自こ慢ぞく之家族

飴盛ガイ

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相馬加奈子

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「はあ……」

うんざり、本当にうんざり、うんざり、うんざり。お皿を片っ端から叩き割ってやりたい。毎度毎度あの人の目つきが本当に気持ち悪い。常に何かを探るよう目。しかも粗探しをするような維持の悪さ。

「ああ、もう!!」

とうとう我慢できずに鍋に残っていた味噌汁をシンクにぶちまけた。否な匂いが広がる。インスタントの出汁と化学調味料で味付けをした味噌汁。それをあの人は当て付けの様に出汁が効いてて美味しいって。いつもそう。直接言わずにねちっこく回りくどい嫌味を言って、それで相手を推し量っている。そのくせ自分は気が効いていると勘違いしているだから救いようがない。

「いや、違うわね」

それを気遣いが出来ていると勘違いしていた昔の私の方が救いようがないわ。結婚して知れば知るほど嫌いになっていったけど、誠一が産まれてから少しは変わってくれると思った。無理だった。それどころか加速度的に悪くなった。

家事だって私が畳んだ服をわざわざ畳み直したり、掃除だって部屋の墨の埃をよくわからないブラシで払ったり。しかも大抵が子供たちの見ている前でしかやらない。自分本位でしか行動しないあの人の本性がたまらなく嫌だ。
子供のことだって殆ど私にまかせっきり。あの人がやる事といえば誠一とゲームをする事だけ。それでコミュニケーションを取った気になっていて、見れば見るほど滑稽に見えて逆に笑ってしまう。一度しっかりと家族の顔を見てみればいいのに。誰もが呆れているってことに。いえ、無理でしょうね。あの人が見ているのは自分にとって都合のいい張りぼてだけ。私のことも、息子のことも、ましてや、美奈のことなんて何一つ見てはいないでしょう。

「さてと、今日は美奈の好物でも作ろうかしら。そろそろ味が染みているでしょうし」

子供を育てるのは母親の義務。なんて古臭い感性は今時笑われるわ。



相馬加奈子のブログ
『今日も憎い夫の仕草』
[相変わらず勘違いして家族ごっこしているうちのバカ夫。唯一の良いところは稼ぎがいいことだけ。私は都合のいい母親役を演じる事でバイト代をもらっています。だから子供の世話をするのもそのバイト内容に含まれています。ま、所詮バイトだから手は抜きますけど(笑)適当に冷凍食品チンして終わり。それでも、大切な家族はそれなりに愛おしいな、と思う私でした]
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