319 / 363
突っ込みの嵐 4
しおりを挟む「ふふ、確かに注目、独り占めですね」
口元を軽く押さえ、おっとりと笑えるランの感性がわからなかった。
注目独り占めは認めるけど、アレ見てよくそんな微笑まし気に笑ってられるな。
「すっごい!恰好いいですね!!」
ヒーローショーを見た子供みたいに興奮した様子のメラルド。
恰好いいか、アレを恰好いいというか。
俺はお前の感性もわからないよ。
『リ、リリアさーーーーん??!!何やってんですかーーーー???!!!』
そしてリリー嬢。
キミのその感想には全力で同意する。
でも声こそ抑えてるけど、表情が取り繕えてないから。
脱げちゃってるから、ヒロインの皮。サフィアたちに気づかれる前に被って、被って。
もはや全てが突っ込み対象の気がしてならない…一周廻って酷く冷静な頭で見守る視線の先、リリアは相変わらず絶好調だ。
「とっておきの忍法をお見せしましょう!!」
数歩歩いたリリアはジャジャーン!!という効果音が聞こえそうな動作で右手を高く斜めに掲げ、背後の檻を指し示す。蛍光色に発行してる彼女の灯りでその手と躰に照らされた部分だけがぼんやりと浮かび上がった。
「忍法……」
両手を胸の前で組み、人差し指を立てた忍者お馴染のポーズをとったリリアは何かを言い掛け、不自然に止まった。
「イッツマジックっ!!!!!」
高らかな声をあげ、両手をバーン!と広げるリリア。
……忍法じゃなかったんかいっ?!
思わず裏拳による突っ込みが炸裂しそうになった。
危ない……。
動きかけた右手と声を抑えた俺は超偉いと思う。
あれは多分、続く言葉が思いつかなかったんだろうな。
俺も空蝉の術とか分身の術とか有名なのしか思いつかんし。
でもポーズ練習してたなら台詞も練習しとけよ!
そもそもなんで美少女仮面から忍法が出てきたのかも謎。意味不明感ハンパない。
そしてそんな動作と共に突如大きな檻が消え、そして謎の美少女仮面の姿も舞台からは消えていた。
実際は暗闇にまぎれて壇上へと進んだソラがリリアに照らされてない位置で檻に触れて転移し、同時にリリアが発光を解いて暗闇に紛れ、それをソラが回収しただけだけど…。
取り敢えず、突っ込みどころ満載のショーはひとまず終了したようです。
103
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
【完結】妃が毒を盛っている。
佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。
王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。
側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。
いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。
貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった――
見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。
「エルメンヒルデか……。」
「はい。お側に寄っても?」
「ああ、おいで。」
彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。
この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……?
※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!!
※妖精王チートですので細かいことは気にしない。
※隣国の王子はテンプレですよね。
※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り
※最後のほうにざまぁがあるようなないような
※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい)
※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中
※完結保証……保障と保証がわからない!
2022.11.26 18:30 完結しました。
お付き合いいただきありがとうございました!
乙女ゲームはエンディングを迎えました。
章槻雅希
ファンタジー
卒業パーティでのジョフロワ王子の婚約破棄宣言を以って、乙女ゲームはエンディングを迎えた。
これからは王子の妻となって幸せに贅沢をして暮らすだけだと笑ったゲームヒロインのエヴリーヌ。
だが、宣言後、ゲームが終了するとなにやら可笑しい。エヴリーヌの予想とは違う展開が起こっている。
一体何がどうなっているのか、呆然とするエヴリーヌにジョフロワから衝撃的な言葉が告げられる。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様・自サイトに重複投稿。
過程をすっ飛ばすことにしました
こうやさい
ファンタジー
ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。
どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?
そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。
深く考えないでください。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる