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お膳立て感ハンパない 2
しおりを挟むそしてアンジェスの末裔であるヒロインが学園外で初めて公の場に登場した夜会。
隠しきれない好奇と値踏みの視線を注がれる少女の片割れ、リリー嬢が頬を僅かに染め緊張したようにドレスの胸元を抑えながら俺を見上げ、そして言った。
「こんなドレスも宝石も、身につけなれてなくて…恥ずかしいです」
上目遣いに照れと不安を醸し出すその姿は可愛らしい。
だけど俺は頬の引き攣りを必死に抑えた。
このシーン。非常に覚えがある。
あれだ。以前ちょっと触れた攻略対象者がヒロインの身につけている宝石がレプリカだと見破る場面。それがこれ。
現にリリー嬢の手が例のレプリカに触れながら『気づけ、気づいて!』って圧を醸し出してるしね。
ヒロインは攻略対象者の誰にこの台詞を言ってもいいのだが…。
何故に俺を選んだし……。
いや、理由は知っている。
彼女が俺を隠しキャラだとバッチリ勘違いしているから。
あと、ジストの件とかヒロインそっちのけで話が進んでるから何とかストーリーに関わろうと必死なんですよね、すいません。
でも俺はゲームに関係ないんです!!
どうする?
どうすればいい??
内心ダラダラと汗をかきつつ、俺はさも何かに気づいたように瞳を軽く見開く。
「その、宝石は…」
考え込むように指を顎に当て、逡巡した後に微笑んでドレス姿を褒めた。
他愛無い会話を交わした後、去り際リリー嬢の耳元でそっと囁く。
「少し、お話ししたいことがあります」
見えないように小さくガッツポーズをしたリリー嬢には気づかないふりをした。
本当はスルーして攻略対象者の誰かに指摘して貰いたいのだが、生憎周囲に彼らは居ない。
居たら無理矢理話を誘導したのに…。
離れた場所で談笑したり、ダンスをする彼らを遠目に俺は覚悟を決めた。
ここでストーリーを回収しないわけにもいかない。
結果、俺が宝石がレプリカであることを指摘。
そしてリリー嬢が大袈裟に驚く。
そんな実にワザとらしい猿芝居が繰り広げられましたとさ。
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