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ヴァンパイアだっていってんだろーが!! 3
しおりを挟む「動くな。妙な行動をするな。少しでも可笑しな真似をすればただではおかない」
そう告げて首から剣を放す。
いやー高さの違いもあるから掲げたままの腕が微妙に辛かったんだよね。
そんなことはおくびにも出さずちらりとリリー嬢へと視線を投げた。
「大丈夫ですよ。無意味に危害を加えるつもりはありません。あちらが何もしなければ、ですが」
言葉の途中で睨みつけるように視線を戻せば頷くように黒竜の首が動く。
「ここへ」
短い呼び掛けに、校庭の至る所に現れる幾つもの影。
突如として湧き出た黒衣を纏った影達に生徒たちが驚き騒めく。
武器を片手に身構える黒づくめの集団。
『何今の?この人達どっから現れたのっ?』
『一体何が起こってるの?突然竜は現れるし…もうやだっ、怖いっ!!』
『忍者、忍者じゃん!』
『『忍者…』』
『竜が怯えてんですけど……え?カイザー様魔王なの??』
『『魔王降臨したっ!!』』
『『カイザー様恰好いいっ!!』』
『『魔王…』』
そして無視してたけど、実はさっきから感情が高ぶって洪水のように聴こえてた生徒たちの心の声…。
おい、忍者って言った奴ら。
てめーら確実に転生者だろ?しかも複数人いたぞ、人数が多すぎてどいつかわかんないけど。
つか、転生者多すぎだろ?!何人居るんだよ一体?!
忍者発言した奴ら、後で職員室まで名乗り出ろや!!
そして魔王発言した奴ら、校舎裏までこいやコラっ!!
内心ガラが悪くなってると苛立ちが瞳に出てたのか眼の前の巨体が小刻みに震え出した。ジャリっと後ずさる音が聞こえる。
ヤメロ……。お前が実はチキンなのは知ってるけど今はその反応は止めて。
俺の魔王疑惑が濃くなるから黒竜の威厳を保って下さい。
そんな切実な想いは一切表情に出さないまま俺は静かに弟の名を呼んだ。
「生徒会長として指揮をとりなさい。生徒たちを連れてホールへ避難を」
黒竜と対峙したまま振り向かずに指示を続ける。
「騎士科の生徒や上級生は下級生や動けない子たちに手を貸してあげて下さい。教頭先生、彼らは私の部下です。非常事態なので警備を兼ねて彼らが校舎内に立ち入ることをお許しください」
視線が捉える範囲内で一番上の立場の人間へと許可を取れば「も、勿論です」と震える声で振り子のように頷かれた。
「ダイア」
ガーネストやサフィアたちが声を掛け生徒たちを誘導する中、俺はもう一人の弟分の名を呼んだ。
「ベアトリクスを頼む」
腰を抜かして泣きだしていた大切な妹を託せば、強く頷いた彼がベアトリクスを抱き上げる。
さて、と…。
この状況をどう収拾をつけたものやら……。
俺は内心で頭を抱えた。
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