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コイカケ2の3
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一声吠えた野杁は、鼻で息をして冷静に立ち戻った。
「それから……4は、プレイヤー自らが設定したカードについては、その特殊性は分かっている。けれども相手が設定した三枚については分からないという意味。ディーラーは六枚全てについて把握しており、カード交換をしたあと、ディーラーが各人の手札を見て判定するのよ。いい?」
今度は三ツ矢に確認を取る野杁。三ツ矢は静かに頷いた。
「5はそれぞれ事例を挙げていこうかしら。一方にのみ有利というのは、スペードのジャックが手札にあった場合は、問答無用で野杁竹子の勝利とする、なんてのは認められない」
「当たり前ね。そんなのを認めていたら、興を削がれると甚だしい」
「賭け代やプレイヤーに影響ってのは、クラブの8が手札にあれば相手のチップを倍掛けに強制できるとか、ダイヤの9が手札にあれば相手プレイヤーを一回殴れるとか、そういう類よ」
「要するにポーカーゲームのカードそのものに対する効果しか付与してはならないと」
「そう、その通りよ。だったら次のゲームに使用するトランプ以外の事どもに影響を及ぼすっていうのもだいたい分かるでしょ。極端な話をすると、ハートのエースがあればこの船を停めるとか」
「停めると、ポーカーに有利になるのかしら」
「適当に考えたたとえばの話よ。最後の、一度に二枚以上に影響を及ぼすというのは、たとえばスペードの6を持っていれば手札全てがスペードになるという風なのはだめ。相手の札に対する影響を設定する場合も同じよ」
「確認したいわ。今言った項目についてだけれども、自分の手札一枚と、相手の手札一枚というのは抵触する?」
「無論だめよ。それは二枚と見なす」
「分かった。他にも確認したいことが山ほど」
「いいから早く言いなさいよっ」
「じゃあ……特殊カードの効果は必ず発動されるのね? たとえば自分の手札にハートの3があって、このまま使うとストレートが完成するのに、発動するとノーペアになってしまう、なんて場合でも」
「当然、強制発動よ」
そういう条件なら、場合によっては最初から実現不可能な手役が存在しうるわけね……静流はあり得べき戦略を様々に想像しつつ、次の質問を発した。
「そうね、これは敢えて確認しないでおこうかとも思ったのだけれど、相手の札に対する影響を設定する場合について。『ハートのエースを持った者は対戦相手のカードの内指定した一枚を開かせることができる』なんていう特性は認められるのかしら」
「問題ないわ」
「最初の手札にハートのエースがあるとして。開かせるタイミングは、相手がカードチェンジをしたあとでもかまわない?」
「……いいんじゃない。その時点で特殊カードを持っているのなら」
「じぇ、別の特性で……『クラブの2を持っていたら、相手のカードの内、数が最も大きな一枚を捨てさせることができる』なんていうのはどう?」
「セーフね。ただし、『相手はノーペアにしなければならない』なんていうのはアウト。複数枚のカードに影響を及ぼす可能性がある特性だから」
「分かったわ。他にもまだ聞きたいことはいっぱいありそうなのだけれども、時間が経つばかりだわ。それぞれ特性三つを決めてから、OKかNGかを判定するのでどうかしら」
「――いいアイディアね。悔しいけれど、認めてあげる」
上から目線なのかデレているのか判断しづらい物腰で、野杁は賛成した。
「それから……4は、プレイヤー自らが設定したカードについては、その特殊性は分かっている。けれども相手が設定した三枚については分からないという意味。ディーラーは六枚全てについて把握しており、カード交換をしたあと、ディーラーが各人の手札を見て判定するのよ。いい?」
今度は三ツ矢に確認を取る野杁。三ツ矢は静かに頷いた。
「5はそれぞれ事例を挙げていこうかしら。一方にのみ有利というのは、スペードのジャックが手札にあった場合は、問答無用で野杁竹子の勝利とする、なんてのは認められない」
「当たり前ね。そんなのを認めていたら、興を削がれると甚だしい」
「賭け代やプレイヤーに影響ってのは、クラブの8が手札にあれば相手のチップを倍掛けに強制できるとか、ダイヤの9が手札にあれば相手プレイヤーを一回殴れるとか、そういう類よ」
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「そう、その通りよ。だったら次のゲームに使用するトランプ以外の事どもに影響を及ぼすっていうのもだいたい分かるでしょ。極端な話をすると、ハートのエースがあればこの船を停めるとか」
「停めると、ポーカーに有利になるのかしら」
「適当に考えたたとえばの話よ。最後の、一度に二枚以上に影響を及ぼすというのは、たとえばスペードの6を持っていれば手札全てがスペードになるという風なのはだめ。相手の札に対する影響を設定する場合も同じよ」
「確認したいわ。今言った項目についてだけれども、自分の手札一枚と、相手の手札一枚というのは抵触する?」
「無論だめよ。それは二枚と見なす」
「分かった。他にも確認したいことが山ほど」
「いいから早く言いなさいよっ」
「じゃあ……特殊カードの効果は必ず発動されるのね? たとえば自分の手札にハートの3があって、このまま使うとストレートが完成するのに、発動するとノーペアになってしまう、なんて場合でも」
「当然、強制発動よ」
そういう条件なら、場合によっては最初から実現不可能な手役が存在しうるわけね……静流はあり得べき戦略を様々に想像しつつ、次の質問を発した。
「そうね、これは敢えて確認しないでおこうかとも思ったのだけれど、相手の札に対する影響を設定する場合について。『ハートのエースを持った者は対戦相手のカードの内指定した一枚を開かせることができる』なんていう特性は認められるのかしら」
「問題ないわ」
「最初の手札にハートのエースがあるとして。開かせるタイミングは、相手がカードチェンジをしたあとでもかまわない?」
「……いいんじゃない。その時点で特殊カードを持っているのなら」
「じぇ、別の特性で……『クラブの2を持っていたら、相手のカードの内、数が最も大きな一枚を捨てさせることができる』なんていうのはどう?」
「セーフね。ただし、『相手はノーペアにしなければならない』なんていうのはアウト。複数枚のカードに影響を及ぼす可能性がある特性だから」
「分かったわ。他にもまだ聞きたいことはいっぱいありそうなのだけれども、時間が経つばかりだわ。それぞれ特性三つを決めてから、OKかNGかを判定するのでどうかしら」
「――いいアイディアね。悔しいけれど、認めてあげる」
上から目線なのかデレているのか判断しづらい物腰で、野杁は賛成した。
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