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他人の振りをさせてください 1
しおりを挟むその後もメンバーは入れ替わりつつも幾度か外出したり、誰かの家に遊びに行ったり。
予想通りアレクサンドラも喜々として巻き込まれ女の子たちとの外出を楽しんでたしね。
漏れなくシリウスも道連れです。
女の子たちとアレクサンドラを一緒にするのは不安なのでオカンが道連れになるのは大歓迎!
ナディア嬢がベアトリクスやメラルド達数人で外出した時、一度だけ襲われかけたことがあったけど無事メラルドが撃退した。それ以外はこれといった実質的な襲撃はなし。
尾行みたいのは何度かあったんだけどね…。
裏組織っていうか、興味本位で貴族が放った情報屋関係っぽい小物ばっかだった。
ルクセンブルク邸にも皆で遊びに来たよ。
以前約束してた手料理を披露しました。
人数も多いからオムライスは難しいので海鮮パエリアをチョイス。
デザートはベアトリクスのリクエストでシュー菓子再び。
久々の米にリリー嬢がむちゃくちゃ感動してた。
我が家のメンバーやダイアは割と米はもうお馴染だけど、お初だったその他のメンバーも物珍し気にしつつ気にいったみたいでよかった。
何でダイアもお馴染かって??
俺が賄賂を兼ねて皇太后様に献上してるからですが何か?
味噌も醤油も献上しました。
名目上は珍しい品を手に入れたから如何ですか、で。
実質的には賄賂です。
日頃の付き合いって大事だよ?
米やら何やらをもっと広めて欲しいっていう下心もあるし。
表面上は「あら、珍しい品」とかお上品に受け取りながら、
『カイザー君グッジョブ!!』
皇太后様に心の中で大いなる喝采を頂きました。
あと羊羹。
これを見つけてきた部下が好物だって話をぽろっとしたら超沢山送ってくれた。俺達も頂きました。
そして米とかはリフが開拓してくれた流通ルートを使って横流し継続中。
俺と皇太后様は円満な関係を築いております。
そしてジストとの邂逅も。
怯えと警戒を捨てきれない子供たちを前に、
「あの時、君の威嚇でウチの子を怪我させたし怖がらせたんだけど。もし次やったら……」
わかってるよね?とばかりににっこりと微笑む俺。
そしてワイルド系な人型の黒竜がガチブルしながらコクコクと頷く姿に皆が「ええー…」という眼で俺らを見てた。
ジストへの恐怖が薄れたようで何より。
チキンをしまって取り繕うように偉そうに腕を組んだジストはリリー嬢を見下ろすと首を傾げた。
「どうかした?」
「ピンクの頭……。薄っすら、見た事があるような…気がする?」
「「……」」
まさかのジストはヒロインを覚えてなかったっ!?
ちょっ、お前っ!!覚えててやれよ!!
お前の印象に残る為に襲撃があったときリリー嬢、超ガクブルしながらも必死に割って入ったのにっ!!(黒竜より俺に怯えてたっていうのは置いといて)
「私が君の首へ刃を掛けるのを止めてくれた子だよ」
じっと見て、ああ、と頷くジスト。
「そういえば、そんなのも居た気がする」
「恩人を覚えてないなんて」
「仕方ないだろう。人間は見分けがつきにくい。人間共とて魔獣の見分けなどつかないだろう」
それはまぁ、そう言われてしまえばそうだけど…。
ジストの紫電の瞳が俺を捉える。
「それに黒いのと、凄く黒いのと、黒くないのに怖いののインパクトが強すぎた」
黒いのと顎で指されたのが俺で、黒くないのに怖いので同じく顎で指されたのがリフ。
凄く黒いのはきっとハンゾーのことだね。
何なのコイツ?黒に拘りすぎじゃねぇ?
そして黒だのピンクだの色でしか人間判別してねぇの??
自己紹介したヒロインたちがジストの記憶に残ることを祈ろう。
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