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ロマンを感じた 1

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 囮作戦といいつつ明確な方針があるわけではない。

 表向きは、妖しい奴らを誘い出す為に外出の機会を増やしてね。でもバリバリの護衛が一緒だと相手も警戒するから、この子たち(俺や攻略対象者)と一緒に行動してね!相手の油断も誘えるし、実は皆強いから安全面もバッチリよ!!で。

 そして真の狙いは…。

 兎に角、ヒロインと攻略対象者との接点を増やそう!
 一緒に行動することが増えればイベント発生率も増えるし、恋だって生まれる筈。
 固定カップル出来なくたって最悪、バッドエンドにさえならなければいいんだし。全員の好感度を上げるいい機会じゃない!!

 というものだ(意訳)。

 そんな皇太后様の意向を受け、既に数回複数人で遊びに出掛けたりしてる。

 そして、今回。

「お買い物に行きたいんですけど、今度の休日…付き合って下さいませんか?」

 学園でもじもじと声を掛けてきたリリー嬢のお誘いに応じお買い物決行。

 メンバーは俺、リリー嬢、ガーネスト、サフィアでお送りしております。

 人選に深い意味はない。
 誘われたのが俺で、でも俺は攻略対象者じゃない。
 それに教師の俺が女生徒と二人で出かけてあらぬ噂を立てられるのはごめんだ。
 そこでガーネストを誘い、偶々いたサフィアも巻き込んだ。

 何でベアトリクスが居ないかって?

 ダイアとデートだからだよ。
 誘ったけど「お兄様ごめんなさい」って断られました。お兄ちゃん切ない…。

 そして「素敵な雑貨屋さんを見つけたんです」と案内され、今ココ。

 わぁー!この場所知ってるーー!!(棒読み)

 これはアレですね。サポートキャラのライの道具屋がある通り。

 買い物してて偶然通りがかった店に飾られたステンドグラス調のランプが気に入って中に入るんだよね。

 もはや偶然でも何でもないけど。
 リリー嬢の今回のお誘いは100%ライの店に誘導するためのフラグだけど。

 意味合いはちょっと違うけど……最近“八百長”とか“出来レース”って言葉が頭の中をぐるぐるするね!

「わぁっ!素敵なランプ!!ちょっと見て行ってもいいですか?」

 ショーウインドーに両手をくっつけておねだりするリリー嬢に俺はもはや菩薩のような笑みで応じた。
 アンティーク調のドアノブに手を掛け引けばカランと小さな音が鳴った。

「おいでやす~」

 軽薄な声と共に出てきたのは一人の男。
 レモン色の髪にカラフルなピンを何本も挿した男は中々のイケメンだ。
 だけど浮かべられた笑顔はにんまりと形容されそうなそれで、軽薄な雰囲気と漂う胡散臭さが拭えない。

「なんや、えらい可愛い嬢ちゃんと男前な兄ちゃんたちやな。嬢ちゃん選り取り見取りやんか。折角やから何でも買って貰ぃ~、女の子が遠慮なんてしたらあかんで。ガッツリ貢いでもらわな」

 うん、このちょっとイラってくる感じと似非エセ関西弁。非常に懐かしい。
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