神田部静流
ハートのA ハートの2 スペードの3 ダイヤの9 ダイヤのJ
野杁竹子
スペードの10 ハートの10 クラブの10 スペードの2 クラブの5
「――えー、特殊カードは、野杁さんがクラブの5ですね。仮にこの状態で行使できるとしたら、当然……?」
「10よ」
静流の手札はどうなったか。最初に配られた時点を見てみると。
ハートのA ハートの2 スペードの3 クラブの4 ハートの5
(あら。ストレートができている――と思ったのに。これまで効果を発揮していなかった特殊カードが二枚とも入っているなんて)
スペードの3は静流自身が指定したものだから、分かって当然。
だが野杁指定の6.が、何故ハートの2だと分かったのか。それは第二戦の終わったあと、野杁が口走った言葉に根拠がある。
あのとき野杁は、「本当に運がよかったら、そっちの2が」と言った。
本当に運がよかったら私の方が勝っていた、と言いたかったに違いない。思わず口走るほどだから、それは惜しかったのだろう。「そっちの2が」というフレーズから、第二戦決着時の静流の手札にあった2を思い出すと、クラブの2とスペードの2。
クラブの2 ダイヤのA スペードのQ スペードの2 ダイヤの9
この内、特殊カードでないスペード2が別の2、つまりダイヤの2かハートの2であったなら、野杁が勝っていたのに、という意味だとすれば、静流の手札は、
クラブの2 ダイヤのA スペードのQ 特殊カード6. ダイヤの9
となり、野杁の手札が、
ダイヤのJ クラブのJ ハートの10 スペードの10 スペードのJ
であったので、特殊カードの効果を考慮に入れると、
クラブの2 ダイヤの2 スペードのQ スペードのJ ダイヤの9
と変化し、2のワンペアに。野杁の手札は、
クラブの2 クラブのJ ハートの10 スペードの10 ダイヤorハートの2
と10と2のツーペアになり、勝敗は野杁の勝ちに転んでいた。
これにより、特殊カード6.はダイヤの2もしくはハートの2であるとする仮定は、あり得る。野杁がお芝居をしていない、口を滑らせたというのが大前提だが。
さらに最前の第七戦で、野杁の公開した手札の中にダイヤの2あがった。しかし、特殊カードとしての効果は発揮されず。つまり、ハートの2こそが条件6.の特殊カードである――このように推測と論理を積み重ねた結果だった。
リアルタイムの対戦に、話を戻そう。静流はカードを見つめながら検討していた。
(ハートの2は相手の札の中で一番強い物と交換だから、このままではストレートが崩れるのは間違いなし。かといって、ゲーム終了条件を満たすチャンスを、みすみす手放すのも惜しいわ。
……負けるが勝ちって、あまり好きではないのだけど、トーナメントも始めないといけませんし)
静流は多少悩んだ末に、クラブの4とハートの5を捨てることにした。
三ツ矢によって配られた、新たな二枚を拾い、手札に加える。
(あらら。神通力がなくなったかしら)
ノーペアだった――この段階では。
野杁は残りの三本をレイズして、勝負に来た。
静流は、ここでも多少迷い、コールした。
「お二方ともよろしいですね。では、手札を開いてください」
ディーラーの三ツ矢の掛け声で、両者の札がオープンされる。
神田部静流
ハートのA ハートの2 スペードの3 ダイヤの9 ダイヤのJ
野杁竹子
スペードの10 ハートの10 クラブの10 スペードの2 クラブの5
「――えー、特殊カードは、野杁さんがクラブの5ですね。仮にこの状態で行使できるとしたら、当然……?」
「10よ」
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